コルド「そうか……」

コルド「いい話だと思うがな……残念だ。 ──ん!?」

コルド「あの……?」

コルド「すまぬが、もう一度いってくれぬか? ちょっと聞き取れなかったんで」

トランクス「お前の息子になってやろう、といったんだ」

トランクス「話がうますぎると思ったが、やはりウソだったのか?」

トランクス「ならばフリーザのように消し去るまでだ!」

コルド「え……え!?」

剣を構えるトランクス。

トランクス「覚悟しろ」チャキッ

コルド「ま、待てっ!」

コルド「お前は……ワシの息子になってくれるのだな?」

トランクス「そうだ」

コルド「そうか! ならば、ワシとともに宇宙を支配──」

トランクス「そのつもりはない」

コルド「え!?」

トランクス「俺が興味あるのは、お前の息子になることだけ」

トランクス「宇宙をどうこうする気はない」

コルド「そ、そうか」

コルド(ないのなら、なんでワシの子になったんだ? この超サイヤ人は)

トランクス「お前には地球に残り、俺の父親として働いてもらう」

コルド「!?」

コルド「よ、よく分からんが……分かった(今は従うしかあるまい……)」

コルド「働くといっても、具体的にどうすればいいのだ?」

トランクス「それを話すには、まず俺の正体を明かさねばならない」

トランクス「俺の名はトランクス。今から20年後の未来からやってきた」

コルド「は!?」

トランクス「信じられないかもしれないが、事実だ」

コルド「!」ハッ

コルド「そ、そういえば……」

コルド「さっき“お前たちが殺されるのは分かっているんだ”などといっておったな」

コルド「あれはユニークな表現などではなく、未来人ゆえのセリフだったのか!」

コルド「おお……我ながら冴えている!」

コルド「つまり、不本意ではあるが、ワシらはお前に殺されるという歴史だったと」

コルド「だから“分かっている”と表現したのだな!?」ビシッ

目を輝かせるコルド。

トランクス「いや、本来の歴史ではお前たちを倒すのは孫悟空さんだった」

コルド「え!?」

コルド「ちょ、ちょっと待て、本来ならワシら父子はソンゴクウにやられるはずなのに」

コルド「お前が来て、フリーザを消して……ワシの息子になって……」

コルド「過去を変えちゃってるのに、なにが“分かっているんだ”なのだ?」

コルド「単純に自分の強さに自信があったってことか?」

コルド「え、混乱してきた、どうしよ」

トランクス「うるさいっ!!!」

コルド「!?」ビクッ

トランクス「あまりゴチャゴチャいうと、今すぐ殺すぞ!」チャキッ

コルド「ま、待てっ!」

コルド「トランクス、お前が未来人というのはとりあえず信じよう」

コルド「なんらかの目的があって、この時代にやってきたということだな?」

トランクス「そういうことだ」

トランクス「じゃあ話を戻すぞ」

トランクス「今、向こうの岩山に、地球の戦士たちが集結している」

コルド「ほう、スカウターもなしに分かるのか」

コルド(さすがは超サイヤ人、といったところか……)

トランクス「あの中に一人女性がいる。ブルマといって、俺の母さんだ」

トランクス「俺の父親になったからには、お前には母さんと結婚してもらう」

コルド「へ!?」

コルド「け、結婚って……」

トランクス「──ただし!」

トランクス「俺の実の父親は、サイヤ人であるベジータさんだ」

トランクス「つまり、お前は母さんと結婚しつつ」

トランクス「母さんとベジータさんをくっつけねばならない!」

コルド(難易度高すぎないか……!)

トランクス「そうすれば、なにも矛盾は起こらないはずだ」

コルド(矛盾もなにも、歴史を変えてるのはこやつ自身ではないか)

コルド(しかも、ワシがブルマとやらと結婚する必要は皆無な気がするが……)

コルド(いや……これ以上反論すると、何されるか分からんから黙っておこう)

コルド(話が終わったら、宇宙船に乗って地球を消してしまえばいいのだからな)

トランクス「いっておくが、逃げようとしても無駄なことだ」

コルド「!」ギクッ

トランクス「はっ!」

ボッ! ドォォォォンッ!

大破する巨大宇宙船。

コルド「あああああっ! ワシの船がぁっ!」

コルド(しかも今ので部下たちのスカウターも全て壊れてしまった……)

コルド(もうワシやフリーザの星に連絡はとれない……)

コルド(こんな辺境の惑星なんて来たこともないから)

コルド(自力で飛んでいっても宇宙で迷うだけだ……)

コルド(つまり)

コルド(帰れなくなった……!)

