社長に見切りをつけてきたでござる。
さっき辞めるって言ってきたよ!
完全に辞めるつもりになったのは今年に入ってからかな。
会社そのものは待遇とかいろいろ加味して、ブラックではなかったんだ。
この業種にしては、普通に土日祝日もあるし、まぁまぁ給料も悪くない感じ。
さて、問題は社長。
この人が完全ブラック。
ものすごく単純に言うと、こんな感じの人。
↓ ↓ ↓
「俺の言う通りの方法で、俺の言う目標を達成しろ。ただし何があっても責任はお前がとれ」
俺「…………(*´ω`)」
どれかだったらまだ納得できる。
たとえば、
「俺の言う通りの方法でやれ。ただし責任は俺がとる」
「責任はお前がとれ。ただしお前が方法を考えていい」
最悪、
「お前の責任でこの目標を達成しろ、ただし方法は任せる」
でもいいんだ。
まぁ、次々に出てくる目標を達成できるかできないかで、どんどん減給されたりするのも謎な制度ではあったが……。
そして、社長本人はこの業界では、一部業務に携わったことがあるだけで基本的に素人。
その素人の言う無茶な方法で、常識的にはあまり考えられない高い目標を達成して初めてプラマイゼロって……。
まぁ、最悪の最悪、
「俺の言う通りの方法で、俺の言う目標を達成しろ。ただし何があっても責任はお前がとれ」
これでも社長の言うことが首尾一貫してるなら文句はないんだ。
ところが、うちの社長は、言うことがドンドン変わるわけで。
すでに発注が終わっているものに関しても強引に
「ああしてほしい」と駄々をこねたあげく、やっぱり「前のほうがよかった」と
来ちゃう。
その上で「なんでそんなに時間がかかってんの?」と来るとパソコンたたき割ってやろうかと思った。
想像を絶するタイプなので、論破ができないんだこれが。
丁寧に説明しても「何で?」しか言わないしね。
いまの会社に入社したのは、3年くらい前だな。
中途入社で今のところにやってきた。
WEBコンテンツ中心の会社で、そこそこ堅実な収益をあげているのと、会社の若さと、ある意味の未熟さに期待して入社した。
面倒な手続き(稟議とか、他部署への作業依頼とか)がなく、社長決裁で即断即決で動くことができるのも魅力的だった。
まぁ、このあたりが後でとんでもないことになるわけだが。
まぁ、俺が無能だったらもっと話は簡単なんだよね。
ちなみにうちの会社はそもそも退職金という制度はない。
当時は、俺のほかにベテランプロデューサーが1人いて、その人が全体の企画や制作進行をやっていた。
その人の下に、俺を含めて何人か新規採用のディレクターがついて、それぞれ独自のプロジェクトを動かしていく、という感じ。
ベテランプロデューサー氏はこの業界も長く、WEBサイトがまだ、一般にはホームページと言われていたり、ネスケ全盛だった時代からすでにこの手の仕事をしてた。
その人も独自に現場のプロジェクトを一本抱えつつ、という感じかな。
教えられることも多く、会社の制度も未熟だが、みんなで作っていこう!みんなで話し合おう!と社長は語り、俺は希望に燃えた。
そして入社後二週間。
突如社長に呼び出された。
社長「ベテランプロデューサー氏は人格や仕事の進め方に問題があるようだ。
現に現場の○○がストレスをかかえて云々」
俺「はい?」
ベテランプロデューサー氏に問題があると社長は主張していた。
俺が二週間一緒にやってきた感じだと、まるで問題は感じなかったが……。
さらに御本人のプロジェクトの収益も内容も問題はなかった。
社長「彼を降格しようと思うんだが、どう思う?」
俺「何ぶんにも入社して日が浅いので、判断は難しいですが……」
とかなんとか、お茶を濁すしかなかった。
その翌日、各ディレクターと、ベテランプロデューサー氏が会議室に集められ、ベテランプロデューサー氏本人の前で、降格と減給の事実が告げられた。
さすがに顔面も青ざめ
「そこまでするのは違法ではないか?」
とベテランプロデューサー氏も反論したが、社長の
「違法ではない!」
の一声で押し切られてしまった。
そのあまりの突然の内容に俺は茫然としていた。
まさか会議といっても、せいぜいテコ入れ案なり、新計画の作成とか、その程度だろうと思っていたのだが。
