昔あるところに、口を開けば罵詈雑言しか飛び出さない、
他人を労わる思いやりと優しさに欠如した喜八という男がいた。
生まれたときから感謝をしたことなどなく、
自分に都合が悪ければ親であろうが罵倒し、貶め、
これまで何人の人間を傷付け、陥れたのかは喜八自身でさえ分からない。
ある晩、見かねた仏様が喜八の夢に現れておっしゃった。
「喜八や、喜八。お前は本当に愚かで心の醜い男です。
夕べ、お前は八百屋の娘さんの不妊をからかって、酷いことを言いましたね。
あのひと言で、かの娘さんがどれほど傷付いたか、お前には分からないでしょう。
夕べ、お前が傷付けた八百屋の娘さんで、
お前が傷付けた人間の数がちょうど9999人に達しました。
あと1人でも傷付けて1万人に達したら、お前はその罪を償うために、死んでしまうでしょう。
さりとてお前も可愛い我が子。最後にチャンスを与えましょう。
朝、家の前に出てみなさい。
そこに9999本の釘が刺された木杭が一本、打ち込んであります。
数はお前が傷付けた人々の数です。
お前が人を傷付ける度に、増えていった数です。
人に感謝されたり、喜ばれたりすれば、釘は自然と減っていきます。
釘が全てなくなるまで、ゆめゆめこれ以上一本も増やしてはなりませんよ」
そうして朝目が覚めると、夢の通り、家の前に釘が所狭しと打ち込まれた杭が立っていた。
改めてその釘の多さに驚いた喜八だったが、とりあえず死にたくはないので、その日から人の悪口を言うのはパタリと止めた。
更に、心はこもっていなかったものの、善行に善行を重ね、釘を減らす努力をした。
最初こそ不審がっていた町の人々であったが、次第に打ち解け、喜八に感謝するようになった。
初めて感謝された喜八は、なんともくすぐったい、不思議な気持ちになったのであった。
「これが"感謝される"ということなのか。どういうわけが、胸の奥がポカポカしてくらぁ」
それからも喜八は悪口を一切封じ、毎日毎日世のため人のために尽くした。
町の人は喜八の改心ぶりを喜び、いつしか余った野菜や米を援助するまでになった。
初めこそ心の伴わなかった喜八だが、だんだんと感謝されることに喜びを見出し始め、そうしている間に、いつしかあれだけあった杭の釘は、一本もなくなってしまった。
すると喜八の前に突然仏様が現れて、こうおっしゃった。
「喜八や喜八、よくやりましたね。釘は全てなくなりました」
突然のことに驚く喜八だったが、言われた通り家の前に出ると、確かに釘は全て消えていた。
途中から釘のことなどどうでもよくなっていた喜八は、そのとき初めてそのことに気付いたのだった。
感動の涙を流す喜八に、仏様は続けた。
「お前はすっかり改心し、己の罪を滅ぼすことができました。
しかし喜八、その木杭をよく見てごらんなさい。
確かに釘は綺麗さっぱりなくなりましたが、そこには無数の"穴"が空いています。
釘の抜くのは簡単ですが、いったん空いた穴を塞ぐのはとても難しい。
喜八や、これからお前は一生かけてその穴を塞ぐことに精進するのです」
そう言って仏様は、木杭とともに消えてしまったのだった。
さて、喜八はそれを聞いて改めて己の犯した罪の重大さを知り、いたく後悔、懺悔し、涙を流した。
釘は全てなくなり、木杭も消えてしまったが、これからは見えない罪と向き合い、一生をかけてその罪滅ぼしを行う日々が続くのである。
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仏様も酷い事をするもんだ・・・
それが罪というものです
自分に都合が悪ければ親であろうが罵倒し、貶め、
これまで何人の人間を傷付け、陥れたのかは喜八自身でさえ分からない。
<丶`∀´> ← 喜八
↓
> 一生をかけてその罪滅ぼしを行う日々が続くのである。
あれ?
学校教育の方針が原因だから仕方ないんだけど。
犯した罪は自分の身に一生付いて回るって教育した方がその人のためになるんだけどなぁ。
その罪は問われないの?いい気なもんですね。
そんなこと学校教育で教えてないしそんな方針聞いたこともない
頭悪いとかいう以前の話だな^^;;;;;;;
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