日曜日に遠方の姉家族が遊びに来ていた。
小学校一年生の甥っ子も来ていて一緒に遊んであげてた。
なぜか甥っ子は俺と二人きりになりたがってる様子で、お小遣いでも欲しいのかな?と思っていた(会うといつもあげてたけど)
ちょっと近くのコンビニに行くとき、甥っ子も急いで着いて来た。
二人で歩いていると、甥っ子は周りをキョロキョロ見渡してから
俺に小声でしゃべりかけてきた。
甥っ子「にいちゃん、にいちゃんは本当はXマンなんでしょ?」
俺「!????」
甥っ子「大丈夫!黙っててあげるからね。パパがね兄ちゃんが捕まっちゃうから
誰にも言っちゃだめって言ってた」
俺「……う、うん。ありがとね?」
甥っ子「誰にも言わないから、あとで骨が出るの見せてね」
ここでなんの事を言ってるのかが分かった。
甥っ子が3歳くらいのときに、バラの棘に唾をつけて握り拳にくっつけて
「にいちゃんは力入れると、手から骨が出るんだよ」
と小芝居を打って見せたことがあったんだけどけど、信じてたんだね…
あとで義兄に聞くと、甥っ子とXマンのDVDを見ていたときに、少年期のウルヴぁリンの手から刃物になる前の骨が出てきたシーンを見て
甥っ子が「にいちゃんと一緒だ!」って興奮しだしたらしい
それで義兄も悪乗りして、映画の設定に合わせて、人にバレると兄ちゃん捕まるから
黙っとくようにと言ったんだって。
義兄がうまく種明かししとくよって言ってくれたから
甥っ子が帰る前に、俺の部屋に呼び寄せて期待通り見せてあげた。
庭にあったイバラの棘を取ってきて、マジックの赤で血がついたように棘と手にも
着色して右手にセットしてから、「ふんん」と力んで棘が皮膚を突き破って
出てきたようにして見せたあげた。
甥っ子は
「うわー、すごい!」
と興奮しておれの手を掴もうとしてきたが
痛みに耐えられない芝居をして、左手で右手を覆いながら棘を取り除き
「あー、今のが限界。痛いんだよ」
と言うと。
甥っ子は
「すごいね、にいちゃん、すごいね」
と、目をキラキラさせながら
マジックで血が滲んだように見せかけてある俺の手をさすってくれた。
ちょっと心が痛んだ。
その後、甥っ子は
「誰にも言わないからね!」
と言いながら
俺をヒーローでも見るかのような眼差しで帰っていった。
その日の晩、姉から
「くだらねー嘘を教えんなヴォケ!!」
と怒りの電話がかかってきた。
義兄よ、うまく種明かしできてねーじゃん!
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