昔、学生時代にスキー旅行と言うのがあったんだ。
1泊2日でスキーと温泉が堪能できるという事だったんだが
その晩飯が最悪だった。
おかずが少なくて不満だったがそこはまだ良い。
テーブルにおひつが1つあって最初によそったんだが明らかに足りない。
なにこれ少なくね?って感じで特に最後の1人はめちゃくちゃ少なくて
ちょっと分けようか?いや良いよ、そっちもそれじゃあ足りないぐらいだろと
ちょっとコレは文句を言わないといけないかなと思ってたら引率教師から一言あって
「ご飯のお替りはたっぷり用意してもらってるから好きなだけ食って良いからな!」
と
なんだおかわりあるのかと、ほっとして、とりあえずさっさと食って1回はおかわりに行こうと言ってた。
しかし、なかなか開始の挨拶がなく、みんなで早く食わせるよ、さめるだろうがとブツブツ言ってたら
また引率教師から一言あった。
「残念だがお替りはもうなくなってしまった。もうおかわりはないからな。」
と
「ちょっと待てよ、まだ始まってもないだろ?誰も食べてないのに何でおかわりがなくなるんだよ?」
と
あちこちで騒ぎ始めたんだが、
「なくなっちまったのはなくなったんだからしょうがないだろ。あきらめろ。」
と訳がわからん。
誰も手を付けずに揃うのを待ってるのに、何でなくなるんだよ。
もう食ってる奴がいるのかよ?と
周りを見回しても誰も食ってないし、開始の合図を待ってる状態だ。
「それじゃあ、みんないきわたったな、はい、いただきます。」
って
今から食い始めるのに、もうおかわりがないってどうなってるんだよ?
で、後で聞いた話。
おひつから茶碗によそった後で、おひつを持って行っておひつにご飯を入れに行った奴がいたのよ。
それを見た釜の近くの連中が、俺も俺もとおひつを持ってお替り入れに行ったわけ。
そのせいで食事が始まる前にお替りはなくなるは、いつまでたっても食事が始まらないからおかずもご飯もさめるわで
最悪な状態だったわけ。
奥の方のテーブルからは釜の近くは見えないから
そっちに人が並んでるのなんて見えないし
そもそも、始まってもないのにおかわりとかそんな発想出てこない。
しかも、お替りに並んだ奴の最後の3人の時点でまだご飯は結構残ってて
全員がおひつにご飯を入れたとしてもまだ残るぐらいだったらしいんだけど
その状態で
「じゃあ、きっちり三等分な」
って言って
3人で残りのご飯を山盛りにして全部さらったらしい。
それを見て教師は、お替りなくなった。って言ったらしいんだけど、おかしいだろ?
全部とる必要ないよね?残すのが当たり前だよね?
そんなおかしなことしてたら止めるのが普通だよね?
元々神経が弱かっら俺は、この話を聞いてからちょっとおかしくなってしまってトラウマみたいになって
スキーが出来なくなった。
毎年何度もスキー場に行ってて、靴も板も持ってたのに
それ以来スキーをすることが出来なくなってしまったんだよ。
そして、それから10年以上たって、俺のトラウマがスキーだけじゃないことが発覚した。
娘の誕生日にホールのケーキを買ったのよ。
お誕生日おめでとうのメセージプレート乗ったキャラもののヤツ。
で、嫁が包丁でケーキを切り分けようとして
「じゃあ、きっちり三等分にするね」
と言って、切ろうとしたら。
「三等分とか何言ってやがんだ!ふざけんな!わけ分からねェ!」
って急に立ち上がって叫び出したのよ。
俺が。
嫁も娘もぽか〜んとした顔して俺のこと見てて俺も何が起きたのかわかんなくて
「えっ?あれ?なんで?俺、どうしたんだ?」
ってほうぜんとしてたら娘、泣き出すし
必至で謝って、なだめて、
「俺は、ちょっとだけで良いから、残りは2人で全部半分こしていいから」
って言って、さっと切り分けて
娘の皿にでっかいケーキ乗っけてなんとか乗り切った。
その時は本当に何が起きたのか全然わかんなくて、俺は一体どうなっちまったんだろう?って怖くて堪らなかった。
だいぶたってから、スキー合宿の時に俺に三等分の話を教えてくれた人と話した時に、アレでトラウマになったんじゃないかってなって
いろいろ試してみたら、
マジで「きっちり三等分」でスイッチ入っておかしくなるのが判明した。
医者に通って薬飲んで、今では平気になったんだけど
念のため、家族で何かを切り分けるときは
四等分した後で嫁と娘でさらに半分こしてもらってる。
自分のあまりの神経の細かさと弱さに衝撃だったよ。
ご飯自体は結構な量、用意してたみたいなんですよ。
ただ、最初におひつに入ってた量が少なかったこともあって
入口よりの半数ぐらいのテーブルほぼ全部おひつを持ってお替りしてたらしいんですよ。
しかも「調子に乗って取りすぎた。食いすぎて腹痛い。」
みたいなことを言ってる人もいて
「女子の方は結構余ってるとこもあったから
こっち来てたら分けてもらえたと思うよ」とか言われた。
最後のきっちり三等分の連中も食いきれずに残したっぽいような感じで殺意がわいた。
聞いたのが帰りのバスの中だったんで本当に残してたのかは確認できなかったけど
死ねばいいのにって思ってた。
その子の班は一応全部食べたらしいんだけど、
ちょっと苦しいぐらいだったから申し訳なく思ってたらしい
飯の時に俺が教師にしつこく食い下がって文句言ってたのを覚えてて帰りのバスで
「ごめんね」って誤ってくれてその時の詳細を教えてくれたんだよね。
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