女騎士「はぁ……はぁ……!くそ、オーク達から逃れたのはいいが、こんな入り組んだ洞窟に迷い込んでしまうとは……」

女騎士「む……なんだ?あの通路の先、妙に明るい……行ってみるか」タタタタタ

店主「いらっしゃいませ」

女騎士「えっ」ビクッ

店主「何かお求めでございますか?こちらのドラゴンキラーはいかがでしょう。ドラゴンへの食い込みはバツグンです」

女騎士「え……いや……待ってくれ。ここは武器屋なのか……?」

店主「いえいえ、武器屋というほど大仰なものではございませんよ。ですが色々な物を売っているという点では他の店よりも自信をもっております」



女騎士「そ、そうなのか……」

店主「最近は粗悪品を売りつける悪質な店もございますが、当店はお客様を害するようなアイテムは販売しておりません」

女騎士「は、はぁ……」

店主「こちらの草も未識別ではござますが、お客様にとって良い効果が発生するという保証をいたします」

女騎士「よ、良い効果……?」

店主「失礼ですが、お客様はこのダンジョンの探索は初めてで……?」

女騎士「ああ。情けない話だが、オーク達から必死に逃げていたらいつの間にかここに迷い込んでしまったのだ」

店主「それはそれは災難でございましたね。初めてということですので色々とサービスしてもよろしいですよ」

女騎士「いや……残念だが私は無一文なのだ。何かを買っている余裕はない」

店主「でしたら買取などもいたしますよ」

女騎士「そう言われてもな……売れるものといったら、せいぜいこの兜ぐらいだ」ヒョイ

店主「おお、これは珍しい!このタイプの装備はこちらでは中々手に入らない貴重な品です。こちらでしたら1万ギタンで買取を致しますよ」

女騎士「ギ、ギタ……ン……?ゴールドではないのか?」

店主「はい。我々が扱う通貨はギタンです。残念ながらゴールドは扱っておりません」

女騎士「むう……。1万ギタンというのが、どの程度のものなのか分からないぞ」

店主「1万ギタンでしたら、こちらのドラゴンキラーを買って、充分お釣りがきますよ」

女騎士「それはありがたい。ではこの兜を売って、そのドラゴンキラーを買おう。武器を失っていて困っていたのだ」

店主「毎度ありがとうございます。ドラゴンキラーが3600ギタンですので、こちらお釣りの6400ギタンでございます」ニコニコ

女騎士「うむ。確かに受け取った。すまんが他の道具も見ていってよいだろうか?オーク達に対抗するアイテムがあれば助かるのだが」

店主「こちらのかなしばりの杖はいかがでしょう?相手を金縛り状態にして動きをとめる事ができます。価格も1500ギタンとお手ごろですよ」

女騎士「なんと、そのような杖があるとは。少し拝見させてくれ」

店主「どうぞどうぞ。それとこちらはドラゴン草といって……」

オークA「へっへっへっ!見つけたでぇ!」

女騎士「!! しまった!追いつかれたか!」

オークB「のんびりと話をしているとはずいぶんと余裕じゃねーか!」

オークC「今度こそ捕まえて、オラたちの奴隷にしてやるぜぇ!うひひひっ!」

女騎士(くっ!この店の主人に迷惑をかけるわけには……!)

オークA「おいテメー!そんなところに突っ立ってるんじゃねーべ!」

オークC「入り口ふさいでるんじゃねーぞ、デカブツ!」

店主「そういうわけには行きません。お客様が商品を手にしている以上、私は入り口を塞がねばなりません。これは鉄の掟なのです」

オークA「なーに訳の解らねえこと言ってんだ!」

オークB「かまわねえ、やっちまえ!」

女騎士「待て!その人は関係ない!手を出さないでくれ!」

オークC「待てと言われてまつバカはいねーべ!ヒャッヒャッヒャッ!」

ドガッ

オークA「そーら!もう一発!」

バキッ

オークB「ほれほれ、どうした!ヒャハハハ!」

ガスッ

店主「……やりましたね?(ギ口リ」

ブンッ ドグシャア!

