セル「……」

ベジータ「そいつが完全体とやらか。やはり、思ってたよりも大したことなさそうだ」

セル「……ふむ」

ベジータ「あんなカスみたいなやつをいたぶってうれしいか?」

セル「これは失礼。ではキミが、わたしのウォーミングアップを手伝ってくれるのかな?」

ベジータ「いいとも。ウォーミングアップでおしまいにしてやるぜ」

セル「よろしく」



セル(ふはは……素晴らしい、素晴らしいぞこのパワー!!今なら誰にも負ける気がしない!!」

ベジータ「おい、心の声が漏れているぞ」

セル「む、これは失礼」

ベジータ「でやっ!!」ズバッ!

セル「ふんっ!」ガッ

ベジータ「! ほう……」

セル(素晴らしいっ……以前は受け止めてもガードごと吹っ飛ばされたのに、今は受け止められるっ!!)

セル「はっはっはぁ!」ブンッ!

ベジータ「ちいっ!」バッ

セル「そぅらっ!!」シュッ!

ベジータ「はぁっ!!」ガシッ!

セル「ぐぬっ……!?」

ベジータ「どうしたセル!?そんなものかぁ!!」バギッ!!

セル「まだまだだっ!!」


ドガッ、バキィ、ズドドドドドド!!

クリリン「す、すげぇ……完全に互角だ……」

トランクス「あれだけ修行した父さんと互角なんて…でも、これなら……」

クリリン「……ああ、わかってる。お前は、更にとんでもない力を隠してるってんだろ」

トランクス「! ……気付いてたんですか……」

クリリン「なんとなくな……。でも、その力でベジータに加勢すれば、セルをやっつけることだって出来るんじゃないのか?」

トランクス「……父さんはプライドの高い人だ……俺が父さん以上の力を手に入れてしまったなんて、言えるわけないじゃないですか……」

トランクス「あのまま父さんが勝ってくれればいいのですが……最悪、負けても気を失いさえすれば、俺が代わりに戦いに出ることもできる……」

クリリン「……あ、ああ。俺もその方がいいと思うぜ」

ベジータ「はぁ、はぁ……は、ははは!さすが、完全体と言うだけの事はあるな!この俺様と互角に戦うとは!」

セル「はぁ、はぁ、……ふふふ、そいつはどうも……!」

ベジータ「だが、次でおしまいだ!かぁぁぁぁっ……!!」バチバチッ…!!

セル「!?」

ベジータ「ファイナルフラーッシュ!!」カッ

クリリン「は、離れろトランクスーっ!!」バッ

トランクス「くっ!」バッ

セル「ぐぅっ!!?」バッ

ドシュウウウウウウウウウ!!!


ベジータ「はぁ、はぁ……どうだ、セルめ……!!」

セル「ぐ、ぐぬぅ……!!」

ベジータ「は、はぁっはっはっは!!!ざまぁみやがれ!!これで、俺と貴様には決定的な差が出てしまったな!」

セル「ま、まだだっ……!はぁっ!!」ズルゥゥ!!

ベジータ「なっ……!?」

セル「は、ははは……!わたしがピッコロの細胞も持っていることを忘れたのか!?」

ベジータ「ちぃっ……!」(まずい、今ので気をほとんど使い果たしてしまったっ……!!)


セル「はぁっ!!」バキィ!!

ベジータ「があああああっっ!!?」ドガァァァン!!

パラパラ…

ベジータ「……」フッ

セル「ふ、ふはは……!やった、ベジータを倒したぞ!!これで、俺に敵う者はいない!!」

クリリン「お、おいトランクスっ!!」

トランクス「わかっていますっ!!」

トランクス「はぁぁぁぁぁぁ……っっ!!」ググググググッ……!!バチンッ!!

セル「!?」

セル「な、なんだあれは!?と、トランクス……か……!?」

トランクス「………」スゥゥゥゥ…スタッ

セル(な、何と言うパワーだっ……!?)

