うちは職場結婚。
俺が課長をやっていた部署に新しく来た派遣社員が嫁。
知り合った当時、俺は30代半ばのもてない隠れオタク(模型・特撮・マンガ・アニメ)で親兄弟や友人からは結婚をせっつかれていた。
結婚したくないわけじゃなかったがモテないのを自覚していたし自分の趣味が大事で
少なくとも自分の趣味を理解して許してくれるくれるような女
できれば同族のオタクじゃないと結婚は無理、とネガティブに思い込んでいた。
嫁は俺とぜんぜん違う社交的なタイプで中学・高校ではソフトボール
大学ではガチなスポーツ系のサークルにいて、スポーツ万能のスレンダーマッチョだ。
知り合った当時は20代の末。
背が高くて姿勢が良くて肩幅も広くて
今もそうだけど腕にはビッと筋が浮き上がっていた。
美人だなあとは思っていたが、ルックスは怖め(天海祐希に似ていると言われる)だし、運動神経ほぼゼロのメタボ気味オタク中年としては妙にコンプレックスも感じて
絶対この人と恋愛関係とかはないな、と思っていた。
だからなんで嫁が俺に惚れてくれたのかは未だによくわからない。
仕事に対する真剣さとか責任感とか真面目さとか言われたことはあるが
あんまりしつこく聞くと、嫁は顔を赤くして怒っちゃうんで。
中小企業なんで、嫁が俺を憎からず思っていることは社内では役員・上司や部下に到るまで(俺を除いて)
ほぼ気づかれていて、みんなで「(俺)と(嫁)さんをくっつけてやろう」という応援体制だったらしい。
それを結婚式のスピーチでバラされたときはもう恥ずかしくて恥ずかしくて死にたかったぜ。
そんなわけで、嫁が働き始めて2ヶ月程たった頃
俺の仲の良い同期(アホ)がキューピッドを買ってでた。
そいつと飲みの約束をした店に行ってみたらそいつは来なくて、代わりに嫁が現れた。
うろたえる俺。
携帯には「悪いけど急に行けなくなった。がんばれー」というメールが。
嫁は
「(同期)さん来れなくなっちゃったんですかー」
ととぼけていたが、もちろん共犯だった。
うわどうすんだよと狼狽したが帰るというわけにもいかないし、じゃあ、と嫁とサシで飲むことに。
嫁はよく飲みよく食べ、頬を赤くしてケラケラ笑う様子に
印象は「キツそう」→「意外と可愛い」に。
そのまま二軒目・三軒目にハシゴして盛り上がり
駅まで送る途中、喪男一世一代の勇気を振り絞って
「また飲みに誘ってもいい?」
と尋ねた。
返事は
「ぜひお願いします。」
心のなかでガッツポーズ。
同期には翌日昼メシをおごった。
その後、嫁とちょくちょくメシ食ったり飲みに行くようになり、完全に惚れてしまっていたが、引かれるかもと不安で自分がオタクだとはまだ言えなかった。
だがいつまでも隠していても仕方がない、言って引かれたらもう誘うまいと覚悟を決め
いつものように飲んだ帰り、河っぺりのベンチで
酔い覚ましをしている時に、自分はオタクで、これこれこういうものが好きなんだとカミングアウトした。
俺「いい年齢して気持ち悪いよね。引いた?」
嫁「うーん、引くっていうか、私そういうのよく知らないから」
ほーらみろやっぱり駄目だあきらめろもうおしまいだ、と頭グルグルしていたら嫁が言った。
「けど、知らないからいいんじゃない?俺さんが知ってて私が知らないこともあるし
私が知ってて俺さんが知らないこともあるし。
お互いに知らないことがある方が、教えたり教えられたりして世界が広がるでしょ」
今考えれば当たり前なんだが
その時は「そうか!そういう考えもあるのか!」と感動した。
で、
俺「こんなオタク野郎でよかったら俺と付き合ってもらえますか」
嫁「(笑いながら)いいですよ」
嫁とのデートは、交代でお互いの行きたいところに行く、という感じだった。
嫁のときはハイキングとか野球やサッカー観戦。
芝居や相撲も見に行った。
俺のときは映画が多かったけど、嫁にせがまれてメイド喫茶(俺も行ったことなかった)にも行った。
嫁は男前なんでメイドさんに
「カッコいいです〜」
ってモテてた。
模型屋やホームセンターに半日いたこともあった。
お互いに知らないものばっかりばかりだったけど、付き合ってなければ一生知らなかったものばかり。
確かに嫁の言うとおりなんだなと思った。
11月、嫁の部屋で鍋をしているときに結婚を切り出した。
嫁によると「おっさんだし見た目もアレだし給料もたいしたことないけど、一生大事にするから」とかそんなことをカミカミで言ったらしいが、テンパッててよく覚えてない。