会議で公開処刑をはじめるとは。
今でも胃が痛くなる。
その後、社長の一存で新人事計画が発令された。
各ディレクターはプロデューサーに昇格し、ベテランプロデューサー氏は一般社員に降格、そして俺の部下になって小さなプロジェクトを任されることになる、という内容だった……。
あまりのことに俺はベテランプロデューサー氏に何も言えなかった。
当然だが、ベテランプロデューサー氏はすぐに辞めてしまった。
俺はそのときは、社長の言った通りの、「仕事の進め方に問題があった」を無理やり信じようとしていた。
きっと俺が未熟で、まだ見えない部分に深刻な問題があったに違いない。
そうに違いない。
いや、そうであってほしい……。
しかしこれ以降、なんとなく会社に不信感を持ってしまった。
責任をとらせるにしても一時的な減給とか、ボーナスの減額とかではなく、実質的に会社幹部→新卒給料並の落ち方だったからだ。
これ以降、ひとまず俺は新規プロジェクトの立ち上げで忙しかった。
この間は社長も「お任せします」ということだったので、安心して目標を達成できるように動いていたわけだ。
しかし、この間にも実は社長の暴走は続いていた。
別プロジェクトの田中さん(仮)は、完全な作業スケジュールの見積もりをガントチャートにして持って行ったところ、徹底的に制作期間を削られてしまったのだった。
それでも田中さんはプロジェクトメンバー一同頑張った。
なんとか詰めて詰めて作業を終わらせた。
しかし急いで作ったものなので動作に不安がある。
そこで、動作確認にはきちんと時間をとりたいと思い、せめて二日、可能なら三日、というスケジュールで社長に報告した。
その彼に社長が与えた動作確認の時間は
三 十 分
WEBコンテンツといっても、お客さんのデータを取り扱ったり、WEBがきちんと動作しているのか、データは正しいか、
バグがないか確認をしないと売り物にはならない。
いくら自社コンテンツといっても、バグ量産WEBサイトなんて誰も利用しない。
もちろん田中さんはそのように言って抵抗したが、社長の決意は固く、三十分で本当に検証を無理やり終わらせ、リリースしてしまった。
結果不具合続出。
サポートにも電話がガンガンかかってくる。
そりゃそうだ、お金を払っているサイトがこんなんだったら、誰だって怒る。
そしてこれらはすべて
田中さんの責任になってしまった。
社長曰く「俺の指示は正しかったが、田中がやり方を間違えていた」
もともとちょっと神経質で、線も細い田中さんは、ちょっと鬱っぽくなってしまった。
その時俺は、自分のコンテンツの企画書やら仕様のとりまとめ、データの発注などで忙しく、田中さん顔色悪いなーくらいにしか思ってなかった。
とりあえず物がある程度できたので、社内レビューにかけた。
おおむね好評価だが、レビューに参加した人間が、それぞれ
自分の感想を紙に書いてくれたので、ありがたくそれを頂戴した。
俺「それでは、頂戴した御意見を参考にしまして……」
社長「あ、参考とかじゃなくて。ひとつひとつの意見に対して、それをどうするのか、優先度を割り振って進めて」
俺「とおっしゃいますと?」
社長「それぞれが言った意見をひとつひとつ、どのようにして実装するのか後でぜんぶ報告して」
俺「はい?」
立場や考え方が違うので、相反する意見もだいぶ来ていますが。
ということをだいぶ柔らかく言ったのだが、社長は納得していなかった。
しばらく話し合ってみたが、とにかく各人が勝手気ままに書いた「感想」を全部実装せよ、
と本気で思っているようだった。
しょうがないので、なんとか計画をでっちあげて、矛盾するもの、相反するものはうまく混乱しないように、実装計画をたてた。
スケジュールも承認をもらったので、いまいち釈然としないものはあったにせよ、とにかく制作はつづけた。
社長命令だししょうがない、という空気もプロジェクト内にはあった。
で、途中経過を報告しに行ったある日。
俺「現在、例のスケジュールに対して進捗は〜で……」
社長「あ、それもういいから。それはもうやめて、これを実装して」
俺「はい?」
あれだけ折衝を重ねて作成した計画と、これまでの工数はマジで何なの?
