俺が高校出て就職して2年目、新卒の女の子が入ってきた。
俺より上は男しかいないようなむさ苦しい職場だったが、俺以外の同期も後輩数名もみんな女の子で、一気に会社が華やかになった。
研修期間が終わり、秋。
一人の女の子がうちの部署に配属となった。
横顔がタヌキみたいに見えた。
なんかいつもピョンピョコフワフワしてた。
滑り具合に定評のある俺のギャグにも、顔をクシャクシャにして笑ってた。
めちゃくちゃ幸せそうに笑うもんだから、一発でその笑顔の虜になった。
その年の暮れの忘年会、偶然席が隣になったので、ここぞとばかりに沢山話した。
もうすぐ来るクリスマスがちょうど誕生日だと言うので、翌日プレゼントを買いに走った。
似合いそうな可愛いヘアピンを買った。
クリスマスの日も仕事だったが、渡すタイミングを伺ってたら、一日が終わってしまった。
結局渡せたのは年が明けてからだった。
苦笑いと嬉しさが混ざったように
「ありがとうございます」
と言ってくれた。
翌日からずっとそのヘアピンをしてた。
知ってる限りは毎日ずっと。
次の春、連休に食事に誘った。
「男性と二人で食事にいったことなんかなくて、緊張します」
と断られた。
絶望したね、1ヶ月くらいハイパーブルーだった。
その年の夏、女の子は泣きそうになりながら、というか泣いてた。
俺に話しかけてきた。
「もらったヘアピンを壊してしまいました」
ものすごく落ち込んでた。
何を言おうか混乱して、おもわず告白してしまった。
恥ずかしいから内容は伏せるが、女の子は驚いた顔を見せて走って逃げた。
パワハラ兼セクハラをかましてしまったと思い、またハイパーブルーになった。
翌日の仕事終わり、女の子から
「食事に行きましょう」
と誘われた。
そして告白の返事をくれた。
「こんな私でいいんですか」
とほざくので、自分の魅力を事細かに説明してやった。
ドン引きされるかと思いきや、また幸せそうに笑った。
「今すごく幸せです」
って。
こっちのセリフだボケ。
強いて言えば、初めての食事くらい俺から誘わせろ。
それから何度もデートを重ねた。
意味もなく散歩したり、海辺をドライブしたり、某川の等間隔に混じったり。
会社ではひたすら隠した。
「いつバレますかね?」
と彼女は笑った。
が、その年のクリスマス、ペアウオッチをあげた。
とくに意識しないで会社につけていったら 彼女もつけていたので、そこでバレた。
照れ笑いも可愛かった。
冷やかされた。
それから4年、これといった騒ぎもなく時間が流れた。
というかキスすらもしなかった。
そういう欲が無いわけではなかったが、手をつないで二人で歩くだけで幸せだった。
またクリスマス前にプレゼントを買った。
初めてあげたヘアピンと同じ物と、指輪を。
プロポーズしようと思った。
当日会ってみれば、彼女はそのヘアピンをしていた。
「直して見ました」
と笑った。
夕食の時、買ってきたヘアピンと指輪を渡すと、彼女は泣き出した。
「やっぱり私は幸せです」
と。
こっちのセリフだアホ。
ついでに言えば、その日初めてキスをして、体を重ねた。
恥ずかしいからカット。
お互いの両親や上司にも快諾を得て、式の準備、本番、ハネムーン。
それからの生活は本当にあっという間だった。
俺が昇進して、子供が生まれ、嫁も昇進して、また俺が昇進して。
今日飯行ってきたんだよ。
忘年会で席が隣になって、告白の返事を貰って、俺がプロポーズした店。
俺と嫁と娘の三人で。
目の前でおそろいのヘアピンをつける嫁と子供を見ていたら、俺はすごく幸せもんだと思った。
帰りの車の中、4歳の娘が
「○○は今日しあわせでした!」
というもんだから、つい笑ってしまった。
それを聞いて嫁が
「お母さんのほうが幸せだよ」
って言った。
ちょっと涙が出てきた。
お父さんが一番幸せだっつーの、アホども。
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けど娘を立派に育てたら認めるわ
「初めて体を重ねた日に嫁の股にちんこが生えていた」までは読んだ。
萌えた。
さ、仕事頑張ろっ。。。
あと俺とお前ら、早く女子のいない職場で永遠に幻の女子新入社員を待ちながら社畜する作業にもどるんだ。
死ななくてよかったと余計な感動をしてしまった。
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