トランクス「クリリンさん!父さんを連れて武天老師様のところへ!」

クリリン「あ、ああ、わかった!勝てよ、トランクス!!」

トランクス「はい、任せてください」

セル(し、信じられん……!!こんな奴がこの世にいるとは……!?べ、ベジータ以上……!?)

トランクス「はぁっ!!」ブゥン!!

セル「ひっ!?」サッ

トランクス「でぇいっ!!」ブゥン!!

セル「ぐっ!?」サッ

トランクス「くっ!!」ババッ、ブゥン!!ブゥン!!

セル「ぬは、ぬは、ぬははは!!どうしたトランクス!?ひっ、あ、当たらなければ、どうということは、くっ、ないぞっ!?」サッ サッ サッ

トランクス「ちぃっ、すばしっこい奴め!!」バババ、ブンッ!!

セル「ふ、ふはは、うおっ、悔しかったら、むっ、当ててみろよトランクスっ!」ササッ バッ

トランクス「な、何故当たらない…!パワーなら俺が上回っているんだ……!!」

セル「ふ、はは、は………パワーを重視するあまり、スピードが犠牲になっているのだ!それではいくらやってもこのわたしに攻撃を当てることなど、で、出来んぞっ!!」

セル(当たったらひとたまりもないだろうが……言ったもの勝ちだ!!)

セル「貴様はバカなのだ、トランクスめがぁ!!」

トランクス「う、うおおおおお!!?」バシュウウ!!

セル「ひぃっ!?」ビクッ

トランクス「でやぁぁぁ!!」ブゥン!

セル「しまっ……!!」

バキャッ…

トランクス「……!?あ、当たった……!?」

セル「うぉぉぉぉぅ……!!!」ボトッ

トランクス「は、ハハハ!!バカはどっちだ!!油断したなセル!!」

セル「ち、ちくしょうっ……!はぁっ!」ズルゥ!!

トランクス「! ちっ……そう言えば、ピッコロさんの細胞も持っていたんだったか…!」

セル「は、ははは……!貴様のパワーがどれだけ凄かろうと、一気にわたしを倒すことができなければわたしは何度でも蘇るぞ!」

トランクス「くっ……くそおおおおお!!!」バッ

セル(ふ…ははは!奴のスピードにも慣れて来たぞ!!)ササッ

トランクス「でやっ!!」シュッ

セル「ぬははは!!どうしたトランクス!!」サッ ババッ

一時間後―――

トランクス「はぁっ……はぁっ……!」

セル「はぁ……はぁ……どうしたトランクス……だいぶ息が上がって来たではないか……!」

トランクス「くっ……でいっ!」ブンッ

セル「これ以上、いくらやっても無駄だ!」ササッ

トランクス「くっ……くそっ……!ダメだ、攻撃が当たらないんじゃいくらやっても……!」

セル「そうとも、わたしを倒すことは不可能だ。理解したかな?」

トランクス「……」

セル(とはいえ、あれだけ強いと俺の攻撃もダメージ通らなそうだよな……どうしよう……)