だいぶはしょったが、この頃、田中さんとたまに飲みに行ったり
するようになって、他のプロジェクトの様子もわかり、社長への不信感は急増していった。
とりあえずリリース直前だったので寝る間も惜しんで、田中さん情報を頼りに、制作を続けていることにして動作検証もあらかたやってしまった。
そうでないと不具合を出した揚句に責任とらされそうだったからだ。
そんなリリース一週間前のある日。
社長「俺君。この課金方法を追加して」
俺「え?そういうシステムは急には難しいと思いますが。
後からなら出来るかもしれませんが、もともとの企画にもそれは入ってないですし」
社長「いや、絶対やってほしいんだよね!」
急きょプロジェクトの主だったメンツを集め、検討をした結果、社長のいうような方法では無理だた、要求は満たせる別の方法が浮かび上がった。
俺「〜という方法では無理ですが、〜という方法で、要求は満たせると思います」
社長「あっそう、じゃあそれでいいよ」
俺はほっとした。
なんとかかんとかリリースも成功し、客入りも売り上げもまぁまぁ、当初の事業計画を上回るものになった。
しかし、このやりとりがのちに伏線になっているとは思いもしなかった。
リリース後一週間、システムも正常に稼働した。
面子の中で、WEBデザイナーは非常に優秀な人でよくやってくれたが、WEBプログラマはいまいちな人で相当明確に指示とその目的を出して、やっと不承不承動いてくれるような感じだった。
俺も人のこと言えないが、転職回数が年齢の割に多く、ちょっと大丈夫かな、とは思っていた山田(仮)君だ。
それでもどうにかこうにか、なだめてすかして仕事をしてもらって、かろうじて動くシステムにはなっていた。
売上も順調で、計画よりも少し多めに収益が出ているくらいだった。
この頃、さらに一人のプロデューサーが辞めた。
いつのまにか俺はほぼ最古参のプロデューサーになっていた。
入社一年でだ。
まぁまぁ順調なので、社長に報告に言った。
俺「というわけで、承認していただいた事業計画を上回る傾向で……」
社長「足りない」
俺「は?」
社長「足りないって言ってるんだよね。広告費が〜円だから、一日の収益が〜くらいじゃないと足りない」
いや事業計画を承認したのはあなたでしょう。
それにこちらの計画では広告費は〜円だったはずですが?というようなことを柔らかく伝達。
そういえば広告絡みは計画に書いただけで、実際の発注や媒体の取りまとめは全部社長がやってるんだ。
こちらの計画よりだいぶおおく使ってしまっていたのかと思ったが、聞いてみるとそうでもなかった。
じゃ問題ないじゃん。
社長「とにかく足りないから追加で施策を立てろ。こんなの当たり前だよ!」
知らんがな、と思ったがとにかく追加で手を打った。
とにかくグレる山田君をなんとか動かしながら、一方では社長の無茶振りをかわしたり、なんとか説得したり、さまざまな手を使いながら売上は上げていった。
山田君は途中で暴走が激しくなり、たまの残業の要請や、会議開催にも逆切れするような困ったちゃんになってしまったので、チームでも白眼視されてしまい、彼は辞めていった。
その代わりにと配属されたのは新卒のWEBプログラマーだった……。
コーディングはだいたい分かるけどPHPとかMySQLはできない。
その状態から再スタート。
今思い出してもじんましんが出るw
ちなみにこのあたり、
俺には人事権が一切与えられておらず、山田君への他部署のポストの用意やら、別の仕事、職種の提案やら、とにかく社長を説得しに行くしかなかった。
結局は山田君の辞意も堅かったのだが、しかし社長は山田君を凄腕と思っているようで、なかなか手放さない。