オークC「べらぼっ」ボンッ ビチャッ

ヨー ドドドンドン ハッ
【店主はレベルが上がって店長になった】

オークA「……え?」

オークB「はぇ……?」

オークC「」ブシュー

死 〜 ん

女騎士「」ポカーン

店長「営業妨害の罪は、死をもって償ってもらいます」

オークB「ひ……っ!」

ブンッ ドグシャア!

オークB「」グチャッ

ヨー ドドドンドン ハッ
【店長はレベルが上がって大店長になった。】

オークB「」ピクピク……

オークA「ひっ……ひっ……!」

大店長「残りはあなただけですね」

オークA「あ……あ……あ……!うわぁぁぁあああああ〜〜〜!!」

ダダダダダダ……

大店長「どこへ行くのですか?」

シュンッ ガシッ

オークA「あ……あ……ああ……ああああああああああ……!」ガタガタガタガタ

大店長「知らなかったようですね?私はあなた達の2倍の速度で動けるのです。大店長からは逃げられません」

オークA「ひっ……!ひぃぃぃいいい!た、たすけ……ゆ、許し……許して……!」ブリブリビチビチビチ

大店長「残念ですが、賊に対する慈悲の心など我々にはありません。死をもって償って下さい」

ドゴォ!

オークA「あわびゅっ」ボンッ ビチャッ

女騎士「」ポカーン

オークA「」プーン

オークB「」死〜ん

オークC「」死〜ん

大店長「大変失礼をいたしました。邪魔者はいなくなったのでゆっくりとお買い物をお楽しみください」

女騎士「しゅ……主人よ。あなたは歴戦の戦士なのでは?」

大店長「いえいえ、しがない店主ですよ。今は大店長に出世できましたが、大したものではありません」

女騎士「謙遜する事はない。あのオークたちを一瞬で倒した実力は本物だ」

大店長「不思議なダンジョンで生活していく以上、モンスターに襲われても返り討ちにできる力がないといけませんからね」

女騎士(それほど過酷なダンジョンなのだろうか、ここは……)

大店長「それに泥棒を企む輩にも対応できなくてはいけませんからね。あの程度のモンスターにやられるようではここで店は開けません」

女騎士「こんな所でも泥棒をする奴がいるのか……困った輩もいるのだな」

大店長「こんな所だからこそ、泥棒をするのでしょう。お客様も品物を手に持って外にでることがないように気をつけてください。問答無用で泥棒になりますからね」

女騎士「私は騎士であるが故、泥棒などという不届きなことは絶対にせん。だが……したらどうなるのだ?」

大店長「先ほどの醜い豚共のようにいたします」

女騎士「……恐ろしいな。しかし、いくらなんでもやりすぎではないか?」

大店長「残念ながら、あれくらいのことをしないと泥棒するものが後を絶たないのですよ。最近は大部屋の巻物などを使いやがりましてね……」

女騎士「大部屋の巻物?」

大店長「ええ。このフロアは道が入り組んでいたでしょう?」

女騎士「ああ、そのおかげでこちらへ迷い込んでしまったのだ。私にとっては幸運だったが」

大店長「大部屋の巻物は、その複雑な道の壁をすべて破壊してこの階層全体を大きなひとつの空間……つまり大部屋にしてしまう魔法の巻物なのです」

女騎士「なるほど、それで大部屋の巻物か。また凄い魔術が篭った古文書だな。しかし主人はそれで何が困るのだ?」

大店長「我々店長各員、そして泥棒を捕まえる盗賊番と番犬は、階段を降りたり上ったりしてはいけないというルールがあります」

女騎士「つまり階層を移動できないということか?」

大店長「はい。そのためにフロアを大部屋にして商品をすべて手に取り、我々を階段から何かしらの手段でどかし、そのまま階段を上って去っていく……そんな不届きものが多いのですよ」