セル「よし、わかった。このままでは貴様も消化不良だろう。後日、改めて決戦の舞台を用意しようではないか」

トランクス「……!?どういうことだ!?」

セル「武道大会を開いてやろうと言うのだ、このわたしが」

トランクス「な、何のことだ……?」

セル「間を置き、互いに更に修行を積んで再戦しようと言うのだ。悪い話ではあるまい?」

セル「今ここに姿を現さない孫悟空も、恐らく修行しているのだろう?」

トランクス「ご、悟空さんなら、必ずやお前を倒す!俺はそう確信している!」

セル(やっべぇ……)「い、いい答えだ。では、後日。場所や日にちなどは追って知らせてやろう。ではな」バッ

トランクス「ッ……」

セル「危ない危ない……なんとかあの場から逃れることが出来た……」ヒュウウウウウ

セル「どうしたものか……と、とりあえずリングを作ろう」

荒野―――

セル「…ふむ。ここらでいいだろう」スタッ

セル「しかし……奴らは短期間であれほどの成長をしたと言うのに、わたしはのんきにリングを作っている場合なのだろうか……」

セル「考えねば………奴らに対抗する術を……」

セル「……むぅ………」

セル「そう言えば、わたしはピッコロの細胞も持っているんだったな」

セル「と言うことは、遠いながらもピッコロ大魔王の細胞……と言い変えることも可能なのではないだろうか?」

セル「確か奴は、同族を生み出す術を持っていたな……。ピッコロ本人にその力は備わってはいないようだが……」

セル「物は試しか。わたしになら出来るかもしれん」

セル「……と言っても、どうやって生み出すのかがわからぬからな……」

セル「とりあえず適当に気を高めて……」シュインシュインシュイン

セル「口から……だったか?んんん……うぉえっ……」シュインシュイン……パシュウウウ…

セル「はぁっ…はぁっ…」

セル「ダメだ……生み出せる気がせん……むしろ、吸収した17号、18号を戻しそうだ……」

セル「むぅ……困ったぞ……。このままではわたしは間違いなく殺される…」

セル「………そうだ、口がダメなら他から出すのはどうだ?」

セル「幸い、わたしには尻尾がある。ここからなら……んんんんんんんん……」ググググググググッ……

ポンッ

セル「!?」

セルJr「……」ムクッ

セル「おお……」

セル「こ、言葉はわかるか?」

Jr「ウン」

セル「おお……」

セル「よし、いいか?今からお前は俺の仲間だ。今度、武道大会があるのだ。集まってくる敵を相手に、戦えるな?」

Jr「ウン、タタカエルヨ」

セル「おぉう……」(なんだ、この気持ちは……)

セル「ま、まぁあれだ。今日はもう遅いからな。とりあえず、修行は明日から始めることにしよう」

Jr「ウン、ワカッタヨ」

Jr「パパ」

セル「!?」

Jr「ジャア、ボクモウネルネ」タッタッタ

Jr「……Zzz」

セル(岩場の側で横になって寝ている……)

セル(それにしても…わたしがパパ…だと…?)

セル「ふ、ふはは……まぁ、これでとりあえずの戦力を確保する事が出来た」

セル「セルゲームが楽しみだ!」

チュインッ

セル「!?」

セル「……孫悟空……か?」

悟空「とうとう完全体になったか……」

セル「……そ、そういうことだ」(なんかやたら強くなってね?)

悟空「トランクスから話は聞いた。武術大会を開くそうだな……」

セル「ああ。名を『セルゲーム』と言う」

悟空「いいか、オラ達はその大会に出てやる。だから、もう人間に危害は加えるんじゃねーぞ?」

セル「元よりそのつもりだ。場所は……まぁ、言わんでもわかるだろう。ここにリングを作るから、今日より7日後に、ここに集まるがいい」

悟空「ああ、わかった。……いい試合……に……なりそう?だな」

チュインッ

セル「……っ、はぁ……はぁ……」ガクッ

セル(なんだ今の気は……!?奴め、とんでもなく強くなっている……!!)