そこで直接対決させてやっと困ったちゃん度に気付いたのか、辞めることを許可したようだった。
元気だろうか山田君。
そのあと、別の会社の人から聞いた話ではちょっと経歴詐称もあったようで、より困ったちゃんに成長しているらしい。
ところでこのあたりで、社長の困った癖がもう一つ発覚した。
それは、俺を飛び越えて指示を出すことがある、という癖だ。
だいたいリリースも終わって、各メンバーのために、たまった有給や代休を消化する期間を作った。
プロジェクト休暇代わりみたいなものだ。
一応、交代で休めるようにし、俺が休む期間はサブリーダーを立てて、彼に代行してもらうことにした。
ところが、俺が休んだ後、サブリーダーに報告を受けたところによると、社長がいくつか変な変更を要求する指示を出してきた、とのことだった。
俺の許可はとってある、と言ってたとのことだったので、不信に思いながらもサブリーダーはそれを作成し、検証して実装した。
サブリーダー「なんでそういうのを入れることにしたんですか?」
俺「それ初耳なんだけど」
サブリーダー「え?」
俺「え?」
後で分かったことだが、たびたびやるらしい。
各プロジェクトのコンテンツは社長もちょこちょこ見ていて、それに対する修正指示を、プロデューサーをすっ飛ばして、現場のコーダーやデザイナーに持ってくることがある。
これではプロデューサーの知らない裏タスクみたいなものが存在することになり、制作進行上誠によろしくない。
しょうがないので、社長にそのことを指摘しに行った。
社長はたびたび、
「各プロジェクトの結果は、各プロデューサーに責任を負ってもらう」
と公言していた。
しかしそういうことであれば、なおさら現場を掌握できていなければならない。
「よほど緊急事態出ない限りプロデューサーに対して修正指示を出してください」
という、俺としては常識的かつまっとうなことを言いに行ったつもりだったのだが。
社長「いや、俺はコンテンツをよくしようとして言ってるんであって、悪気は全然ない。当たり前じゃないか」
俺「そういうことではなくてですね、我々の知らないタスクが存在したりすると、責任をとるのが難しくなりますよ」
社長「俺君は、これまでの経験によって新しいやり方を拒否してるだけなんだよ」
なんだこの宇宙人は。
むしろ俺が諭されてるような空気になっている。
とりあえず、念押しだけして作業に戻った。
なんか漠たる不安が、社長に対する不信感となってはっきりした形を取り始めていた。
このあたりで気付いたのは、社長個人に問題がありそう、ということだった。
・社長は様々な指示をその場の気分で出してくる。
・その指示は突然どうでもよいということになることがある。
・その指示はプロデューサーなり責任者を通さないことがある。
・最終責任はいかなる場合でもプロデューサー。
まじで?Σ(´д`*)
という実態。
他のプロデューサーと時間の都合をつけて
話し合ったりした結果、どこもほぼ同じだったことが分かった。
他のチームでもすさまじかった。
社長:この時間にこういうシステムを動かして。
他チームP:え?その時間はアクセスが集中しますし、危ないですよ。
社長:どうしてもやって。
他チームP:ですから危ないですって。誰が責任とるんです?クライアントにも迷惑かかりますよ!
社長:…………。
そして社長が現場に直接。
社長:この時間にこういうシステムを動かして。
現場プログラマ:え?まぁ、やりますけど……。
社長:なんか問題が起こったらお前が責任者な。
現場プログラマ:え?え?
社長:Pには報告するなよ。
報告しねぇわけないだろ!!