トランクス「話を続けるぞ」

トランクス「義父(とう)さんには俺の代わりに、メッセンジャーをやってもらう」

コルド「メッセンジャー?(義父さん……ふむ、悪くない響きだ)」

トランクス「義父さんも知っているだろうが」

トランクス「三時間後に孫悟空さんが帰ってくる」

トランクス「孫悟空さんに、この心臓病の薬を渡し、メッセージを伝えてほしい」

………

……


コルド「なるほど、三年後の人造人間のことを伝え、この薬を渡せばいいのだな?」

トランクス「ああ」

トランクス「じゃあ俺はそろそろタイムマシンで帰る」

トランクス「あとは頼んだぞ、義父さん」

コルド「任せろ、トランクス」

コルド(ふざけるな)

コルド(大王であるこのワシが、メッセンジャーなどやるわけなかろう)

コルド(コイツがいなくなったら、この薬もベジータもブルマとやらも消してやる)

コルド(そうすれば、トランクスの存在もなくなるだろう)

コルド(この地球にも科学者はいるだろうし、帰る方法くらい見つかるはず)

コルド(見つかればすぐに、地球も消してやる。戻ってくるソンゴクウごとな)

トランクス「いっておくが、父さんか母さんを消しても俺が消えることはない」

トランクス「いくら過去を変えようと、俺がいた未来が変わることはないからな」

コルド「え!?」

トランクス「俺はまた三年後、応援のためこの時代にやってくるが……」

トランクス「もしその時、今までにいったことを少しでも守れていなかったり」

トランクス「地球や地球の人々に危害を加えているようなことがあれば──」

トランクス「どうなるかは分かっているな?」チャキッ

トランクス「俺は義父さんがどこにいても、すぐ探し出せるんだからな……」

コルド「わ、分かった……」ゴクッ…

コルド(くそっ……いっそあの剣を奪って、抵抗してみるか?)

コルド(いや……この超サイヤ人の理不尽さには勝てる気がしない。やめておこう)


トランクスはタイムマシンで未来に帰ってしまった。

コルド(本当に帰ってしまったぞ……)

コルド(とにかく今は、ヤツに従うしかあるまい)

コルド(ソンゴクウ到着まで、あと三時間……)

コルド(まずはブルマとやらとの結婚を済ませておくか)


クリリン「お、おいっ! フリーザの父親がこっちに飛んでくるぞ!」

悟飯「そ、そんなっ……! スカウターって機械をつけてないのに、どうして!?」

ピッコロ「まさか、ヤツは気を探れるのか!? ち、さっき飛んだのは失敗だったか!」

ブルマ「フリーザをやっつけた子はいなくなっちゃったし、ど、どうすんのよ!?」

ヤムチャ「なんてバカでかい気だ……ちくしょう、また死ぬのか……」

天津飯「とても敵う相手ではないが、ただではやられんぞ……!」

餃子「天さん……」

ベジータ「くそったれめ……!」

ピッコロたちの前に着地するコルド。

コルド「…………」

ピッコロ「……キサマはフリーザの父親だな?」

ピッコロ「なにしにきやがった。子の恨みを俺たちで晴らすつもりか?」

コルド「ワシはお前たちと戦うつもりはない」

クリリン「な、なんだって!?」

天津飯「どういうつもりだ……?」

コルド「これから、三時間後にお前たちの仲間ソンゴクウが地球に戻ってくる」

コルド「まずは皆でそれを待とうではないか」

ピッコロ「な、なんだと……!?」

ザワザワ……

ベジータ(俺もフリーザの父親は話で知ってるだけで、直接見たことはなかった……)

ベジータ(このヤロウ、いったいなにを企んでやがる)

ベジータ(カカロットと勝負するつもりか……?)

コルド「──それと、お前がブルマとやらか」

ブルマ「な、なによ!? なんでアンタ、あたしの名前知ってんのよ!」

コルド「さっそくだが、ワシと結婚してくれんか」

ブルマ「は!?」

クリリン「い!?」

悟飯「へ?」

ヤムチャ「な……なんだと!?」

コルド「頼む」

ブルマ「じょ、冗談じゃないわよ!」

ブルマ「なんであたしがアンタみたいなエイリアンと結婚しなきゃなんないのよ!」

ブルマ「いくらあたしが可愛いからって……会ったばかりでおかしいでしょ!」

ブルマ「だいたいアンタ、息子がいるんなら奥さんがいるんじゃないの!?」

ブルマ「どうなのよ!?」

コルド「それはそうなのだが、ワシにも事情があるのだ」

コルド「断るというのなら……この星を消すぞ」

ブルマ「うぐっ……!」

ザワザワ……

ブルマ「地球が滅ぼされたって……絶対にイヤ!」

コルド(なんとワガママな女だ……ワシの妻並ではないか)

コルド(かといって地球を消すわけにはいかんし……)

コルド(なんとかせねば、ワシは三年後トランクスに殺されてしまう……!)

すると──

ヤムチャ「お、おい!」

コルド「ん?」

ブルマ(ヤムチャ!)

