体験談：電車が構内に入ってくるのを待ち、列の先頭に割り込んで乗った [感動]

ある日、地元では有名な小学校の制服とランドセルの女の子が、16時着の電車から降りてきた。
昇降口付近でウロウロしてて、何となく見てたら、16時８分くらいに16時10発の電車が構内に入ってくるのを待ち、列の先頭に割り込んで乗った。
まだ３年生くらいなのに。
唖然として見ながらも、私達も座った。
友達と「何あの子」と話してたら、私達の席の横に立った女子高生が

「あー、あの子ね、いつもなんですよ」

と教えてくれた。
この子達も並んでたのだが座れなかったようで、気の毒だったので

「どこまで乗るの？」

と聞いたら20分くらいの距離の駅だったので、

「私達終点まで行くから、それまで座っていいよ」

と席を交代した。
その子達は恐縮してたけど、大荷物だったし大変そうだったし。
そして翌日、16時着の電車からまた女の子が降りてきて、前日同様に昇降口付近でウロウロ。
16時８分、「構内に電車が〜」のアナウンスが流れた瞬間、先頭に割り込もうと近づいてきたところを私がランドセルを抑えた。

「えっ」

と振り向いた女の子に

「ここ、皆並んでるのわかるよね。割り込みしちゃいけないって習ってるよね。
 悪いことだってわかってるからコソコソやってるんだよね。後ろに並びなさい」

と目を見て言い聞かせた。
その間に友人始め他の人達が乗り込む。

「電車……」

と言うので

「乗るのは止めないけど、割り込むのは私が見たら止めるからね」

と一緒に電車へ。
友人が確保してくれてた席にその子を座らせ、

「あなたが○駅で降りるのは知ってる。学校名もわかる。だから学校に言うのは簡単だけど、
 もう小学生なんだから、自分でちゃんとわかるよね」

と言ったらこくんと頷いた。
次の日からはちゃんと列の最後尾に並ぶようになったので、体操服バッグとか重そうなものを持っている時は席を譲ってた。
そのうち、お年寄りを見かけたら私達に

「ここ、譲ってもいいですか」

と聞いてから

「ここ、どうぞ」

と譲れる子になってくれた。