就学前の幼児だった頃、自分には母の宝石や指輪を庭に埋めるっていう厄介な癖があった
原因もわからず減っていく貴重品に母が不信感を持ち、保管場所を移動させた後
代わりのように、結婚記念日のサプライズ用に父が買って隠してあった指輪を発見
とりあえずそれも埋めた
結果、記念日には花束とケーキしか送ることのできなかった父は大変しょんぼりして
母にも言えず家の中をひとり、失くした指輪を探すようになった
反省した自分は父の指輪を戻そうとしたが、家に入った瞬間母に見つかり
「それどうしたの?」
怒られると思った自分は、思わず
「女の人が返すって渡してくれたの」
架空の犯人に罪をかぶせてしまった
間の悪いことに指輪には「いつもありがとう愛してる」というメッセージカード
母は般若のような顔になった
そのあとのことはよく知らないが、以後何かを庭に埋めた記憶はない
二十年経ち、帰省した際
「昔お父さんに浮気疑惑が持ち上がって離婚しかけたのよ」
とあの時のことを母に持ち出され、今まで都合よく忘れ去っていた記憶が蘇った
庭に埋めてあった宝石達を掘り返して、実は…と罪のすべてをゲロり、温泉旅行をプレゼントすることで手を打ってもらった
ほんとごめんなさい
母の叱責は短いものだったけど、父にはあの後どれだけ大変だったか延々と語られた
庭が広くて砂場があったんだけど、使わなくなったり壊れた台所用品やプラスチック製品をおもちゃとして下げ渡されてたのが下地で、その辺で何かを埋める癖がついていたんだと思う
宝石は綺麗→持ってるとばれて怒られちゃう→隠そうの流れだったような
むき出しじゃなくてケースごとビニール袋に全部まとめて入れといた
単品だったら無理だったと思うよ、雨もあるし
思い出してきたけどこのビニール袋が青くて綺麗だったってのも原因な気がする
お気に入りなものにお気に入りを詰め込みたかったっていうか
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