昔むかしの昭和の田舎の村でのお話。

とあるところにA家があった。

そこのA婆さんは昔は良妻賢母だったが、長男の息子が嫁を迎えて同居してからおかしくなった。

孫産め攻撃や家事にダメ出しだけでなく、家の外でもA嫁さんを小突きながら怒鳴りつける姿を目撃され、近所でも評判のオニババに。

A婆の夫や息子が諫めても止めない様子で、かといって田舎のため、息子も簡単に転職や遠方の引っ越しもできない。

見かねた同じ村のB家がA婆に通いの家政婦になるよう提案。

B家は商売をやっていて、一人娘が婿養子を取り同居しているが、まもなく二人目の子供を出産する直前。

B家の家事はおもに娘が担当しており、B家夫婦は商売で忙しいため産前産後の家事を任せる人がいない。

給与は対して出せないが、A婆さんのできる範囲でかまわないので、となった。

実際はA婆さんも気晴らしになるのではないか?ならなくても日中はA嫁さんと離してあげられるし…という事だったみたい。



やってみたら大当たり。

A婆さんメシウマで、掃除もキレイ。

おまけにB家には一人目の孫娘(B子・2歳)がいたんだけど、A婆さんに本物の祖母以上に懐く。

B家娘が産んだ二人目の子供が男の子だったせいでB家跡継ぎフィーバーとなり、それまで可愛がられていたB子がどうしても寂しい思いをしていたらしい。

それをA婆さんがフォローするかたちになったみたい。

B子に懐かれ、わずかとはいえ小遣いもできて、日中忙しくなったA婆さんは人が変わったように(というか元に戻った?)にこやかになり、嫁イビリも激減。

孫産め攻撃だけはあったみたいだけど、長男に


「もし今孫ができたら、母ちゃんは孫に夢中になるだろう。

 そうしたらB子ちゃんを一番に可愛がる人が他にいるんかな?」


といわれ、しばらく考えて


「…んだな。」


とだけ言って、孫産め攻撃もなくなったとか。

最初は産前産後だけの話だったが、B子がA婆ちゃん大好きだったのと、当時B家の商売が乗ってきて娘も商売を手伝うようになったのもあって、A婆さんはその後足を悪くしてやめるまで、何年も家政婦を続けた。

A嫁さんもその間に子供が産まれ、皆幸せに。

A婆さんが亡くなるまでA家全員はB家に感謝し続けたらしい。

以上を、30年近く経ってから母から聞かされた私=B子の心が今修羅場。

あんなに優しくて大好きだったA婆ちゃんがオニババだったなんて…。

姑と上手く行かない事を愚痴ったら、どんな人でもオニババになり得るのよ〜と母としては言いたかったらしいけど。

 


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この記事のコメント一覧
1 . 名無しさん  ID:0iuoSZwt0編集削除
最近のここの話にしてはオチが秀逸に思えました。
2 . 名無しさん  ID:wV6cjF2n0編集削除
これは考えさせられる話だよ
仕事や趣味は自制心を必要とする場面があるからだろうか
心のやり場に折り合いをつける助けになったのかも知れない

やっぱできる金持ちは行動がスマートでかっこいいな!
金も尊敬も集まるはずだよ

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