セル「ふ……ははは……これは落ち着いている場合ではないな……」

セル「よし、わたしも修行を始めるとするか!」

セルゲームまであと6日―――

Jr「オハヨウ、パパ」

セル「む、起きたか。うぅむ……修行の前に、まずはそのカタコト言葉をなんとかするか」

Jr「?」

セル「わたしと楽しい勉強会だ」

数時間後―――

Jr「あーあー。こんにちは、はじめまして。僕はセルジュニアです。セルは僕のパパです」

セル「うむ、完璧だ。しかし、名前がセルジュニアとは流石に安直だな……」

Jr「?」

セル「よし、今からお前の名前は『セリア』だ」

セリア「せ、り、あ?」

セル「いい名だろう?」

セリア「僕の名前?」

セル「そうだ。今後はそう名乗るといい。では、もう一度自己紹介の練習だ」

セリア「えーと……。こんにちは、はじめまして。僕の名前はセリアです。セルは僕のパパです」

セル「いいだろう、先ほどよりも自己紹介がよくなったぞ」

セリア「ありがとう、パパ」

セルゲームまであと5日―――

セリア「てい、やあ!」

セル「なかなか筋がいいぞ、セリア!この調子ならば、ピッコロぐらいならば余裕で勝てるだろうな!」

セリア「はぁ、はぁ……」

セル「ふふふ……この調子で行けば……。ふふふははは……」

セリア「パパ、休憩しよう」

セル「ああ、そうだな」

セルゲームまであと4日―――

セリア「パパ、修行しなくてもいいの?」

セル「ああ、根を詰め過ぎても良い結果にはならん。たまには休憩も必要なのだぞ?」

セリア「うん、わかった」

セリア「…Zzz」

セル「ん……寝たのかセリア…」

セル(しかし…なんだろうな、この気持ちは。これが父親と言うものか……)

セル(考えてみれば、わたしの中にはベジータや悟空の細胞もあるのだな)

セル(それらの細胞がわたしをこんな気持ちにさせるのだろうか……)

セルゲームまであと3日―――

セル「そうだ、すっかり忘れていた。セルゲームのリングを作らなくては」

セリア「リング?」

セル「ああ。一応、武道大会ということになっているからな。リングがなくては話にならん」

セル「〜♪」ボゴッ ビビッ ピッ

ガララララ… ヒュヒュヒュ ピッ ビビビッ ザザザザンッ

セル「よし、完成だ。我ながら中々しゃれたデザインに仕上がったぞ」

セルゲームまであと2日―――

セリア「やあっ!!」シュビッ

セル「ふっ!」ヒュンッ

セリア「くっ!たあ!」ブンッ バキャアッ!!

セル「あ」

セリア「……あ」

セル「せっかく作ったリングが……」

セリア「ご、ごめんなさいパパ」

セル「……」ず〜ん…

セルゲームまであと1日―――

セル「いよいよ明日か……。はぁ……」

セル「リングを作り直さねば……。はぁ……」

セリア「パパ!」

セル「む、どうかしたかセリア」

セリア「こっちに来て!」

セル「一体どうしたと言うのだ……」

セル「……こ、これはっ……!?」

セリア「あの、リングを壊しちゃったのは僕だから、作り直したんだけど……どうかな?」

セル「……セリアよ」

セリア「は、はい」

セル「お前は良い子だなぁあああああ!!!」ガッシ!!

