飲み会の帰り、終電を気にしつつ新大阪駅に向って歩いていると、
見知らぬおばあさんに
「兄ちゃん、今から駅に向かうんか?」
と呼び止められた。
普通ならポン引きかと思って適当に誤魔化すんだが
不意に聞かれたので、思わず
「はい!」
と正直に答えてしまった。
するとおばあさんが、当時高3の嫁を示しながら
「この子もJRに乗るんやけど、駅まで送ったってくれへん?」
って言われた。
嫁は駅までの道が分らないし、おばあさんは腰が悪いので送ってあげられないとの事。
で、周囲で一番人がよさそうな俺に頼んだんだと。
俺は異常に人がよさそうに見えるのか、同様の頼み事をされた事が何度かある。
いずれも送る相手は泥酔したおばさんだったので何事もなかったが、
今回ばかりは人畜無害そうな顔に産んでくれた両親に感謝した。
新大阪駅に向う途中、
「一人で歩くのは危ないけど、知らない人に送ってもらう方がもっと危ないですよねー
気をつけないといけませんよ あはは」とか
適当な会話をしつつ電話番号とメールアドレスをゲット。
そこから交際が始まり結婚に至る。
俺に声をかけたおばあさんの親類・知人は
「私は人を見る目がある。あの子の旦那は私が声をかけて〜」
という自慢話を何度も聞かされる羽目になる。
|
|
(5)