駿府でのお話。
ある時、村越茂助が清見寺に使いに行った。
そう、関ヶ原の時
福島正則たちに
「おまえらがさっさと戦わないから家康公が出てこないんだよ」
と言ってのけた、あの村越さんである。
そんな村越さん、帰りが遅くなって夜半になった。
すでに門限を過ぎ、城の門は閉ざされていた。
「村越茂助です!お使いから今帰りました、門を開けてください。」
ところがここを守る二人の門番、開けない。
「既に時間が過ぎている以上、誰であってもこの門を開ける事はできません!」
門前で村越さんが困り果てているとそこに、家康の側近の一人、安藤直次が通りかかった。
訳を聞いた安藤は、門番に向かい
「この方は確かに村越茂助殿である!とにかくわしが保障するので、村越殿を通すように!」
ところがこの門番達、それでも開けない。
「この門は日が暮れて以降は、決して開けてはならない決まりとなっております。
安藤殿、あなたは今重職についておられますね。
そんな方が、決まりを破るようなまねをして良いのですか!?
城主たる家康公の命令がない以上、開けられません!」
この安藤さんも村越さんも、当時、徳川家どころか天下にもその名を知られた人たちでである。
そんな二人にもこの門番達、容赦無いのだ。
後になって家康はこのことを聞き、この二人の門番を褒め、つーか褒めにゃしゃーないですわなw
加増し、駿河から紀州家に付けられたとのことである。
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