男「ギャンブル好きが高じて、ついに憧れのギャンブル学園に入学したぞ!」

男「ここで手強いギャンブラーたちと勝負しまくって、最強のギャンブラーになってやる!」

生徒「お、お前新入りか?」

男「ああ、そうだとも」

生徒「よし……だったらさっそく“ポーカー”で勝負しようぜ」

男「受けて立つ!」



男(入学してわずか一分でいきなりギャンブルするはめになるとは……さすがギャンブル学園!)

生徒「ぐ、ぐぐ……」

男(露骨に表情が歪んでるな……弱い手なのか?)

男(いや、ギャンブル学園の生徒がそんな単純なわけない)

男(きっとそう見せかけて、強い手が来てるに違いない!)

男(お手並み拝見!)

男「勝負だ!」

生徒「い、いいだろう……!」

男「スリーカード!」

生徒「ブ、ブタだ……」

男「……」

生徒「俺のポーカーフェイスを見破るとはな……」

男(どこらへんがポーカーフェイスだったんだ)

生徒「もう賭ける金がねえ……俺の負けだ」

男「もう終わりかよ!」

生徒「だが、俺を倒したからっていい気になるな!」

男「!」

生徒「≪ギャンブル四天王≫がお前を一文無しにしてくれるであろう!」

男「≪ギャンブル四天王≫……!?」

生徒「この学園最強のギャンブラー生徒四人のことさ……」

生徒「彼らは俺なんかとは格が違う……生まれついてのギャンブラーだ!」

男「面白い……俺はそういう奴らと戦いたかったんだ!」

生徒「ぐっ、こいつなんという賭気(ギャンブル・オーラ)……!」

茶髪「ギャンブル学園へようこそ」

男「お前は?」

茶髪「俺は≪ギャンブル四天王≫の一人だ」

男「さっそく出てきたか……四天王!」

茶髪「お前を無一文にし、学園から放り出してやる!」

男「なにで勝負するんだ?」

茶髪「タイマンで“チンチロリン”勝負だァ!」

茶髪「さあ、サイコロを振れ!」

男「じゃあ俺から……」

チリンッ

4 4 3

男「3だ!」

茶髪「この程度とはな……どうやら入学早々ツキに見放されたようだな!」

男「くっ……!」

男(いったいどんなテクニックを使うんだ……!?)

茶髪「サイコロに俺の賭気(ギャンブル・オーラ)を全て込めるッ!」ゴゴゴゴゴ…

茶髪「もらったァァァァァ!!!」

ブオンッ!

チリンッ

ボトッ ボトッ ボトッ

茶髪「な……!?」

男「あの……全部お椀から出ちゃったけど。ションベンであんたの負けだ」

茶髪「ぐああああっ! くそっ、もう一回勝負だ!」

ボトトトッ

ボトッ ボトッ ボトッ

ボトボトボトッ

茶髪「――なぜだ!? なぜ入らない!?」

男「オーバースローは止めて、もっと落とすように投げた方がいいと思う」

茶髪「ナイスアドバイス!」

チリンッ

1 2 3

男「1、2、3は負けで、二倍払いだ」

茶髪「ああああああっ……!!!」

男「……ん」

マント男「ボクは≪ギャンブル四天王≫の一人、マント男!」

男(二人目か……!)

マント男「君……あの茶髪をチンチロリンで倒したらしいねえ。やるじゃないか」バサッ

男「倒したというか、自滅したというか……」

マント男「次はボクと“ルーレット”で勝負だ!」

マント男「ボク自身がルーレットになるから、回ってる間に好きな番号に賭けるがいい!」

男「あんた自身がルーレットに!?」

男(こんなルーレットは初めてだ! ワクワクしてきたぞ!)

マント男「いくぞ!」グルグルグルグルグル

男(本当に自分で回るのかよ)

男「じゃあ5番」

マント男「だったら……」グルグルグル

ピタッ

マント男「残念! 10番でしたー!」

男(なんだこれは……)

マント男「いくぞ!」グルグルグルグルグル

男「……」

マント男「おい、早く賭けろよ!」グルグルグルグルグル

男「……」

グルグルグルグルグル…

マント男「は、早く……」グルグルグルグルグル…

グルグルグルグルグルグルグルグル…

マント男「い、いかん……。目が回って……」グル…グル…

マント男「おええええええええええええええええええっ!!!」

ドサッ…

マント男「よくこのルーレットの弱点を見破った……君の勝ちだ……」ガクッ

男「背中さすりましょうか?」

マント男「……お願いします」

不良「四天王の三人目は俺様だ!」

手下A「ククク……」

手下B「ハハハ……」

男(手下を二人も連れて、いったいなにで勝負するつもりだ!?)

不良「ぐへへへ……“麻雀”で勝負だ!」

男「望むところだ!」

不良「さあ、みんなで牌をかき混ぜるぞ!」ジャラジャラ…

手下A「へい!」ジャラジャラ…

手下B「へい!」ジャラジャラ…

男「よーし!」ジャラジャラ…

ジャラジャラ…

不良「へっへっへっへ……楽しいな」ジャラジャラ…

手下A「ククク……」ジャラジャラ…

手下B「ハハハ……」ジャラジャラ…

男「……」ジャラジャラ…

ジャラジャラジャラ…

ジャラジャラ…

男「あのー」

不良「?」

男「麻雀のルール知ってます?」

不良「実は……知らないんだ」

男「そうですか……」

生徒会長「ついにここまで来たか!」

生徒会長「最後の四天王であるこの私とは“競馬”で勝負してもらおう!」

男「競馬……!」

生徒会長「ちなみに私は自分でレースに出場する! もちろん自分に賭けさせてもらうよ……」

生徒会長「ただし、君が私に賭けることは認めない!」

男「うぐ……これは最強の競馬必勝法かも……」

生徒会長「じゃあ、行くぞ!」グイッ

馬「ブルルルル……」

生徒会長「わっ!? コラ、暴れるんじゃない!」

馬「ヒヒィィィィィン!!!」

生徒会長「うわああああああああああ!!!」ドザァッ

男「……」

校長「よくぞ≪ギャンブル四天王≫を倒した……」

校長「では校内最強ギャンブラーの座を賭けて、最後のギャンブルを始めようではないか!」

男「種目は!?」

校長「……“ロシアンルーレット”!」

男「ううっ……!」

男(銃を使って行われる、どちらかが死ぬ最凶最悪のギャンブル……!)

校長「この六発装填できるリボルバーには今、六発の弾丸が入っている」

校長「さあ、先攻後攻どっちにする!?」

男「……じゃあ後攻で」

校長「クックック、怖気づいたかね……では私から!」チャッ

バキュンッ!

校長「ぐ、は……っ!」ドサッ

男「……」

男(こうして俺は校内一のギャンブラーになった)

男(短い間のギャンブル学園での生活で学んだことは――)

男「ギャンブルってくだらねえ……」

男(俺はまるで夢から覚めたように、ギャンブル学園から立ち去ったのであった……)

……

……

母「おかげで息子がすっかり立ち直りまして……」

母「本当にありがとうございました……。こちら、謝礼金になります」

校長「いえいえ、スタッフ一同、体を張って演技したかいがありました」

校長「一人でも多くの若年性ギャンブル依存症患者を救う!」

校長「それが我が校のモットーですから……!」

― 終 ―

 
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