冷静に考えたら俺はぞっとした。
何しろ、社長が素人なのは明白だ。
その素人が、俺たちを評価する最終意思決定者であり、言ってることは結構めちゃくちゃだ。
サポートの人たちが仕事が終わってすぐ帰るのも気にいらないようだった。
社長は定時で帰るなら、営業なり制作を手伝って帰れ、とサポートの取りまとめの人に命令した。
社長「定時で帰るなら余裕があるんだろう。営業か制作を手伝え」
サポート課長「未経験者にそれをさせるほうが大変なのでは?」
社長「そんな話は聞いてない」
サポート課長「……」
その日以来サポート課長は会社を休みがちになった。
俺のプロジェクトも問題を抱えていた。
余裕綽々で黒字を上げ、ぼちぼち単月黒字から、最終的なコスト回収も終わると考えていたころだ。
俺「ぼちぼち回収も終わりますよね?」
社長「え?全然赤字だよ」
俺「え?以前のお話では、コストが〜くらいで、現在の売上が〜ですから、
毎月〜の利益が出ているはずです。そうすると累積赤字もぼちぼち……」
社長「単月も赤字だよ」
俺「え?そんなはずは」
その時に人件費を確認すると、以前の話の倍以上の数字を示された。
おかしい。
むしろ人数は減っているのに。
プロジェクトの人数に、事務所費機材費などをかなり多めに見積もって、サーバー代などを足しても到底届かない数字だ。
俺はあとでメールで内訳を求めた。
社長のメール「内訳は開示できません。よろしくお願いします」
俺はここで社長がブラックなのだと確信した。
とにかく社長はいろいろと凄かった。
とりあえず、こんな状況でもプロジェクトメンバーの生活もかかっているし、なんとか社長の言い値の人件費を加味した上で利益を出そうと、四苦八苦した。
しかし、こちらの仕掛けに合わせて見込み客を増加させたくても、そのあたりの発注関係は社長のさじ加減ひとつ。
そのためには交渉するしかないのだが、これがまた要を得ない。
そうこうしていると、社長に呼び出された。
社長「君のとこのサイトが悪評買ってるよ!どうするんだ!」
俺「え?」
まったく寝耳に水だった。
サポートに届くメールは目を通しているので、そんな大量のクレームがガンガン舞い込むような事態になっていないのは知っている。
もちろん一定数はいるのだが、対応するべきところは対応し、スルーするべきところはスルーしてきたつもりだった。
社長「これだよこれ!」
そう言って社長が出してきた悪評とやらは、
俺も大好き2ちゃんねる!の書き込みのコピーだった。
それも1レスのみ。
俺はなんだか頭が真っ白になった。
俺「悪評……ってこれですか?」
さすがに冗談だと思って社長の目を見たら、マジもマジ。
大マジだった。
(こいつはパねぇわ……)
俺はこの会社に生涯いるのは辞めようとその時決心した。
ただ、急に辞めるにしても、困るのはプロジェクトメンバーだ。
急にバックれるわけにはいかない。
一方その頃、俺より後にプロジェクトリーダーに任命された人間が二人いた。
一人は新進気鋭の若手P、若島津P(仮名)と、それと、毛色が少し違うところからやってきたジェロニモPだ。
なんとなくキン肉マンのジェロニモに似てたから俺が心の中で命名してた。
それぞれ、社内公募の企画会議を経ることで、はじめてプロジェクトを発動させる、という社長からの説明だった。
俺は最古参なので、二人の企画をチェックする役目を仰せつかった。
若島津Pのはよく書けていた。
ちょっと荒削りなところはあるが、よく意図も分かるし、実際面白そうな新規要素もあった。
ジェロニモPはなんかだめだった。
そういえば、この人は社長だけが面接して気に言ったらしく、強引に採用された人だった。
しかし、デザインセンスはあるんだが、どうにも何を言っているのか分からない。
とにかくこれじゃ分からない、ここが分からない、だからこうしてくれ、というリテークをかけてなんとか修正してもらっていった。