ヤムチャ「フリーザの父親だかなんだか知らんが」

ヤムチャ「さっきから好き勝手いってるが、ブルマは俺のか──」

コルド「…………」ギロッ

ヤムチャ「か……か……かけがえのない友人……だ」

コルド「彼女だったのならばいざしらず」

コルド「友人程度なら、他人の求婚に口を出す筋合いはなかろう」

ヤムチャ「い、いや、まぁ……そうなんだけどさ……ハハ……」

ブルマ「…………」

ブルマ(今ハッキリと理解できたわ)

ブルマ(ナメック星で感じたことは、まちがいじゃなかったんだわ)

ブルマ(……外したのね、あたし)

ブルマ「いいわ! フリーザのお父さん、あたしアンタと結婚するわ!」

ヤムチャ「!?」

コルド「本当か!? ありがたい!」

コルド(これで第一関門クリアーだ!)

ヤムチャ「ブ、ブルマ……」

ブルマ「ふんっ!」プイッ

ヤケクソになったブルマは、この場でコルド大王と結婚した。

三時間後、悟空が地球に帰ってきた。

クリリン「悟空!」

悟飯「お父さん!」

悟空「おめえたち……なんでオラがここに降りるって分かったんだ?」

ブルマ「このフリーザのお父さん……あたしの夫が教えてくれたのよ」

悟空「どっひゃー!」

悟空「おめえ、フリーザの父ちゃんと結婚したんか!?」

悟空「ま、仲良くやれよ、ブルマ!」

クリリン「相変わらず軽いヤツだな……」

ブルマ「──で、なんか孫君やあたしたちにハナシがあるみたい」

悟空「話ってなんだ?」

コルド「うむ、実は──」

コルド(あとでブルマとベジータをくっつけねばならんから)

コルド(トランクスの実の父親の話などは、伏せておいた方がよいだろうな)

コルド大王はフリーザを消した少年が未来人であること、

三年後に人造人間が現れ地球の戦士たちはほとんど殺されてしまうこと、

悟空はその前に心臓病で倒れてしまうこと、などを告げた。

悟空「……でも、この薬があればオラは助かるんだな? サンキュー!」

コルド「うむ」

クリリン「なんか信じられない話だけど……」

悟飯「すでに信じられないことがいくつも起きてますし……」

ヤムチャ(まったくだぜ……)

ピッコロ「では三年後、コルドのいっていた島に集合することにしよう」

ベジータ(くそったれ……三年後に生き残るのはこの俺だ!)

戦士たちは三年後の再会を約束し、解散した。


<カプセルコーポレーション>

ブリーフ「ほう、ブルマもついに結婚したのか」

ブリーフ「そりゃめでたいわい!」

ブルマ母「よろしくねぇ〜、コルドちゃん」

コルド「ど、どうも」

コルド(ぐっ……! ちゃん付けにされるなど……なんという屈辱だ)

コルド(だが、逆らってはならん。三年後、トランクスに殺されてしまう)

ブルマ母「あらたくましい尻尾、さわってもい〜い?」ナデナデ

コルド「おいやめろ──あっ」ビクン

ほとんどノリで夫婦になった二人だったが、やることはちゃんとやった。

ブルマ「うわっ、アンタちっさいのね〜……ヤムチャの半分以下じゃない」

コルド「くっ……!」


ギシギシ……

ブルマ「ちょっと! レディはもっと丁寧に扱いなさいよ!」

コルド「す、すまぬ」


ブルマ「全然出ないわね」

コルド「我が一族は宇宙一だから量は少なくてよいのだ(ホントは年だからなのだが)」


一年後、どうにか二人は一児をもうけた。

フリーザにブルマの髪を生やしたような赤子であった。

赤子「ほっほっほ……」

コルド(我が子ながら、不気味な泣き声だ)

ブルマ「名前は……せっかくだし、“フリーザ”にしましょうか! ね?」

コルド「えっ!? いや、さすがにちょっとそれは……」

コルド(死んだフリーザに申し訳ない気がする……)

すると──

界王『案ずることはないぞ、コルド大王よ』

コルド「!?」

コルド(──いきなりだれだ、お前は!?)

界王『わしは北の銀河の界王じゃ』

コルド(そういえばそんな存在がいると、小耳にはさんだことがあるな)

界王『その赤子は、正真正銘フリーザの生まれ変わりじゃよ』

コルド(な、なんだと!?)

界王『死んだフリーザは、もちろん地獄行きだった』

界王『なにしろ、宇宙中から恐れられた特上のワルだったからな……』

界王『知名度は親であるおぬしを上回っていただろう』

コルド「…………」

界王『地獄に落ちた者は魂を洗われ、別の生命体に生まれ変わる』

界王『わしからエンマに頼み、おぬしらの子供に生まれ変わるようにしておいたのだ』

コルド(えぇっ!?)

