中学生の頃、母が病気で入院する事になって、冬休み中だった私が家事を引き受けることになった。
慣れない事で失敗ばかりだった私を見ても、父は怒らず、
「出来る事だけのんびりやっといてくれたらいいから。」
と笑っていた。
家事にも慣れて来た頃、私は父が店屋物や出来あいの惣菜などが嫌いなことを思い出し、「お弁当、作ってみようかな」と思いついた。
手際が悪いから、朝5時から作っても、父の出勤時間にようやく間に合うような有様だったので、当然見た目も、母の作ったものには到底及ばず、味も自信なし・・・。
でも父は、
「今日の弁当うまかった、明日も頼むな。」
と言ってくれていた。
(食事の時間、苦痛だったろうな・・・と思う・・・。)
そんなある日、父が忘れた設計図を届けに行く事になって、会社につくと、ちょうどお昼時で、事務員さんに断って、設計部の部屋に行くと、中から父や会社の人たちの会話や笑い声がしていた。
中に入ろうとノックしようとした時、父の同僚の人がこう言った。
「最近、なんだかお弁当がいつもと違うようですけど、奥さんと喧嘩でもしたんか?」
と。
父は
「これは、娘が作ってくれたんだ。」
と答えた。(母が入院している事は、会社の人には言っていなかったらしい。気を使われるのが嫌だったらしい。)
私は凄く恥ずかしくて、泣きたくなった。
私のせいで、お父さんが恥をかいたんだと思った。
その場を離れ、事務所に戻り、事務員さんに設計図を父に渡してくれるように頼み、家に帰った。
その日の夜、帰ってきた父はいつものように空になったお弁当箱を私に渡し、そして、その後で、ケーキの入った箱を差し出した。
「ご飯の後で一緒に食べような。」
と言いながら。
辛党で、甘いものなんてめったに食べない父なのに。
箱を開けてみると、中にはショートケーキ、チーズケーキ、チョコレートケーキ、シュークリームなどなど・・・10個も入っていた。
「何でこんなにいっぱい買ってきたの?」
と聞くと、
「お前の好きなケーキ分からなかったから、店の人に適当に詰め合わせてもらったんだ。」
と。
ご飯の後、二人でケーキを食べていると、父が言った。
「・・・明日もお弁当頼むな。」
父は事務員さんから私が設計図を預けていった事を聞いて、私がお昼の時の話を聞いていたことを察したのだ。
その後食べたケーキの味は覚えていない。
泣きながら食べたので、喉につかえるような感じがしたのは覚えているが。
父は私が高校を卒業した年に、病気で亡くなった。
今でもケーキを見ると、父のことを思いだす。
そして、今、旦那にお弁当を作っている時にも、よく父のことを思い出す。
不器用だったけれど、誰よりも優しかった父のことを。
父が死んだ時、形見分けに、衣類やタイピンなどと一緒に、その時のお弁当箱を貰った。
暇な時に時々取り出して眺めている。
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ウンコ食べるお
ウ●チ召し上がれ
これは自慢なんだけどな。
↓ ども思う?
俺もそうだから
愛妻弁当より格上なんだよ
俺も同じこと思った。
同僚にもさぞ羨ましがられて父親も気分が良かったんだろ
普通、もう滅茶苦茶盛り上がるだろ。羨ましがられるだろう。
中学の娘から弁当作ってもらえるなんて、仲良くないと無理だもん。
弁当だけでも作ってやれてよかったな


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