母が亡くなって数年、私も一人暮らししているので父も一人きり。
そんな父から「今週帰ってこないか」とメールがきた。
珍しいな、と思いつつ
家に帰ったら、リビングに床から天井まであるキャットタワー、猫トイレ、おもちゃ複数が散乱してた。
え、猫飼ってるの?とテンション上げたら
身長180の厳つい顔の父はしょんぼり肩を落としてテンションが低い。
先日、外の物置の前にいた子猫を保護し、そのまま飼うことにしたものの
子猫がちっとも懐かないし威嚇されまくり、とのこと。
はて、と袋に潜む猫に近づいたら、ごーろごーろと喉を鳴らしてていた。
「な、威嚇してるだろ・・・ずっとこうなんだ」
と相変わらずしょんぼり。
私が猫を触ろうとすると
「馬鹿!子猫でも爪は鋭いんだ!」
と慌てる父。
子猫は私の手にすりすり。
ねえ父、このごろごろ音は愛情表現だよ、と言うと、ぽかーん。
恐る恐る手を差し出す父にも子猫はすりすり。
でっかいおっさんが一瞬で、パアァっと効果音出そうな笑顔になった。
後日、
「猫の雑誌買ったら本当にごろごろ音は信頼の証って書いてある!」
と興奮気味に電話きた。
無口な父が突然、猫のおかげで明るくなったよ。
母がアレルギー気味だったから金魚しか飼ったことなかったし、黙っていたけど動物大好きだったとのこと。
遠方の兄が帰宅した時も猫に一生懸命話しかけてて、兄に気づいた瞬間、キリッとなったけど手元の猫じゃらしは止まらなかったそうだ。
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