震災ボランティアに行く→嫁のメシを褒める→結婚
俺は学生時代、最初の会社勤めの時、と続けてこっぴどく振られたため女性不振気味になっていた
最初の勤め先を辞め、頭脳労働から転身して全く別業種のガテン系の会社(当然のように男所帯)に勤め始めてそれなりに成果を出し始めていたころ311
俺の出身大学が東北にあったこともあり、ボランティアに行きたいと社長に直談判
忙しくて行けないが社長自身の両親の実家が被災しており、自分で行きたいほどだったらしく、
震災が一段落ついたころに俺は研修の名目で社長の知人が主催するボランティアに参加させてもらえた
震災ボランティアに参加した人ならわかるかもしれないけど、あそこで人気のある活動は当然だけど、ガレキの撤去や町の掃除、被災者のケアなど前線のお仕事
俺自身重機を取り扱えるので頼りにもされてたし、重機に関しては実際にはプロがやるので俺の出番はほとんどなかったが、単純に力仕事でも役に立てたと思う
だが、嫁はそのボランティア団体がベース基地にしている場所で、ボランティアたちへのメシを作る担当を買ってでていた
こういう後衛の仕事ってのは、直接的に被災地域に関わらないので人気は無いのだが、「そこで必要な仕事をする」ってのが嫁の言い分で、積極的にメシを作ったり、寝床の掃除をしてくれていた
俺たち前衛が肉体労働後に披露して帰ってくると、掃除の行き届いた部屋で、嫁がメシを作って待ってるわけだ
これがまぁ、うまいのなんの
男の1人暮らしが長いので女性が作った手料理、っていうだけでも感動ものだったが、俺以外の男たちもみんなうまいうまいと食っていた
ただ、他の女性ボランティアたちはこれが面白くないらしく、嫁に対抗して料理を作る人も出てきた
たまにメシマズもあったがそれなりに料理はできていたし、気にせずに食べる連中もいたけど、俺から見たら嫁の料理よりも一段落ちる感じだった
それに食材の仕入れの時に運転手をしたので、ちょっとした秘密も知ってしまった
そのボランティア団体では、差し入れで食材を貰ったりするので食材は豊富な在庫があった
が、嫁以外が料理担当をするときは新たに調味料や食材、そしてときには惣菜も購入していた
それに対して嫁は、そこにある食材だけで料理をし、足りないものは似たものに手を加えて遜色ない料理を作り上げていた
更に嫁は化学調味料を一切使わなかった
それが味の秘密だったらしい
俺は食材の秘密を知る前から味の差には気付いていたので嫁の料理を褒めまくっていたのだが、食材の秘密を知ってからは他の女性ボランティアからの当たりがキツくなることにも気づいてしまい、表立っては嫁の料理を褒められなくなってしまった
その時の俺の感想は「やっぱり女ってコエー」
そうこうしているうちに現場でのボランティア活動は終了
連絡先交換もせずに解散
というか、女性不振が残っていたので、恋愛対象として他の女性を見ることができなかったのだと思う
職場に復帰して1か月くらい経った後、近場でボランティアで使った機材の片づけの手伝いに誘われたので仕事帰りに行ってみた
ら、そこに嫁がいた
二人一組でやると捗る仕事だったので嫁と組んで作業しつつ、いろんな話をした
俺から振るのは主にメシの話w
嫁は料理上手だが、それでも褒められるとうれしいらしく、終始ニコニコしていた
嫁は単純に料理を振る舞うのが好きらしく、定期的に友人を招いてホームパーティみたいなこともやっているらしい
俺の食生活がろくでもないことを知ると、そのパーティに誘ってくれた
嫁の家で開かれるホームパーティーという名の宅飲みに参加させてもらった
参加者は酒やデザートを差し入れするという形で、料理はすべて嫁が用意するようだった
嫁は料理も好きだし、それを人に振る舞うのも好きなのでこういう会をたまに開くらしい
