もう15年くらい前の話です。
たいした事件ではありませんが、泥の人の神経がわからんってことで。
そのころ大学生で、テニススクール兼貸しコートの受付バイトをしてました。
そこのバイト・パートは、コーチ奥(テニススクールのコーチが旦那さん)・スクール生でもあった奥様数人と大学生の私。
パッと見美人で明るく気さくなコーチ奥が泥でした。
テニスコートはスクールをやってない時間帯は貸しコートとして、
近所の奥様やテニスサークルの人たちに格安で貸していました。
全部で3面程度の小さな商売で、予約表も、予約が入ったらタイムテーブルに鉛筆で線引いて誰が借りたかをメモる程度。
レジも打ち間違いがあったらマイナスで打ち直して終わり。
訂正記録も残さないくらいのぐだぐだっぷり。
オーナー企業も、余ってる土地で少しでも収入があればいいよねーって感じだったので性善説でバイト・パートでのんびりやっていました。
ある日、営業時間が終わってレジの精算をしていたときに、ふとその日の予約表を見ると予約表のある時間帯の記入が消しゴムで消されていました。
その日の当番はコーチ奥と私。
それまでも事前キャンセルがあった場合には鉛筆で書かれた予約の線を消すことはあったけど、その日のその時間帯は常連さんが来て使ってたしかにお金を払っていきました。
不審に思ってコーチ奥に聞いたら
「うん、それはいいの」
とだけ。
納得できなかったけど、何せコーチの奥だし、ほかのパートさんの信頼も厚い人だったのでまさかなーと思ってそのときは放置。
しばらく経って、またコーチ奥と私のシフト時間帯に問題が発生。
貸しコートのお客さんが、クラブハウスの椅子に置き忘れた財布入りのバッグから、現金(10万円くらい)がなくなりました。
私はそのお客さんが来たときには更衣室の掃除をしていて、バッグが忘れられていたことも知らず。
その場はコーチ奥が収めたようですが・・・
(貸しコートのお客さんがスクール生さんだったため、コーチ奥を信用したらしい)
事態を重く見たオーナー企業の担当者がバイト・パートと個別に面談。
担当者の口ぶりから、私が疑われているらしいとわかりました。(コーチ奥がなにやら言ったらしい)
私は、心当たりは全くないこと、バッグの置忘れがあったことすら知らなかったこと等を一所懸命説明し、担当者も信じてくれました。
でも、そのときの私の表情を見て、
「あなた以外のパートさんのことで思い当たることとかがあったら連絡をちょうだい」
と言って担当者の自宅の電話番号をメモに書いて渡してくれました。
相手がコーチ奥のため、他のパートさんやオーナー企業、スクール生さんたちからの信頼はバイトに入って間もない私とは比べるまでもなく、ここで担当者に見たことを話しても信用してもらえるかどうか、私の勘違いだったら大変なことになる、など数日悶々と悩みましたが、自分の潔白を証明するためにはやはり、と担当者の自宅に電話をし、
「実は・・・」
と、予約表の件を報告しました。
担当者はすべての話を聞き、少し考えたあと
「話してくれてありがとう。調べてみる。また何かあったら報告して」
と言って電話を切りました。
私は一番信頼できるパートさんに、意を決して今回の件を相談。
「あー、そういうことだったの・・・。○○さん(コーチ奥)は私子ちゃんが怪しいって言ってたんだけど、
あの人の挙動おかしくて『もしかしたら』って他の人とも話してたのよー」
と。
コーチの奥ということもあり、誰も表立っては言えなかったと。
しんどかったね、と慰めてくれました。
そこから2ヶ月間、コーチ奥の予約表改ざんはエスカレートし、私以外のパートさんとのシフトのときにもやるようになっていました。
私とのシフトのときにまた改ざんを見つけたので担当者に電話で報告したところ
「数千円レベルの話ではないことがわかったから。近いうちに終わらせるから」
とのこと。
その次の週、コーチ奥はパートをクビに。
私がシフトに入っていないときに、最古参のパートさんに旦那であるコーチが涙を流して謝罪したと聞きました。
「まさか妻がそんなことをしているとは思わなかった」
と。
担当者から私への説明はなかったので、すべて最古参のパートさんからの伝聞なのですが、担当者は私の話を聞いた後、保管されているレジロールとコーチ奥のシフトをすべて照合し、不審なマイナスを集計の上、コーチとコーチ奥を喫茶店に呼び出して問いただしたそうです。
そこでコーチは初めてコーチ奥のしていたことを知り、その場でコーチ奥を殴ったそうです。
そして、コーチ奥が横領したお金(数百万単位)はすべて返済し、コーチ奥は即解雇、ということでオーナー企業との示談となったそうです。
(スクールとの賃貸契約は、オーナー企業にとっても少なくない収入だったようでそのまま継続となりました)
コーチ奥は横領したお金をエステや洋服・化粧品など、「自分をきれいに保つため」にすべて使っていたようで、コーチは
「今まで気づかずに情けない・・・」
と最古参のパートさんの前でひたすら泣いていたそうです。
コーチはコーチ奥が私に罪を着せようとしていたことを知らないままだったので、コーチから私への謝罪はなく、その後しばらくモニョりましたが、知らないままだから仕方ないなーと思っていました。
でも、それから1年後くらいに、コーチ奥が何事もなかったように赤ちゃんを抱っこしてクラブハウスに遊びに来て、
コーチもそれをニコニコ見ていたので、
「そういう人たちなのね・・・」
と。
他のパートさん達も、コーチ奥が帰ってから
「よく顔を出せたわねー」
と呆れていました。
最古参のパートさんがコーチに
「どういう神経してるんだ」
と言ったとか言わなかったとかやっぱり言ったとか。
事件後、予約表の記載はリストとタイムテーブルの2種類になり、もちろんボールペン書き。
予約キャンセルがあった場合にはリストの修正と受付者の押印という当たり前のルールになりました。
レジのマイナス伝票も、マイナスのレシートに押印と理由記入、シフトのバイト・パート同士でチェックしあう
ルールになりました。
予約表の改ざんを見つけたときに報告しておけば良かったんでしょうけど、コーチの奥さんだし、バイト入って日が浅いし・・・とデモデモダッテしてた自分はヘタレだったなと今は思います。
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