セリア「うわっ!?」

セル「よくやったぞセリアぁぁ!!」ぐりぐり

セリア「ぱ、パパ、くすぐったいよ」

セルゲーム当日―――

セル「いよいよ今日、セルゲームだ」

セリア「……っ」ゴクリ

セル「セリアよ、お前はとりあえずどこかに隠れていろ」

セリア「え?」

セル「セルゲームのサプライズだ。奴らは、わたし一人だけだと思っているだろうからな。奴らが揃ったところで、お前が姿を現すのだ」

セリア「……」

セル「せっかくの武道大会だ。趣向を凝らしたいだろう?」

セリア「うん、わかった!」タッタッタ…

セル「よし……。ふふふ、早く来い孫悟空達よ……」

シュタシュタシュタシュタシュタシュタッ

セル「来たか。ようこそセルゲーム会場へ」

シュタッ

16号「………」

セル「ほぉ……16号。お前もまだ生きていたのか」

悟空「さて、と……まずはオラからやらしてもらおうかな」グッグッ

セル「おっと、ゲーム開始の前に、わたしからちょっとしたサプライズがある」

悟空「えっ?」

セル「セリア、出て来るがいい!」

セリア「……」ひょこっ

ベジータ「な、なんだあのちっこい奴は……?」

セル「紹介しよう。わたしの自慢の息子、セリアだ」

セリア「こ、こんにちは、はじめまして!僕の名前はセリアです!セルは僕のパパです!」

トランクス「むす……こ……?」

セル「今回、セリアがお前達の相手をすることになる」

セリア「よ、よろしくお願いします!」

悟空「ありゃぁ……」

セル「ふはは、心配することはない。見た目はちっこいが、パワーはかなりのものだ」

セリア「……っ」カチコチ

悟空「………まぁ、いっか!」

悟空「よろしくな、セリア!」スッ

セリア「! ……」チラッ

セル「握手だ、セリア」

セリア「……よ、よろしくおねがいします!」ガシッ

セル(微笑ましい光景だ……)ホンワカ

悟空「そんじゃ、行くぞ!」ダァンッ

セリア「っ!」タンッ

悟空「でやっ!!」ブンッ

セリア「くっ!?」タシッ

セル(そうだ、いいぞセリアよ……受け止めるでもなく回避するでもなく、受け流すのだ)

悟空「へぇ……ふっ!!」シュビッ!

セリア「は!」パシッ

悟空「おっ?」グラリ

セル「今だ、セリアああああああ!!!」クワッ

悟空「!?」

セリア「たぁっ!!」バキッ

悟空「ぐっ!?」ヒュウウウ……スタッ

悟空「あ、あぶねぇあぶねぇ……リングアウトになるところだったぞ」

セル(流石孫悟空だ……武道大会のなんたるかを心得ているな)

悟空「おいセル!今の卑怯じゃねぇか!」

セル「何の話だ?」

悟空「いきなりでけぇ声出しやがって!黙って観戦出来ねぇのか!?」

セル「そいつは失礼した。少々興奮してしまったようでな」

トランクス(一体何が起こっていると言うんだ……?)

悟空「だぁぁぁ!!」バキィィィィッ!!

セリア「くあっ……!!」ヒュウウウウウ……ドォォォォン

セル「せ、セリアあああああああああああああ!!!」タッ バシュウウウウウ!!!

悟空「やっべ……ちっと力入りすぎちまった」

セル「大丈夫か、セリア!?」ガバッ

セリア「うう……ごめんなさい、パパ。僕、負けちゃった……」

セル「いや、気にする事はない!お前が無事ならそれで……!」

悟空「おーい、でぇじょうぶかー?」

セル「ああ、大丈夫だ!心配かけたな!」

悟空「そっか、よかった!」

ベジータ「チッ!おいセル!さっさとゲームを続けやがれ!」

セル「ああ、そうだったな。本日のセルゲームは、これにて終了だ!」

全員「!?」

セル「またセリアと戦いたくなったら、いつでも来るがいい!」

ベジータ「ふ、ふざけるなセル!!俺は貴様と戦いに来たんだぞ!!」

セル「バカものがあああぁぁぁぁぁっ!!!」

ベジータ「!?」

セル「戦いなんぞよりも……戦いなんぞよりもっ!!自身の息子の方が大事だろうがあああああああ!!!」

ベジータ「なっ……!?」

セリア「……」ビクビク

セル「おっと、すまないなセリア。つい大きい声を出してしまった」

セリア「う、ううん。大丈夫だよ」

セル「とにかく!本日はここまでだ!皆、御苦労だったな」

ベジータ「くっ……バカにしやがってぇぇぇ!!」バシュウウウウウウウ!!

トランクス「とっ、父さん!?」

ベジータ「貴様の都合など知ったことか!俺と勝負しやがれええええ!!!」ダァンッ!

セリア「ぱ、パパ!!」

セル「ふぅ、仕方ない……セリア、下がっていろ」

ベジータ「食らえええええぇぇ!!」ダダダダダダダ!!

ドドドドドドドォォォン!!!