嫁は熱燗でちょっと赤くなった顔でニマーッと笑い
「ふひひひ、やーっと言ったね」
俺の頭をうりうりする。
「でもありがとう。嬉しい。よろしくお願いします」
「…うわ、こういうのってすっごい照れるもんだね!きゃー。」
顔を隠して脚をバタバタする。
あんまり可愛いかったんで押し倒してコトに及んだが、そこは経験の多くない喪男の悲しさ、嫁に色々と指導を頂きつつ、なんとかうまいこといきました。
その後、お互いの実家に挨拶。
嫁実家では義父に
「…こんな男女みたいなのでいいの?本当にいいの?大丈夫?」
と真顔で聞かれ、俺の実家では母親に
「こんなオタク息子に嫁に来てくれるなんて〜」
と泣かれ、ニヤニヤ顔の弟に過去のオタク行状をバラされたりした。
貴様だってオタクだろうに…。
結婚して3年目だけど、二人とも一人暮らしが長く料理も家事もできるから
なんか共同生活という感じ。
料理も平日は嫁が、土日は俺が作ってる。
まあ毎日ほんと楽しいわ。
嫁は結構なイタズラ好きなんで、本気でびびらされることも多いが…
結婚生活もデートしていた頃と同じで、お互いに知らないことを教えたり教わったり。
嫁は新居に持ち込んだ俺のオタクグッズについても何も言わず、俺の漫画やDVDをよく見ている。
今のお気に入りは「北斗の拳」と「覚悟のススメ」、それに「仮面ライダーV3の風見志郎」だ。
逆に俺は嫁につきあってジムに行ったり、サイクリングやウォーキングに出かけたりして
体を動かす楽しさを教えてもらった。
嫁と本気キャッチボールしているのは俺ぐらいじゃなかろうか。
何よりも嫁と一緒にいることが趣味になってしまって、オタク趣味の方はあまり手を出さなくなってしまった。
長々とノロケ話を書いて申し訳ない。
木曜に嫁が妊娠していることがわかって、浮かれっぱなしなんだ。
40目前にして父ちゃんになる予定です。
元オタクの中年としては出来すぎだな。
嫁がこの週末実家に帰ってるんでヒマです。
あんまり大したこともないですが、
・嫁が「リング」をまた見たいというので一緒に見ていたとき、飲み物を取りに行った
嫁が黒髪ロングのウィッグと白いワンピース(わざわざ友達から借りた)でギャー!!と叫びながら戻ってきた。
本気で死ぬかと思った。
・寝ている間にチ〇コに赤いマジックでポツポツポツポツと発疹を描かれた。
朝トイレに行って気づき、半泣きで「びょ病院に行かないと!」と嫁に言ったら爆笑される
・帰宅すると嫁がいなくて電気も消えていて、あれどこ行ったんだろうと探してみたら
洋服ダンスの上にじっと隠れていて「ふははは、くのいちだ!」
ベランダに隠れる、フタをした浴槽に隠れる、俺の作業机の下に隠れるバージョンも。
・忍者ネタにこだわりがあるようで、帰宅したら嫁がベッドで布団かぶって寝てたから
「どうしたの?大丈夫??」と布団をめくろうとしたら、布団の下は丸めた毛布。
嫁がクローゼットから「ふははは、引っかかったな!」と登場。
・知り合いから赤いシュラフをもらい、俺が入って顔だけだして「た〜らこ〜た〜らこ〜」
とぴょんぴょんしたら、嫁が「あたしがいつかやろうと思ってたのにー!」とケツに回し蹴りを。
・格闘技番組で見た関節技や絞め技を、いちいち旦那で試す。
楽しい毎日です。
週明けに会社で俺の上司に報告しまして、嫁(現在は同じ会社の他の部署で契約社員として勤務してます)は変わらず勤務、会社の規程に従って産休・育休を取らせていただくことになりました。
上司が一応管理統括の役員に報告したのですが、その役員がさっそく
会社中に広めてくれたので、「おめでとう」「スケベ」「エ〇親父」などお祝いの言葉とメールをたくさんいただきました。
嫁実家・俺実家とも大変喜んでくれて、出産後はしばらく嫁実家の世話になると思います。
嫁は妊娠が判ってから嬉しそうだったり多少不安そうだったりですが、ちゃんと支えていこうと思います。
YouTubeで観てみました。
「腕ひしぎ十字固め」は手を離さない、離しちゃったらブリッジして返すというのを覚えましたが、ああ、これは死にますね。
絶対死ぬ。
嫁は、俺がうつ伏せに寝て本など読んでいるとSTF?とか何とかデスロックという技をかけてくるのが得意でしたが、「無事に出産が終わるまで絶対アホな事はしない!この子は私が守る!」と宣言してくれました。
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