もう結婚して10年が経つ。
独身の頃はバブルで、俺も平均よりはだいぶ良い暮らしをしていたと思う。
おれの家はオヤジが商売をやっていたんで、25歳ぐらいまで放蕩な生活を満喫してから家に入ってオヤジの手伝いを始めた。
手伝いと言っても、たいしたことなんかなんもしてやいなかった。
外車とまではいかないが、上のクラスの国産車を乗り回し毎晩遊び歩いていた。
そんなおれも、大きな失恋をして凹んでた時期があった。
ちょうどその頃おれに気を寄せていたのが今の嫁だ。
そして、やがて結婚した。
オレは田舎で生活しているのだが、結婚生活に入ってから本格的にバブルが弾けた余波が来て、仕事が段々怪しくなってきた。
そんなときにも嫁さんは
「大丈夫だよ!わたしパートにでも出て生活費ぐらいは稼いで来るから!」
と明るく言っていた。
案の定、その通りになった。
雇っていた数人の社員・パートを解雇し、残ったのはおれとオヤジとおふくろの3人だけの会社になっていた。
経理を担当していたおふくろは、ストレスがたまると嫁にあたっていた。
そして、いよいよおれの給料も出せない状態になり、子供が生まれてから間もなくして嫁はパートに出た。
仕事はいわゆるスーパーのレジ係りだ。
さしておもしろくも無い仕事だとは思うが、嫁はいつも明るく
「すんごい楽しいよ!まわりのオバチャン達もいい人ばかりだし」
とおれを気遣ってくれるのか、明るく話してくれる。
いつも子供達のおやつを抱えてパートから帰ってくる。
おやつといってもスーパーで売れ残ったパンやその日に賞味期限が切れる菓子を社内販売で1個10円とか20円で買ってきたものなのだが。
まだ何もわからない子供たちは
「おとうさん、うちのおかあさんはスゴイんだよ!お菓子なんでも10円で買ってこれるんだよ!」
と無邪気に自慢してくる。
おれは
「そうか、よかったな。でも特別なんだから友達とか他で言っちゃだめだよ」
と子供たちには言うけれど、嫁の顔は見れなかった。
見れなかったけど子供たちを前に明るく笑っていた嫁の声が聞こえた。
自分の情けなさと嫁への申し訳なさで息苦しくなる。
ある日、外の仕事から帰ってくると暗い部屋の中で嫁が声も出さずに泣いていた。
嫁に聞いても訳は言わなかったが、すぐにその訳がわかった。
またお袋に八つ当たりされて、しかも今回はオヤジからもイヤミを言われて、嫁は言い訳も出来ず我慢してひとりで泣いていたのだ。
さすがにキレた。
実の親に対しはじめてなぐりかかろうとした。
しかも30過ぎて・・・。
嫁に泣きながら必死に止められた。
「おとうさん、もういいから、いいから、やめて・・・」
そんなこともあってから数日たっておれが深夜に帰ってきた時の事。
嫁は子供たちと川の字になって寝ていた。すると枕元に小さな包みが置いてあった。
中を明けて見ると革の名刺入れと手紙が入っていた。
「おとうさんへ、いつもよれよれの財布に名刺入れてちゃダメだよ!
営業なんだからこれに入れて持ち歩きなさい。
忘れていると思うけど、今日は結婚記念日です。いつも遅くまでお仕事ありがとう。」
(あっ、そういえば今日だった、結婚記念日。オレなにも用意してなかったな。)と思いながらうす明かりのなかでふと嫁の手が目に入った。
よく見ると嫁の手はガサガサになって、ひび割れがいくつもあった。
結婚当初は苦労知らずで綺麗な手をしていた嫁の手は見る影も無い。
なんだか急に自分への自己嫌悪と、嫁と子供たちへの息苦しくなるぐらいの申し訳なさが相まって、涙がとめどなく流れてきた。
嗚咽をかみ殺しながら泣きつづけた。
口を抑えても大粒の涙がぼろぼろぼろと出てくる。
川の字で並んで寝ている枕もとでずっと泣いていた。
次の日、嫁と話がしたくてなんとか仕事を早くすませて帰ってきた。
朝はみんながいるので恥ずかしくて言えなかったが、夜2人になったときに名刺入れのお礼を言った。
「ありがとうな。なんか結婚してから苦労ばっかりさせるけど、オレおまえと結婚してほんとによかった。
ありがとう」
こんな事初めて言ったので思いっきり照れていたんだけど、嫁さんいきなり泣き始めた。
しかも子供みたいに
「わーん、わーん!」
って、両手で顔抑えて思いっきり泣いてた。
あんまり子供っぽい泣き方だったんで、最初はオレもビックリして何も言えなかった。
でも今までずっと抑えてきたんだなとわかった。
がんばってたんだなってこのとき本当に気付いた。
オレ思わず嫁さん抱きしめて
「ごめんな、ごめんな」
って言いながら一緒に泣いてた。
どのくらいの時間かわからないけどずっと嫁さん抱きしめて2人で泣きつづけた。
いつか今より平穏で楽しい暮らしができるようになったらいやと言うほど嫁さん孝行をしてやる。
必ず約束する。
ヘタレなおれは嫁さんを前にして口にできないから、ここでしか言えないけど、いつか必ず幸せを満喫させてやる。
結婚当初より今のほうがずっと嫁に惚れている。
おまえよりオレのほうがおまえに惚れている。
ヘタレなオレだけど・・・。
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(11)

馬鹿親のストレスの捌け口のまま嫁を放置しているのに
最後のセリフをドヤ顔で書いてるのがくそ寒くて全く感動できん
437: 素敵な旦那様 2005/03/26(土) 01:24:34
オレのこと書いたら自分でもビックリするぐらいスンゲー長文になった。
夜中にコソーリ置いておきます。ヘタレなもので・・・
天変地異の前触れか?
愛想
哀訴
相曽
相磯
相蘇
愛想の在庫はあといくつ?

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