悟空「お、おいおいベジータ!ちっとやりすぎじゃねえか!?」

ベジータ「やかましいカカロット!!俺は一度奴と戦っているのだ!!この程度でくたばるような奴では……」

セル「その通り」タッ

ベジータ「!?」

セル「せいっ!!」バキャ!!

ベジータ「ぐぅ!?」ズザザッ!

セル「全く、ふざけおって……貴様にも息子がいるだろう!!」

ベジータ「な、何を…!?」

セル「俺の、息子を想う気持ち、貴様にもわかるはずだ!!」

ベジータ「……」

トランクス「と、父さん……」

セル「それがわからぬと言うのなら……貴様の性根、今一度叩き直してやるぞ、ベジータ」

ベジータ「…………チッ!!」タンッ バシュウウウ!

悟空「あ、おいベジータ!……行っちまいやがった」

トランクス「僕が父さんを追いかけます!」タンッ バシュウウウ!

セル「孫悟空」

悟空「……なんだ、セル?」

セル「正直なところ……今のわたしは、貴様などどうでもいい。ただ、セリアと穏やかに暮らせれば、それで……」

セリア「……」

悟空「だが、おめぇが罪のねぇ奴らを殺したのは事実だ。それは消えねぇぞ?」

セル「ああ、わかっている……わたしも、息子を持ったことで自身の罪の重さを理解したつもりだ」

悟空「………もう一度確認するが、今後はもう一般人を襲うつもりはねぇんだな?」

セル「今のわたしでは……恐らく、貴様には勝てん。だが、貴様に拘るつもりも既にわたしには無いのだ。これからは、セリアと二人、静かに修行でもしながらすごしたいのだ」

悟空「そっか!悪いことをしねぇってんなら、オラはそれでいいさ」

クリリン「い、いいのかよそれで……」

悟空「今までセルに殺された奴は、ドラゴンボールで生き返らせればいい。もう、セルは悪い奴じゃねえさ」

クリリン「で、でもよ…」

セル「わたしが吸収した17号、18号が心配か?」

クリリン「!」

セル「案ずることはない。ドラゴンボールの力ならば、わたしが吸収したその二人も元に戻すことが出来るだろう」

クリリン「ほ、本当か?」

セル「そうだとも。わたしのこの姿が変わることもないだろうが、それでとりあえずは解決ではないのか?」

クリリン「そ、そっか……でも、俺はお前を許さないぞ、セル!!」

セル「貴様の怒り、甘んじて受け入れる。殴りたくば殴るがいい」

セリア「パパ……」

クリリン「くそ……息子の見てるところでお前を殴るなんて出来るわけないじゃないか……」

セル「すまないな、クリリン。礼を言う」

クリリン「うるせぇ!俺はお前を許したわけじゃないんだからな!」

セル「ふはは……貴様とも、いずれわかり合いたいものだな」

16号「俺は……」

セル「む?」

16号「俺はどうすればいい?」

セル「貴様のことなど知るか。本来わたしがいた未来に、16号などと言う人造人間は存在しなかった。16番は欠番だったのだ。それがどういうわけか、この世界では貴様が存在している」