料理熱が高まってくると開催するとも言っていた
集まったのは俺以外は嫁の職場の友人や嫁の学生時代の友人で女性が多いが、その旦那などもいるので男性もちょっといた
嫁の職場はお堅い職業で、ある意味エリートたちの集まりで、学生時代の友人たちもみんなそんな感じ
なので、俺のような肉体労働系は珍しいらしく、いろんなジャンルの人の話を聞けて面白い、ということで喜ばれた
先にも挙げたが、俺は大皿にちょっとだけ残った料理などを平らげる係として活躍できた
パーティーに誘ってくれたお礼として、今度は俺の住むアパートでのBBQに誘うことにした
アパートとは言っても、8割が会社の同僚なので独身寮と呼ぶ人もいるほど(既婚者も子供もいるがw)
そのアパートの建設に若いころの社長が関わっていて、大家さんとも旧知の仲
会社の若い者を住まわせていくうちに、ほぼ占領してしまったらしい
残りの2割も社長か大家さんの知り合いなので全員が顔見知りだった
その日は駐車場を空けて、ほぼ全家族が参加し、その友人がちらほらというBBQとなった
BBQのいいところは料理しなくてもいいところなので自分で食べる分を焼いて食う、あとは飲む、という至ってシンプルなものになった
しかし嫁はそこでも子供向けのタレを作ったり、野菜で手早くサラダを作ったり
デザートとして手作りパイを持参したりして、ちょっと目立っていた
で、まぁ、周りもガテン系の同僚だし
「(俺)の嫁か? 笑」
という冷やかしも当然のように出た
ここで「違いますよ〜」とか言っちゃうのではなく、会社のノリで
「狙ってるんですけどね〜 笑」
と返していた
さて同僚は基本的に学歴を気にしない人たちがほとんどなのだが、中には高校中退や大学受験に耐えられずにこの仕事に流れてきた人もいる
そういう人たちにとって「大学」というのは一つのあこがれの対象として存在するらしく、俺もよく学生時代の話をさせられたことがある
学園祭にも行ってみたいという話も出たが、先に述べたように俺の大学は離れているのでそれは実現しなかった
が、嫁の大学は地元と呼べるような近さだったので、その話をすると一緒に行こう、となった
嫁に案内されなくとも、知り合いがいるというだけで大学に入る許可をもらった気になれるので、同僚たちは喜んだ
実際に行ってみると、大学生が若い!
こう感じるのって、俺が歳を取った証拠なんだろうねw
そこでちょっとした事件
嫁の元彼出現www
漫画かよ!って感じだったが、エリート風を吹かせるちょっと厭味ったらしい男だった
嫁は付き合いの初めは楽しかったが、結局お互いの成長度合いに差がついてきて、嫁が元彼を振る形で終了
が、元彼はそれが気に入らないらしく、自分の新彼女を見せびらかしたりしてたまに絡んでくるらしい
(一応同級生だったので、卒業後も何かしらの集まりで会う機会があった)
その時は嫁と一緒にいる男たちが、日焼けして作業着に毛が生えたような服装をしている俺たちだったのでエリート君の学歴自慢が始まった
と言っても嫁と一緒なんだがw
エリート君の自分age肉体労働者sageが始まった
俺も一応嫁たちには劣るがそこそこ名の知れた大学を出ているのでそれを言ってやろうかとも一瞬思ったが
こういう男は理屈でねじ伏せてもしょうがないとも思っていた
そこで、
「メシ食ったからちょっと暑いな」
といいながら上着を脱いだ(このときの季節は秋口)
同僚も空気を読んでガバッと脱ぐ
全員タンクトップに日焼けした体、そしてマッチョw
そして元彼に並んで立って肩を組み、
「記念撮影しよう!」
とニコヤカに言ってみた
元彼は
「低学歴が・・・」とか
ボソボソ言いながら逃げるように去って行った
その後ろ姿を見ながら残った全員で大笑い
嫁も大口を開けて笑っていた
