前提として、私は旦那を亡くした小梨。
旦那が生前くれた指輪を毎日つけている。
旦那がもともと着けていた物だからサイズが合わず、ちょっと引っ張れば
スルッと抜けるけど、日常生活に支障はない程度。
先日、駅のホームにて。
ベンチでウトウトしていたら、手に何か触れる感触。
寝ぼけながら目を向けると、指輪がない!!
隣に座る女性(4歳くらいの女の子連れ)が立ち上がったところを「怪しい」と直感、腕を掴んだ。
「あの、指輪…」
と声を掛けると、
「これは私が買った!」
と逃げようとする。
揉めていると駅員が来て、喚く泥を連れて事務所のようなところへ移動させてくれた。
泥は
「これは私が買った」
の一点張り。
近くのショッピングモールで買ったことや、
「数年前だから証拠はないけれど、主人と選んだ思い出の品で…」
とスラスラ話す。
私は自分の物だと証明できない。
元々旦那が持っていたものだから、どの店かも知らない、いつ買ったのかも曖昧で、保証書みたいなものもない。
混乱や動揺で、話せば話すほどたどたどしくなる。
「旦那の形見で本当に大事な物だから返してほしい」
と訴えるうちに、なんだか泣けてきてしまった。
「警察を呼んでください」
と駅員さんに声を掛けていると、泥子の様子がなんだかおかしい…?
「ごめんなさい!ごめんなさい!ママが泥棒してごめんなさい!」
と泣き出した。
それが、駅員さんでもなく私でもなく、何もない壁を見てる…
「おじちゃんごめんなさい、ごめんなさい…」
と。
泥が
「何言ってるのよ!」
と話し掛けても
「ママを叩かないで!!ごめんなさい!」
と空中に語りかけて号泣してる泥子。
怖くなったのか、泥も泣きながら
「私が盗みました、泥子を助けてください!ごめんなさい!」
と言いだした。
泥子が引き付け起こして倒れたのでてんやわんやになり、もう警察はいいからと指輪を返してもらって帰宅した。
警察呼ばなかったことは叩かれるかもしれないけど、慌てふためく泥を見てたらなんかもうどうでもよかったんだ…。
私は霊感などは否定的なほうだから、泥子が旦那の幽霊を見たのかはよくわからない。
もし旦那だったなら、恐持てのくせに気弱だったから、泣いた泥子を見て慌てたんじゃないかなあとは思う。
指輪はシルバーのシンプルなもので、高価なものを狙ったというよりは盗癖なんじゃないかな。
今も指輪は大切にしています。
サイズは、旦那が着けていた物を少しでも変えたくないと思ってそのままにしていました。
ネックレスにしなかったのは、旦那が死んで毎日泣いていた頃、指輪を見て「旦那が手を握っていてくれるみたい…(はぁと)」という気持ちだったのでw
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