セル「貴様がどうしたいか……それは、貴様にしかわからんさ」

16号「………俺、オレ、おれは……」ガガッ ピーッ

セル「!」

16号「おれハ、ボウソウするいれぎゅらーノはいじょヲ……」ピーッ ピロロロ ガーッ

悟空「お、おい16号!?どうしたんだ!?」

16号「せいじょうナしこう、フノウ……フノウ……」プスプス……ピタッ

16号『重大なエラーが発生しました。至急メンテナンスが必要です。繰り返します。重大なエラーが……』

セル「………」

悟空「あちゃあ……オラ、メカのことなんて全然わかんねぇぞ……どうすっかなぁ……」

16号『緊急停止します。緊急停止します』ピーッ ドゥウウウン……

セル「こいつは、恐らく17号と18号を抑止する役割を担っていたのだろうな。その役割が不要になり、どうしていいのかわからなくなったのだろう」

悟空「よくわかんねぇ…」

セル「こいつを直した科学者の所に持って行ってやれ。そして、ドラゴンボールによって復活するであろう17号と18号と一緒にいさせてやれ」

セル「そうすれば、今後このようなことになることもないだろう」

悟空「そっか!ブルマんとこ持っていきゃあいいんだな!」ガッシ

悟空「おーい悟飯!オラ達もけぇるぞー!」

悟飯「あ、ハイお父さん!それじゃね、セリア」

セリア「うん!悟飯、バイバイ!」

悟空「んじゃな、セル!息子と仲良くな!」

セル「「ふん、貴様に言われずとも。また、いつでも来るといい。セリアも、喜ぶだろう」

セリア「うん!僕、また悟飯とお話したい!」

悟飯「次来る時は、僕と組み手お願いしてもいいかな?」

セリア「うん!」

悟空「うしっ、行くか!悟飯、クリリン!」タンッ バシュウウウ!

悟飯「はい!」タンッ バシュウウウ!

クリリン「お、おう!」タンッ バシュウウウ!

セル「行ったか……ふふ、不思議な男だ、孫悟空」

セリア「……」

セル「セリア、悟飯と仲良くなったのだな」

セリア「うん、仲良くなった!」

セル「ふはは、いいことだ。さて、わたしたちも一休みとするか!」

悟空「はは、すっかりセリアと仲良くなったんだな!」

悟飯「はい!戦いは好きじゃないですけど、組み手ならやってみたいです!」

悟空「そっか!よかったな、悟飯!」

クリリン「はぁ……ま、物騒な戦いになんなくってよかったって思えばいいのかな……」

悟空「ま、そうだな。……おっ?ベジータとトランクスがいるな」

クリリン「放っておけよ、悟空。アイツも、色々と複雑なんだろうさ」

悟空「んー……そうだな。トランクスもいるし、心配することはねぇか!」

ベジータ「チッ……気に入らん」

トランクス「父さん……僕は……」

ベジータ「何も言うな、トランクス」

トランクス「……」

ベジータ「わかっている……わかっているさ、俺もな」

トランクス「父さん……」

ベジータ「…………お前は、いつ未来に帰るんだ?」

トランクス「え、えぇ、もうこの時代に残る理由もなくなりましたから……宇宙船の準備が出来ているなら、明日にでも」

ベジータ「……少しだけ、ゆっくりしていくことは、出来んのか?」

トランクス「!」

ベジータ「………いや、何でもない。忘れろ」

トランクス「出来るなら、僕もゆっくりしたいんですが……僕がいた未来では、相変わらず人造人間が暴れているでしょうから、早めに帰りたいんです」

ベジータ「そう……か、そうだな。今のお前なら、二人の人造人間になど遅れは取らんだろう」

トランクス「だとは思いますが……」

ベジータ「……頑張れよ、トランクス」

トランクス「父さん…!」

ベジータ「ふんっ!」タンッ バシュウウウ!

トランクス(母さんの言っていた通り、不器用だけど優しい人だった……父さんは)タンッ バシュウウウ!

翌日―――

トランクス「では、僕は帰ります」

悟飯「トランクスさん、お元気で!」

トランクス「はい!悟飯さんも、お元気で!」

悟空「未来にも、平和をな!」

トランクス「ありがとうございます、悟空さん!」

ベジータ「……」ピッ

トランクス「……」ピッ

トランクスの乗り込んだタイムマシンは宙へと浮かび、やがてその姿を消した。

セル「!」

セリア「パパ?どうかした?」

セル「いや……トランクスが、行ったようだな」

セリア「とらんくす?」

セル「ああ。ベジータの息子だ」

セリア「……」

セル「わたしが言うことではないかもしれんが……頑張れよ、トランクス」

セリア「頑張れ、トランクス!」

セル「さて、セリア!組み手の続きだ!」

セリア「うん、パパ!」


終わり
 
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