時計店に嫁入りした私。
跡取りの旦那と超良ウトメ。
糞なのはコトメ。
自営業なのをどう勘違いしたか
小さい頃から私は社長令嬢!と剛速球で勘違い街道を突き進み、どんなに諫めてもその性格は治ることはなく、今まで幾度となく
「うちのが迷惑かけてすいません」
を家族にさせてきたアホ女。
そんなアホに、ウトメが旦那と私との結婚を機にきっぱりと
「もし新しい家族に頭下げさせるようなことしてみろ、その場で絶縁だ」
と引導一歩手前の宣言をしてくれ、大激突劇の末改心した……かに見えた。
らしい。
そんな家業の旦那から婚約指輪の代わりにもらったのは腕時計。
値は張っていないが、ウトさんの「おとっとき」を、トメさんから受け継ぎ、新品に替えた裏蓋に旦那が名前を彫金してくれた、思い入れの品。
それを盗まれました。
お風呂に入っている間に、外していたヤツをくすねたらしい(後日談)。
半狂乱になって探す私。
必死にフォローしてくれる旦那ウトメ。
すわ警察か、いやその前に徹底的な家の掃除を……と言っていたら
3日ぶりに帰ってきたコトメがぽんと投げつけてきた。
「落としたら壊れた」
そうで。
へえ、落としただけでこうまでめちゃめちゃにガラスが砕けますか。
ゼンマイが歪みますか。皮が引きちぎられますか。
おかげさまでこちらの堪忍袋の緒もブチ切れです。
復讐の決意でウトメさんと旦那に頭下げ、DQ返しの許可をゲット。
次の日クズがいつも通り遊びに行った後、ヤツの部屋の中のものを徹底的に解体しました。
パソコン・デスクライト・デジカメ・ゲーム機などのやり易いものはもちろん、ベッドや棚、化粧台、ベッドなどの大物に加え、アクセサリー類の小さなものまで目に付くものはすべてバラバラにしたが時計だけは壊さずに部屋のど真ん中に恭しく飾ってみた。
復讐完了して2日後に帰ってきたコトメは凄い悲鳴あげてた。
とにかくパニクってたが、警察呼べと叫びながら自分でかけようとしてたので
「大丈夫ですよ〜。あれやったの私ですから」
と答えたら
鬼のような形相で飛びかかってきたので、その場にうずくまって対処。
私に蹴躓いて無様にすっころんだところに乗っかって、見よう見まねで間接ロック。
「コトメさんも解体されたいですか?」
とにっこりしたらすすり泣き始めやがった。
はったりだよ馬鹿。
その後スンスンうざったく泣くコトメに懇々とお説教タイム。
内容はウトメの悔恨混じりの絶縁宣言なので割愛するが、質疑応答だけ抜粋すると
・なぜ盗んだ→時計もらってるのが羨ましかった
・なぜ壊した→売ろうと思ったら二束三文といわれたので
・羨ましがるものをなぜ売ろうした→婚約指輪の代わりだからさぞ値が張ると思った
・改心してれば縁切りはなかった→だってアタシ、今更変われないもん!!
「ていうか弁償してよ!!!」
と最後には逆切れされたので、腰道具一式足下に放り投げて
「ご自分で直してみてください。組み立て直せないものはバラしてません。
まぁ先にその性格治すのが先じゃないですかね」
って言ってやったらヒッっておびえてた。
すげえすっとした。
今はコトメとも絶縁して、ヤツも出てってようやくおだやかな生活始まったとこだ。
あのときDQ返し許可してくれて本当にありがとうと感謝している。
ちゃんと壊したものは一つ一つ大切に部品保管して直せるようにはしてたんですけどねえ。
根性さえあれば大半は再構築できたと思います。
特に家具類とか、とっても引っ越しするのに便利な状態なんだから持っていけよ勿体ねえなwと思いましたが黙っときました。
しばらくは引っ越し貧乏でピーピーすればいい。
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