自分が子供の頃、母がよく腰痛で動けなくなることがあった。

そういうときは家事ができないので、夕食はレトルトカレーやインスタント麺や自分か父が弁当を買ってきて食べるんだけど、その日はなぜか父が夕食を作ると言い出した。

父は何作ってくれるんだろうってボーっとしながら、料理する様子を見ていたら、父は声にならない叫び声をあげうずくまった。
その姿を見て、お父さんも腰痛になった!と思った。
両親が痛がる姿を見るのは哀しいけど、腰痛でも死ぬわけじゃないし数日で歩けると知ってたんで
焦る気持ちが少ししかなく、お弁当3つ買いに行かなきゃって思うのが先だった。



腰痛になったときに話しかけられても応えられないから、気分悪くならないようにしばらく放置していてね。
あと、絶対に触らないでって言われていたんで、しばらく様子を見て父に大丈夫?って近づくと、父の腹に包丁が刺さっていた。

ここからはパニックで、

「おと…おと…おと(うさん)」
「おか…おか(あさん)」

を交互に言いながら泣いてた。
断片的にしか覚えてない。
母が奥の部屋から這いながら出てきた姿。
うずくまる父。
ドカドカ入ってくる救急隊員の人達。
ストレッチャーに乗せられて運ばれる父と母。
何事かと集まる近所の人。
病院の廊下。
制服の警官。
多分警察と思うスーツの中年男性や、やさしそうなスーツの女性。
一つ一つの細かいところや臭いなんかははっきり覚えてるけど、前後のつながりは記憶にない。

あとで聞いたら、事故の内容はこんなのだった。
まな板で食材を切る→包丁の刃先を自分の方向に向けて置く→右手を伸ばして物を取ろうとする
→包丁の持ち手に左手をつく→さらに手をのばす→包丁ズレる→刃に向かって一気に腹部を押しつけてしまう→焦って包丁をどけようとしてさらに刺さる

警察も最初は、母動けない父血だらけから強盗?→父の暴力に耐えかねた母が刺した?など混乱したっぽい。
母は見てないので何が何かわからず説明のしようがない。
わかってることだけを言っても疑いの目で見られる。
唯一の目撃者の自分も事情を聞かれたものの

「おとおとおかおか」

と泣きじゃくるだけで役立たず。
術後うっすら麻酔から醒めた父は

「俺が自分でやった」

って言ったらしく、自殺かと思われたらしい。

うちの両親は結構やらかす夫婦らしい。
そして自覚もあるっぽい。
料理中は近づいちゃいけない。
カウンター越しに見てるのはかまわない。
衣替えのとき押し入れからケースを取り出すときは部屋に入ってはいけない。
模様替えで家具を動かすときも、部屋に入っちゃいけない。
祖母の家に泊まれ。
など、危険なことが想定されるときは遠ざけられていた。

祖母から聞いた自分が生まれる前の話。
タンスの置き場所を変えようと二人で模様替え中に、母腰痛→バランスを崩す→父タンスの下敷き
っていうこともあったらしい。
救急車は呼ばず近所の祖母にSOS。伯父の車で夜間の救急病院に行ったらしい。
父は、あの時は膝割れたわ〜って言ってる。

父はこの事故のあと、包丁の扱いには滅茶苦茶気をつけるようになったけど、ノーマークだったまな板を足の上に落とし足指骨折。
救急車を呼びたくなかったので、片足でピョン→ウッ!→ピョン→ウッ!→ピョンを繰返し、大通りまで出てタクシーで病院へ行った。

母は事故以来、腰痛の兆しを感じると軽いストレッチと安静を心がけるようになり、あまり酷い腰痛にはならなくなった。
今は夫婦でテニスとかやってて楽しそう。

コメントの数(8)
コメントをする
コメントの注意
名前  記事の評価 情報の記憶
この記事のコメント一覧
1 . 名無しさん  ID:iOrLQLrl0編集削除
暇を持て余した神々のおもちゃ
2 . 名無しさん  ID:gMxGPcdh0編集削除
神よ
なぜあの夫婦にだけかように過酷な試練を与えるのですか?
3 . 名無しさん  ID:Cc5nSLMY0編集削除
神「俺のせいにするなや」
4 . 名無しさん  ID:lzM.fs7Y0編集削除
天狗じゃ、天狗のしわざじゃ
5 . 名無しさん  ID:33iLNxkh0編集削除
天狗「はいはい、わしのせい わしのせい」
6 . 名無しさん  ID:K8zq2VR00編集削除
※2
髪よ
なぜあなたの頭にだけかように過酷な試練を与えるのですか?
7 . 名無しさん  ID:5SWP09uj0編集削除
リアルドジっ子は命に関わるな
8 . 名無しさん  ID:P1GpKziu0編集削除
命名「ハッピーツリーフレンズ親父」

コメントを書き込む

今月のお勧めサイト



週間人気ページランキング
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

記事検索
月別アーカイブ
タグ
ブログパーツ ブログパーツ