そして企画発表会当日。
他にも数名候補の人がいて、粛々とプレゼンは終わった。
各プロデューサーが出席していて、予想通り、若島津Pは事業計画を含むプレゼンをしてもらうことになった。
ジェロニモPはいまいちだったので、見送り……という空気になった矢先。
社長「ジェロニモにはもう一度プレゼンしてもらう」
一同「え?」
社長「してもらうから。来週」
そういって社長はジェロニモPの企画のテコ入れに自ら入った。
その翌週のプレゼン会の前に、社長のテコ入れが入った企画書をジェロニモPにドヤ顔で見せられた。
一人でPもDもPマネも全部兼ねているような糞忙しい状況で
なんとか時間を作って拝見させてもらったが、むしろ悪化していた。
いちおう最低限の指摘はしたが、その週のプレゼン会に出てきた企画はまったく直されていなかった。
一同「じゃあ今度こそ見送りということで……」
社長「なんで?来週もジェロニモPにやってもらうよ?」
一同「えっ……?」
その押し問答は、全員が根負けしてジェロニモの企画を通すまで毎週毎週続けられた。
一か月は毎週開催した。
社長「この企画はみんなで承認したんだから、責任はみんなで取るんだぞ」
田中「チっ……」
いつのまにか田中さんが社長の面前で舌打ちするくらいグレていた。
まぁ、小さく本人には聞こえないようにだったが、隣に座ってた俺には聞こえた。
ここからが凄かった。
ジェロニモPの企画を社長は大変お気に入りで、普通では考えられないほどの人数を新規雇用し、プロジェクトに配置してしまった。
一方、若島津Pは通常よりも少ない人数を配置されただけだった。
その挙句、若島津Pは企画を承認した翌日に、企画に関することで社長にかなり大規模な改変を要するような指示を受けてしまった。
たとえていうと、もともとBtoB(対企業要)だった企画を、一般顧客向けのものに根本的に変えられるような感じ。
もともと社長は口出しは好きな方であったが、これまでは出来上がったものに指示を出してきていた。
しかし、このあたりから、だんだん企画段階で口出しするようになってきていたのだ。
社長「この方法で、こういう作り方にしてほしい」
若島津P「それだと無理です。期間が倍になるかもしれません」
社長「そんなことは聞いていない。で、売り上げはこれくらい」
若島津P「それはちょっと……」
社長「君はちょっと反抗的すぎないかね?」
若島津P「そういうやり方でしたら、責任はとれませんので辞めるしかなくなりますが」
若島津Pの捨て身の正拳ディフェンスも効かなかった。
社長「じゃあ辞めれば?」
こうして若島津Pはプロジェクトメンバーを残して本当に辞めていった。
気付いたら、ジェロニモPはかなりの権力を手中にしていて、とにかくほしいといえばどんな人材計画でも承認してもらっていた。
そしてプロジェクトリーダーは俺、田中さん、ジェロニモP、あと何人か、まで減少してしまっていた。
それでも社員の生活のためには頑張らなくては、と思っていた。
このあたりで、社長がふと、急に不思議な目標を通達してきた。
それは、広告媒体によらないでサービスを利用し始めた人たちの
顧客単価を少し上昇させてほしい、ということだった。
それくらいなら、と思ったが、属性別に調査したところ母体数が非常に少なかった。
1人の動向だけで数パーセントも変動するようなレベル。
社長「まぁ、目安みたいなものだから」
とりあえず了承した。
いくつか手を売って、社長の目標には届かなかったものの、そこそこの成果が出た。
かなり良好な手ごたえで、継続して手を打てば大丈夫なように見えた。
このあたりでは、社長からの突っ込みは減っていたので安心していた。
社長はジェロニモPのプロジェクトに夢中なようだった。
あれだけの人員を使ってコストをかけた際に回収ができるかは疑問だったが、ここは社長の会社だから好きなようにすればいい。