女騎士「ひどい輩がいたものだな。逮捕状はでないのか?」

大店長「現行犯で捕まえる。それがここの掟ですからね……階層を移動されたが最後、次に何食わぬ顔で来ても、我々にはどうすることもできないのです」

女騎士「ううむ……苦労しているのだな」

大店長「分かっていただけますか!?うう、こんなに優しいお客様は久しぶりです」

女騎士「しかしそういう事情があるのならば、ひとつ私をこの店の番人として置いてはいただけないだろうか?」

大店長「私の店にですか?」

女騎士「ああ。先ほどはオークの追っ手たちから助けてもらったし、何かお礼をしたいのだ」

大店長「なんと!それはありがたい申し出です!泥棒を防止するには、一人より二人のほうが遥かに安心できますからね!」

―三ヵ月後―

オーク隊長「よーし、この先だな?俺達の仲間を殺した奴らがいるのは!」スタスタスタ

オークD「へい、間違いありません!」スタスタスタ

オークE「いまこそ敵討ちにいきましょうぜ!」スタスタスタ

オーク隊長「おうよ!うわさによりゃ、綺麗なオナゴもいるみたいだからなぁ。たーっぷりとしつけてやるぜぇ……げへへ……」スタスタスタ

オークF「いいですねぇ。仲間の前でたっぷり可愛がってやりましょうや、へっへっへ……」スタスタスタ

オーク隊長「オラァ!可愛い子分達の敵討ちにきたぜぇ!」ドガァッ

女騎士Lv95「いらっしゃい……なんだ魔物か」ムキムキッ

オーク隊長「」

オークD「」

オークE「」

オークF「」

女騎士Lv95「何か用でもあるのか魔物よ。貴様らに売るアイテムなどないぞ」ギロリ

オークE「た、た、隊長……なんかめちゃくちゃ強そうな女がいるんすけど……」ガタガタ

オーク隊長「ば、ば、馬鹿野郎!びびってんじゃねえ!あんな筋肉見せ掛けに決まってるだろ!」

大店長「どうかしましたか?」

女騎士Lv95「ああ、店長。いや、魔物が店に入り込んだだけだ。気にしないでゆっくり休憩しててくれ」ムキムキッ

大店長「そうですか。何かあったらすぐに呼んでください。私が制裁を加えますので」

女騎士Lv95「そう言ってくれると頼もしい」ムキムキッ

オーク隊長「オ、オイ!俺達を無視してんじゃねーぞ!コラッ!そこの女ァ!」

女騎士Lv95「何だ、まだ何かあるのか?」ギロリ

オーク隊長「俺達の仲間を殺したのはテメーだなぁ!?」

女騎士Lv95「ああ、そういえばお前達の仲間に追われてた事もあったな。それがどうした?」ムキムキッ

オーク隊長「やっぱりテメーが殺したのかぁ!」

女騎士Lv95「正確には私ではないが……まあ、否定はしない。だが仕掛けてきたのは奴らの方だぞ?」ムキムキッ

オークF「う、う、うるせー!今こそ仲間達の仇をとってやるぜ!」

オーク隊長「野郎共、やっちまえー!」ドガッ

オークD「そらそらー!」ドガッ

オークE「こんちくしょうがぁ!!」ドゴッ

オークF「オラオラ、どうした女ァ!」ドゴッ

女騎士Lv95「ほう、貴様ら……私を攻撃したな?」ギロリ

オークD「……へ、へへ!こいつ一方的に俺達に攻撃されてますぜ!やっぱり見かけ倒しだ!」

オーク隊長「へっへっへ!やっぱりなぁ!所詮、人間の女なぞこんなもだ……」

ブォンッ ドグシャア!