その時初めて「あ、かわいいな」と思った
その後何度か食事(外食)をしたり、仕事関係でもらった珍しい食材を料理するために俺のアパートに来てもらい、アパートの他の同僚におすそ分けしたりして、嫁と会う機会が増えていった
アパートの年下の同僚も
「(俺)さん、彼女さんまた来ないんですか?」
と聞いてきたりしたので(当然メシが目当てだがw)、それを言い訳に俺も嫁を誘う、という感じになっていった
それらの話は社長の耳に入り、あるとき世間話として社長に
「どんな娘なんだ?」
と聞かれた
で、料理上手なことやボランティア団体ではちょっと軽いイジメみたいなことがあった、という話をした
すると社長は仕事終わりに家に来るようにとだけ言って去って行った
社長の家はアパートから歩いて行ける距離で、アパートに入っている連中よりももっと若い集が社長の奥さんの料理を食べるためによく立ち寄る場所でもあった
俺も入社直後の会社に慣れるまでの時期に何度か訪れたことがある
社長の奥さんは、一言で言うと肝っ玉母さんみたいな人で、寮母さんのイメージが一番合う
社長の家の居間に通されると、社長と奥さんが並んで座ってた
そこで社長と奥さんの馴れ初めみたいなことを聞かされた
社長は先代(社長の義父で奥さんの実父)に仕事を叩きこまれていた若いころ、将来を期待されつつも根っからの肉体労働系ではないためか、よく体調を崩していた
そこで先代に言われた娘さん(社長の奥さん)が食事を作りに来ていたそうだ
その食事によって体調も安定し、みるみる筋肉も付いて行き、もともと大卒で頭もよいためか仕事の理解も早いので、
みるみる業績を上げ、結果的に先代のお眼鏡に叶って跡取りとして認められたらしい
(途中の恋愛パートをすっ飛ばしてない?とは思ったけどそこはさすがに聞けなかったし、社長も恥ずかしいんだろうw)
社長が何を言いたかったかというと
「家のメシは大事!そこでうまいメシを作る女はもっと大事!」
ということだった
社長の苦労話込みでその話を聞かされた俺は、まともに影響を受けてしまい次に会うときにプロポーズしよう!と思い至ったwww
ホワカラ時代に来ていたスーツを引っ張り出し、次のデート(という名の焼肉屋巡り、その頃嫁はホルモン焼きにハマっていた)のときに着て出かけた
プレゼントには思い至らなかったのだが、アパートを出るときに同僚の奥さんに空気を察知され「せめて花束を」と言われたので素直に花屋に寄った
そして、嫁に会うなり
「俺と付き合ってください」
と言ってみた
ここでちょっと笑い話だが、以前の職場で来ていたスーツは、筋肉のついた当時の俺の体にはキツキツで、でもそれしかスーツが無いので仕方なく来ていったのだが
花束を両手に持って差し出してお辞儀をした辺りで、安物スーツの背中の縫製が一気にバリッ!と裂けてしまった
俺は何の音だかわからずに、なぜか背中が楽になった、くらいにしか思ってなかったが、それを見ていた嫁は笑いながら
「スーツ脱いだほうがいいよ」
と言ってくれた
そして椅子に座り、淡々と話してくれた
1、歳も歳なので(当時二人とも30代)結婚を考えた付き合いしかできない
2、結婚して子供ができても仕事は続けたい
3、二人で長生きするために不摂生は辞めてほしい
4、これが守れるなら付き合いたい
1も2もなく俺は了解した
不摂生に関しては、タバコは吸わなかったが、偏食気味だったのでそれを言われたのだと思う
あと、酒は控えろって意味だと解釈した
で、
・付き合い始める
・社長に報告
・会社ぐるみの付き合いになる
・結婚
となりました
子供はまだだけど、早く欲しいようなまだいいようなw
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