しかし、それにしても社長の突っ込みはあまりにも細かくあまりにも具体的すぎるので、社長の思いつきはどの現場も嫌がりはじめていた。
そんなある日、俺は社長に呼び出された。
社長「俺君さ、話の内容、予想がつく?」
俺「あぁ、以前頂戴した目標の件ですか?」
社長「そうそう。あれなんだけど、達成できなかったよね。
だから君に責任をとってもらって、プロジェクトリーダーから降格してもらおうと思うんだよ」
俺「はい?」
社長「だから……云々」
しばらく聞いた後、俺は一応反論してみた。
俺「お言葉ですが、ちょっと待ってください。頂いた目標は、期間は曖昧に設定されていました。
そのため、上昇傾向が現状では見えていますので、長い目で見れば達成は可能だと思うのですが」
社長「俺君って反抗的だよね」
俺「はい?」
反抗的って言われた。
社長「社長がやれって言ってるんだから最優先でやるべきだよね。何?曖昧な期間って」
俺「いえですので、目標は顧客単価の増加であって、達成に至るまでの期間が……」
社長「それが反抗的だというんだよ」
俺「ほーう、何がですか?」
さすがにちょっとキレた。
社長「君は俺の言うことを全然聞かないよね。要望も全然反映しないし。
それに君のチームは開発も閉鎖的だよね」
しょうがなく、開発の状況については毎週毎週個別に打ち合わせをした上で
現況や懸念事項一覧、進捗状況を示した資料を提出していたこと。
実装前の忙しい状況にも関わらず、社長の要望にはできる限り応えてきたつもりであることを伝えた。
社長「それが反抗的だというんだよ」
俺「はい?」
社長「俺が言ってることなんだから、全部やらなきゃだめだろ」
俺「実装するかしないかの判断は任せる、とおっしゃったケースもあったかと」
社長「そんなの関係ないよね」
こいつは頭がおかしい。
いや、実は俺がおかしいのだろうか?
実装直前の状況で、社長の思いつきのようなシステムをなんとか入れたことを話してみた。
社長「それは俺の要望を飲んだことにならないだろ?」
俺「といいますと?」
社長「結果が同じだったとしても、方法が俺の言ったのと違うじゃん。
じゃあ俺の言うことを聞いたことにはならないよね」
ぶん殴ろうかと思ったが、かろうじて我慢した。
この瞬間、俺は社長に見切りをつけた。
社長の最終的な承認を得ていたケースであっても、当初の社長の思いつき通りの方法でなかったとしたら、この会社ではプラスではなくマイナス評価になっていたのである!
このあたりでようやく、俺の目の前で辞めていった
ベテランプロデューサー氏が置かれた状況が理解できた。
ちなみに嘘だと思われるかもしれないが、あそこまでやってなお、社長はベテランプロデューサー氏が本当に辞めると思っていなかったとのこと。
「俺の言う通りの方法で、俺の言う目標を達成しろ。ただし何があっても責任はお前がとれ」
という状況だった。
なんとなくそうかもな、とは思っていたが、
まさか「俺の言う通りの方法で」というのが重要なファクターだとは思ってもいなかったため、さすがに固まってしまったのだ。
社長「ま、給料は下げるがいずれ別のプロジェクトを用意する。
それまでは各コンテンツの企画の支援とかを頼むよ」
というわけで新しい辞令をもらったんだが、もう辞めます、と伝えてきた。
しかし社長がこんな感じなんで、辞めますと伝えに言ったら、田中さんもすでに辞表を出していた。
あとジェロニモ以外のPのうち半分くらいが辞めることになった。
というわけでだいたい書き終わりました!
最後まで読んでいただいてありがとうございます!
何か質問があれば答えるよ!(`・ω・´)
結構な人数が抜けることにはなっているので、現状では、会社を作っちゃおうか、という話になっている。
>いいねいいね。社長ざまぁな展開期待してるよ。
こちらもそれを狙ってがんばりたいところです!