オーク隊長「ぜぶらっ」ボンッ ビチャッ

ヨー ドドドンドン ハッ
【女騎士Lv95はレベルが上がって女騎士Lv96になった】

オークD「ファッ!?」

オークE「あら……?」

オークF「ふぇぇ……?」

オーク隊長「」ブシュー ドクドクドク

死 〜 ん

女騎士Lv96「さて。営業妨害の罪は、死をもって償ってもらおうか?」ゴキッ ゴキッ パキポキ……

オークE「あ……あ……ああ……!た、た、たた、隊長が、い、いい、いち、一撃で、た、たた、ただの肉塊に……!」ガタガタ

オークD「ひ、ひ、ひぃぃ……!!」ガタガタ

オークF「お、お、おい!お、お前、魔法使え!催眠魔法使え!!」ガタガタ

オークE「そそそそ、そうだ!こいつを操ってやればいいんだ!」バッ

オークD「は、ははっ!操ればこいつはただの雌奴隷だ!は、は、早くやれ!やれぇっ!!」

オークE「へ、へへ……!くらいやがれ!!」

みょんみょんみょん……。

女騎士Lv96「……」

キィンッ

オークE「……え?」キョトン

オークD「は、弾かれた……?」

女騎士Lv96「ああ、残念だが魔法の類は私や店長には効かんぞ?店長クラスからは魔法を弾くことが義務となっているからな」

オークE「ば、ばか……な……」

女騎士Lv96「悪質な風来人は、かなしばりの杖などを使って我々の動きを止めようとしてくるからな。その類の対策はもはや必需なのだ」ムキムキッ

オークE「あ、あ、あ、ああああああ……!」

女騎士Lv96「では反撃してもいいか?」ボキッボキッ

オークE「ひぃぃいいいいいっ!ま、ま、まままま、待っ……」

女騎士Lv96「賊 に 対 す る 慈 悲 の 心 は な い」

ブォンッ ドグシャア!

オークE「あべしっ!」ボンッ ビチャッ

ヨー ドドドンドン ハッ
【女騎士Lv96はレベルが上がって女騎士Lv97になった】

オークF「きゃあああああ〜〜〜〜!!トワッタ!ワヒィッ!!」ダダダダダ

オークD「ま、ま、ま、待って!お、お、お、おいてかないでぇええええ〜〜〜〜!!」ダダダダダ

ビュンッ ガシィ

女騎士Lv97「逃がすと思ったか?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・

オークE「あ、あわわわわわ……」ジョロジョロジョロジョロブリブリブリブリ

オークD「こ、こ、殺され……た、た、た助け……ゆ、ゆるし……」ガタガタガタガタ

女騎士Lv97「悪いな。先ほども言ったが……賊に対する慈悲の心は我々には無いのだ」ニコォ

ドグシャッ!ブチブチブチィッ!バリッバリッ!ボキグシャッ!

オークE「わわわ……わらびぃー!!」ブチッ ビチャ

オークD「しししし、しし……しおいやーん!!」グチャッ

ヨー ドドドンドン ハッ
【女騎士Lv97はレベルが上がって女騎士Lv98になった ▽】
【女騎士Lv98はレベルが上がって女騎士Lv99になった】

オーク隊長「」

オークD「」

オークE「」

オークF「」

死 〜 ん

大店長「ゴミ掃除は終わったようですね」

女騎士Lv99「ああ。これでまた少し店長としての格があがっただろうか」ムキムキンッ

大店長「ええ、経営のノウハウも充分ですし、貴方はもう一人前の店長ですよ」パチパチ

女騎士Lv99「そうか、そういわれると何か照れるな……」ムキムキンッ

大店長「どうです?そろそろ独立してみては。貴方ならきっと成功しますよ!」

女騎士Lv99「ほ、本当か!?」ムキムキンッ

大店長「ええ。異国にも不思議なダンジョンがあります。そこを紹介しますよ」

女騎士Lv99「ありがたい!ふふふ……腕がなるな」ボキバキ ゴキッ ゴキッ

大店長「ふふふ、首も鳴ってますよ」

こうして女騎士は独立して立派な店を構えることになった。
異国ではイタチを肩に乗せた風来人との死闘が待ち構えているのであったが、それはまた別の話……。

―完―

元ネタは風来のシレンです。
御粗末さまでした。
 
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この記事のコメント一覧
1 . 週休4日  ID:6NHtffhL0編集削除
フンババ
2 . 名無しさん  ID:i2.omjPt0編集削除
誰がこの長駄文を書いているのか?
池沼か?
3 . @  ID:JVHFJ.W30編集削除
ジョーカー
4 . 名無しさん  ID:ck5ELhK30編集削除
ぬぐすり草を飲まんのか。

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