ホームレスと立場が逆転した話。
昔駅の近くにホームレスのたまり場みたいなところがあった。
よく小学生の頃友達と興味本位でお菓子を持って行ってあげたり
ジュースをあげたりしてホームレスのおっちゃんとだべってた。
小さい頃ってそういう人間に抵抗が全然無くて、相手も好きのおっちゃんだった。
しかし小学校上学年あたりで母親にあー言うところに行っちゃ駄目!ときつく叱られた。
中学あたりでばったり行かなくなり、なんで自分達はあんな汚い所に行ってたんだろうと罪悪感すら覚えた。
気づけばホームレスのおっさんは駅から追い出されたのか居なくなっておりそんな事も忘れて平和な日常を過ごしていた。
そのまま苦労する訳でもなく学校を卒業して社会人になって一人暮らししてるさなか
会社が倒産した。景気が悪い時代のピークでアルバイトすらまともに決まらず家賃光熱費の支払いで貯金は見る見るうちに減る一方
手持ちの金は3000円を切りこのまま行けばアパートを追い出されホームレス確定。
もう魂がぬけたような状態でハローワークを行き来する毎日。
でハロワの帰り道につい腹が減ってしまい(3日くらい何も食べてなかった)少ない手持ちで定食屋さんに入った。
なんでもいいから安いメニューを選んでると
「いらっしゃいませ」
と水を持ってくる店主の姿が。
あれ?どこかで・・・と顔を見たら信じられない事に昔よく遊びに行ってた駅に居たホームレスのおっちゃんだった。
「あれ!?あの時の兄ちゃんか!」
と言われこちらも驚き挨拶し返した。
なんでもあれからしばらくしてホームレスを辞めてアルバイトやらなんやらしながら金を貯めて個人経営の飲食店を始めたらしく。
おかげさまで元々調理師免許もあったらしく、食っていくには十分な立場になったそうな。
俺と立場が正反対になっていて驚いた。
小汚いみすぼらしいおっさんが気づけば白い帽子の似合う料理人…
自分が情けなくておっちゃんに泣きながら愚痴ったよ。
色々相談に乗ってくれただけではなく飯まで奢ってくれたり。
再就職するまでアルバイトとして使ってくれたり。
本当に信じられないくらい感謝した。
再就職出来てまた何年か経って久々におっちゃんの経営してる食堂に行ったが
既にその食堂は潰れていた。
なくなった土地はコンビニに使われており凄く哀しい気持ちになった。
色々感謝したいしまたおっちゃんと話がしたいしで
前の飲食店の経営者の動向を聞きたいために新しく立ってたコンビニの責任者に
聞いてみようと思い店に入ったら普通におっちゃんがオーナーになってて驚いた結末
なんでも飲食店が徐々に赤字になっていったらしくこのままだとやばいからとコンビニ経営を決意したとか。
また職失ったら雇ってやるからいつでも来いと言われて嬉しかった。
夫婦仲良く何時までも頑張ってほしいなと思った・・・ただもうおっちゃんのカツどんが食えないのは寂しいがw
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