いずれにせよ、現状では恐ろしいことに経験者のPがいなくなっちゃった
みたいなんで、どうなることやら……
年配のPで、会社経営の経験がある人に任せる予定です。
登場はしなかったんですが、その人も辞めちゃうので。
>1のスペックおしえて
3x歳 大卒
非童貞
業界歴8年
異業種経験あり
こんなところで(´・ω・`)
先に辞めていった若島津Pによると、すでにうちの社長の悪評が結構出回っているようで。
そのうちまるごと潰れちゃうんじゃないですかねぇ。
社員数そのものは結構な人数になってしまっているので、彼らが路頭に迷うと困りますが……。
>みんなで辞めて会社作るなら客も一緒に奪って徹底的に潰してやろうぜ
まぁ、その辺は法令に照らして問題ない範囲でがんばろうかとw
>辞めてった人たちにもこえかけてみたりするの?もうしてたりして
>違う会社にいてたとしても、元〇〇社退社組で団結力ありそうww
声はかけてみましたw
すでに結構いい待遇で雇われていたり、
仕事と顧客を回してくれそうだったり、世の中コネですなぁ。
前の会社から役職を用意するから戻っておいで、
とも言われたんですが、会社作りのほうが面白そうでw
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社長がガイジだってだけの内容で長すぎ
長すぎるわ。
てか、検証30分とか言い出す時点で、
とっとと辞める以外の選択肢は無いと思うんだが。
てか、検証30分とか言い出す時点で、
とっとと辞める以外の選択肢は無いと思うんだが。
積もる恨みもあったんだろうが長い文章を赤の他人に最後まで読むほど面白い話ではなかった
な
その後会社は倒産、位のオチを期待した俺がバカだったわ
なげーよ
とっとと辞めない時点でこいつも同類の馬鹿だろ
とっとと辞めない時点でこいつも同類の馬鹿だろ
アンガールズ田中のチンポ並になげーよ。
長い長いけど、
これがコンパイルで起きてたことだと思うと、
じっくり読んでしまう。
これがコンパイルで起きてたことだと思うと、
じっくり読んでしまう。
こんなダラダラ中身ないこと書いてものすごく単純に言うとなんて前置きすんじゃねーよ
社長はガイジでこいつはアスペ
社長はガイジでこいつはアスペ
これに近いブラック会社にいた俺からすれば、痴漢えん罪ではないが今すぐ逃げるべきだと思う
これ社長さん、妙な勉強会やら社長会合に行ってないか? 後は東大等のほうから妙なゴロを引き入れてそういう人とよく会ったりしてないか? 若しくはVCが入って余計な差し出口利いてないか?
俺がいたベンチャーではこれらが原因でgdgdだった。
俺がいたベンチャーではこれらが原因でgdgdだった。
政治屋なら蓮舫並みに優秀な軽いアタマなんだがなww
とりあえず会社のトップが現場をかき回すような人なら、さっさと見切りをつければいいのだ、耐えたって誰も褒めねーよ!
とりあえず会社のトップが現場をかき回すような人なら、さっさと見切りをつければいいのだ、耐えたって誰も褒めねーよ!
コイツが無能であることは、すぐに分かった。
最初の一回で見切りつけるには十分だろうに
たかが見切り付けるだけの話でこの長さ。報告者の無能さがよくわかる。
読んでいくうちにあんまりにもいまの日本政府と酷似しているので怖くなったわ。もう俺らも新会社おったてるしかないんかねぇ?
あ、その為の共謀罪強行か!
あ、その為の共謀罪強行か!
※16
頭大丈夫かー?
今日の薬は飲んだかー?
病院いけー
頭大丈夫かー?
今日の薬は飲んだかー?
病院いけー
こういった社長って、昔の「初代ワンマン社長」とかいうタイプで実は日本では一番多いタイプ。
昭和の時みたいに全て発展途上の頃は、「頭角を現し、そこそこの企業に成長する」のが
多かったみたいだが、平成の今では情報発信が容易なので通用しない。
とりあえず「この会社・社長・と合わない」と感じたら、自身に無理が出る前に辞めるべき
昭和の時みたいに全て発展途上の頃は、「頭角を現し、そこそこの企業に成長する」のが
多かったみたいだが、平成の今では情報発信が容易なので通用しない。
とりあえず「この会社・社長・と合わない」と感じたら、自身に無理が出る前に辞めるべき


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