気が付いたら知らない部屋の布団の中に居た。
見知らぬパジャマを着ていた。
頭がガンガンしていた。
二日酔いだった。
枕元にはタオルと洗面器。
記憶を辿ると職場の忘年会、大卒新人だった俺はかなり飲まされていた。
途中から自棄になり自分から浴びるように飲んだ筈、その後が不明。
静かに戸が開き、見知らぬ女が入ってきた。
よく言えば端正で清楚な容姿、悪く言えば特徴のない地味女、それが嫁だった。
厚手のトレーナーにジーパン、上からエプロンを着ていた。
嫁「あ、ごめんなさい、起こしちゃいました?」
何となく自信なさ気の声色、不安そうな笑顔。
誰だ、この女は?状況からすればこの女の部屋に転がり込んだのだろう。
俺は昨夜この女に何をしたんだ?俺の趣味じゃないだろ?
誤魔化して逃げた方がよくねぇ?待て、やったのならもう一度やろうぜ?
脳内会議が紛糾した。
嫁「朝食、作りましたけれど?…まだ気持ち悪いですか?」
俺「…ええ、申し訳御座いませんが、食欲がありませんので」
嫁「お水?要ります?」
俺「…あ?、ああ、お願いできますか?」
嫁「待ってて下さいね」
安心したのか、無邪気な子供のような笑顔だった。
っていうか高校生ぐらいじゃねぇ?まさか中学生じゃないよな?
俺は酔って少女好きの道を歩み出したのか?そうなのか?
理性では否定していても、部屋を出て行く嫁の後姿、
そのジーパン包まれた顔とミスマッチナな肉付きの良い尻を凝視した後、
このチャンスを生かして「やる」事が脳内会議で決定した。
自然と右手がセンターポールを握っていた。
閉じられたふすま越しの嫁親子の会話を聞くまで、ガラに合わない肉食野獣になりきっていた俺だった。
ふすま越しに
嫁「あの人まだ二日酔いだって、ご飯要らないんだって」
義父「そうか、じゃぁ、しばらく寝かせておけ」
上司では無いが同じ職場の人の声が聞えた。
嫁「あたし、11時には出かけるからね」
義「おい、居ろよ、どうせ大した用事でないだろ!」
嫁「ヤダよ、友達と約束だモノ」
状況を確認した俺は、気持ち悪かったが直ぐに飛び起き、着替えをして挨拶もソコソコに義父の家を退出した。
次の月曜、義父から状況を聞いた。
飲んで潰れた俺を酔っ払いの義父が家に持ち帰ったそうだ。
潰れた俺を介護したのは、嫁だった。
嫁は中2の時母親を亡くし父親と2人暮し、家事を全部やっていた。
一人身になってから酒量が増えた父が酔っ払って帰るのは
よくあったそうだが、初めて若い男を連れ帰ったので印象に残ったそうだ。
年が明けて飲む機会があり、酔いつぶれた義父を志願して家まで送って行って嫁と再会し会話をした。
黒髪ストレートのおかっぱで化粧気なしの癖に大学1年だったので驚いた。
義父を抱えた際に着古したジャージがずれて、チラッと見えた肌着も子供っぽい感じだったんでね、余計に。
週末には何時も義父と飲むようになり、飲み直しで義父の家のパターンに、さらに最初から義父の家で飲むようになった。
ついでに言えば嫁が大学3年の時には義父と関係なく家に寄るようになった。
その頃には嫁は下の名で俺を呼んでいたし、俺のセンターポールは嫁の未開拓地に打ち込まれていた。
後一つ番外で義父の話を、
付き合う際に義父に嫁が大学卒業して正式に婚約するまでやらないと約束した。
嫁も同じ約束をしていた。
だが、若い2人の情熱は留められなかった。
でも、約束した手前、嫁も俺も義父にはやってないと嘘を付いていた。
嫁も俺もバレていないと思っていた。
ある時義父と泊りで出張する機会があった。
義父の趣味は酒のだけではなく、、、、夜のお店もあった。
やもめの義父は誰に憚る必要もないのだが、嫁にはその趣味を隠してた。
義「娘に黙っているから一緒にやらんかね?君も我慢は辛いだろ?」
俺「…はぁ」
義「奢るよ」
諸般の情勢を考えるに一時の欲望を満たす為に生涯に亘る負い目を作れない、だが脳内会議の野党勢力はそんな与党の姿勢を弱腰と批難した。
決断を迫られたのだが、何故かその時嫁から電話が入った。
内容は週末に俺の部屋の掃除をしにいく予定の確認であった。
当時色々な意味で身の回りの世話をしてもらっていたのであった。
週末は男として必要な健康管理を嫁に依頼するつもりだった。
嫁のムーンフェイズは「生」可能が予想された。
万一病気でも貰ったら、、、嫁への愛情をこの時初めて大人として意識した。
俺は義父の出馬要請を固辞する事にした。
俺「…嫁子さん以外とする気がしないので、」
義「つまり嫁子とはもうそういう関係なのかね?」
俺「いえ、その、つまり」
義「今更、嘘はいかんよ」
俺「はい、そのように突き合ってます」
義「やはりな」
義父はやっている事、自体には怒らなかった。
ただ家族になるんだから、正直に相談しろ、と。
嫁子の態度から丸分りだったらしい。
義父はその晩、夜のお店に行かなかった。
何でも俺がマジカルサービスを受け取らなかったのが嬉しかったらしい。
一晩中、飲みながら嫁の子供の頃の話をしてくれた。
翌日の仕事はボロボロだった。
私立の女子校出身で女が殆んどの学部をでて、家事をしてた為アルバイトをしなかった嫁は、大学時代まで全くと言って良いほど男から誘われなかった。
自分では喪女と思っていたらしい。
であるから父親が連れてきた男=俺を特別視したそうだ。
だが、就職してから急にもて始めたのである。
最初の一年だけで告白されたのは片手で足りなかったと言う。
幸運にももう婚約していたので、全部断ったそうだ。
確かに社会人になり薄く化粧をした嫁は結構綺麗だと俺も思う。
職場では<夏帆>を似ていると評判らしい。
確かに似てなくはないが、俺から見るとやはり違う。
嫁の方が、肩 が 凝 り や す い 体 型 をしている。
俺が最初に確認した時より2サイズアップした事実があり、嫁が言うにはその原因は俺であるようだ。
責任をとって結婚してからは、肩「も」もんでいる。
嫁に他の男と会う機会もなく結婚相手を決めたのを後悔しないか?と聞くと、
嫁「確かに早まったと思うけれど、お父さんと仲いい人じゃないと、ねぇ」
嫁「家族が減るのもう嫌なんだ、だから(俺の下の名)で正解!」
どうも義父とうまくやるのが結婚相手の条件だったらしい、俺は当然マスオサン状態だ。
その義父だが最近、酒と夜のお店の他に新しい趣味、読書が加わった。
まぁ、読んでるのは名付け方の本(4冊)だけなんだが、随分熱心に半年後のイベントの準備をしてる。
俺の出番はない。
(まぁ体の別の箇所が膨らむ原因を作ったのも俺だと嫁は言うけれどね)
義父はどちらでも良いようにあれこれ考えているのだが、嫁に言わせると女の子に決まっているそうだ。
嫁「だってきっとお母さんの生まれ変わりだから」
あまり科学的なオツムの持ち主ではないんだよ、俺の嫁はorz
そんな嫁が今日掃除のついでに納戸から大切そうに出していたのは、ちょっと古くなった盆提灯だったりする。
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