暑い。
しかし、暑い。
外は35度を超えている。
仕事帰りに拾った財布を交番に届けて帰って来た所だった。
「普通100万も入った分厚い財布落とさないだろまったく…」
お巡りさんにはこんなの届けるなんてあんた今時の若者にしては珍しいなと言われたが何が珍しいのか分からなかった。
テレビをつけると、今日から始まる月9のドラマが始まっていた。
ジャニーズ事務所の売れっ子超イケ面俳優と超美人女優の恋愛ものだ。
おそらく視聴率は軒並み30%超えだろう。
しばらくドラマを見ていると耳元で夏にはおなじみの嫌な羽音が聞こえてきた。
私の血を吸おうとしている。
「しょうがないなぁ… どうだ旨いか?俺の血は」
たっぷり吸わせてやり、手で叩くのは可哀相だから窓から逃がしてやった。
窓に誘導するのに10分近くかかってしまった。
汗だくになった顔を洗おうと洗面所の前に立った。
「しかし不細工だなぁ俺は。もうちょっとましな顔だったらもてたのになぁ」
その時だった。
誰かに後頭部をハンマーで打ち抜かれたような衝撃とともに私は意識を失った。
数分で意識を取り戻したが、どこか悪いのだろうか。
翌日何事もなかったように会社に行くために電車に乗った。
なぜか今日は自分を見る周りの視線が多い気がする。
特に女性からの。
ふと女子高生の会話が耳に飛び込んできた。
「てか見た?ゲツク。主役不細工すぎじゃない?ヒロインもやばいでしょあの顔は」
「わかるわかる。あれはおかしい。もっと美男美女使うべきよ」
この子たちは美的感覚がおかしいのか?
会社に着き、午前中の仕事を滞りなく終え昼休みに入った私の前に行列ができた。
「これ食べてください。」
「お返しはいらないです…」
今日はバレンタインか?だがおかしい。
おかしすぎる。
私は生まれてこの方チョコレートをもらったことなんてない。
周りを見ると毎年山のようにチョコレートをもらう同期のNには誰もあげていない。
天地がひっくり返ったとしか思えない。
…そ、そうか天地がひっくり返ったのだ。
あの瞬間以来 世間の価値観がひっくり返ったのかもしれない。
つまり「イケ面は不細工に見え、美人はブスに見える。」
=俺はめちゃめちゃイケ面 ということになる。
そして美人がブスに見えるということは…誰も美人に見向きもしなくなる!
私はあこがれの超美人のMさんに告白し、成功。やがて結婚することになった。
同僚、家族口々に皆こう言った。
「こんな美人な嫁さんもらうなんてお前は幸せだな」
【絵に書いたような美男美女カップル】周りはみんなそう言った。
本当にその通りだ。
本来不細工な俺がこんなに美人な奥さんを…
あれ?Mさんは新しい価値観ではブスなはずだが…まぁそんなことはどうでもいい。
やっぱり新しい価値観では私はイケ面なのだろう。
Mさんは
「あなたは本当にいい男ね」
と言う。
3年後のある日、洗面所に立つとまた後頭部を殴られたような衝撃とともに私は意識を失った。
それ以来あれほど人気があった私には、誰も振り向かなくなった。
イケ面イケ面ともてはやされることも全くなくなってしまった。
そしていつしか私達夫婦は【世界有数の美女と野獣カップル】と呼ばれるようになった。
一つだけ変わらないことがあった。
それはMがいまだに私を「いい男」だと言っていることだ。
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がしかし俺の担当は膣までだ!!膣の向こう側を教えて下さい。長い人!!
熱中症になるといろいろ妄想激しくなるから気をつけろ!って話。
Mっ気があるから美女と野獣の関係に満足しているってことか?
内面で判断される世の名に入れ替わったって事か。
だから、外見も内面もすばらしいMさんの評価は変わらずだったって事だね。
ほっしーーーぃ しんいっついいいいいーーーーんいいいいいちぃぃぃーーー
みたいなぁ
故意に蚊に血をやって逃がすのがいいことだと思えない。害虫だから。
野良ネコやカラスにエサやって近所に迷惑がられるヤツと一緒。
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