コルド(いくらなんでも、サービスがよすぎな気がするが……!?)

界王『おぬしら父子をあそこまでのさばらせてしまったのは』

界王『わしら界王が情けないから、という側面もあったからな……』

コルド「…………」

コルド(感謝するぞ、北の界王)

コルド(──さて、あとはブルマとベジータをくっつけ、トランクスを生ませねばな)


<重力室>

ベジータ「なんの用だ? 特訓のジャマだ、消えろ!」

コルド「ブルマは……いい女だ」

ベジータ「?」

コルド「ワシなんかより、もっと強い男と結ばれるべきだ」

コルド「たとえば……どこかの種族の王子だとかな」

ベジータ(コイツ、なにがいいたいんだ?)


<夫婦の部屋>

コルド「ブルマよ、ワシももう若くはない」

コルド「一方のお前は、まだまだ女盛りだ」

コルド「ワシのことは気にせず、色んな経験をしてかまわんのだぞ」

ブルマ「いきなりなにいってんのよ、アンタ」

コルド「そういえば今日も、髪の逆立った戦士が鍛錬しておったな」

ブルマ(髪の逆立った……ベジータのことかしら?)


<食卓>

ブルマ母「ベジータちゃん、コルドちゃん、どんどん食べてねぇ〜」

コルド「ベジータとブルマを見ながらの食事は実に美味い」モグモグ…

ブルマ「…………」

ベジータ「…………」

このあからさまな誘導作戦は功を奏し、ブルマとベジータは互いを意識するようになり、やがてトランクスが生まれた。

コルド(メッセンジャー、ブルマとの結婚、トランクスの誕生、全てこなしたぞ!)

コルド(できるわけないと思っていたが、やればできるものだな)

コルド(あとは人造人間を倒せば、めでたしめでたしというわけだ!)

そして──

南の都近くの島に集結する戦士たち。

ブルマ「やっほー!」

コルド「来たか」

悟空「ブルマ! コルド! おめえたちもきてたんか!」

悟飯「こんにちは!」

ブルマ「人造人間を一目見たくてね〜、お〜よしよし」

悟空「このフリーザみてえな子供と、そっちの子供はまさか……」

ブルマ「こっちはフリーザ、コルドとの子よ」

フリーザ「ほっほっほ……」

ブルマ「で、こっちはトランクス、ベジータとの子供」

トランクス「おぎゃあ、おぎゃあ……!」

クリリン「え、それって二股なんじゃ──」

ブルマ「二股じゃないわよ、失礼ね! ちゃんと許可もらったもの」

コルド「うむ、かまわん」

クリリン(いいのかよ、それで……)

ヤジロベー「──ほれ仙豆だ。あとは頑張れよ」

悟空「ヤジロベー、おめえは戦わねえのか?」

ヤジロベー「バカいうな、俺は死にたくねえからな」バシュッ

ズガァンッ!

ヤジロベーのスカイカーが撃墜されてしまった。

コルド「なんだっ!?」

ピッコロ「あそこになにかいるぞっ! ──町に降りやがった!」

天津飯「さっきから集中していたのに、まったく気を感じなかったぞ……」

悟飯「人造人間だからだ……気なんかないんだ」

ヤムチャ「な、なんだと……!」

悟空「よし、手分けしてさがそう! 悟飯はヤジロベーを助けてやってくれ!」

ピッコロ「だが向こうも二人、単独行動は避けた方がよさそうだ」

ピッコロ「俺と天津飯、悟空とクリリン、コルドとヤムチャの二人組で探すんだ!」


<町>

町に降り立つコルドとヤムチャ。

ヤムチャ「くっそぉ、どこにいやがるんだ……!」

コルド「戦闘力が感じられん以上、目で探す他なかろう」

すると──

19号「…………」ザッ

20号「…………」ザッ

コルド「む!?」

ヤムチャ「なんだコイツら!? ──まさか!」サッ

人造人間20号が、ヤムチャをわしづかみにする。

ヤムチャ「うぐっ……!(力が抜けて……!?)」

ズボッ!

腹を貫かれるヤムチャ。

コルド「なっ……!?」

ヤムチャ「…………」ピクピク

コルド(くっ、ヤムチャが一瞬で……助けるヒマもなかった)

20号「次はキサマだ」

20号「キサマのデータはないが、しょせん我々の敵ではなかろう」

コルド(この三年間、ベジータやブルマのことで精一杯で)

コルド(気を探る術こそ身につけたが、戦闘力はむしろ落ちている)

コルド(どっ、どうする……!?)

20号「おそらくヤムチャの異変に気づき、すぐ他の奴らも来るだろう」

20号「仲間が来ると少々面倒だ。一瞬で終わらせるぞ」ザッ

19号「はい」サッ

コルド「ま、待てっ!」

20号「なんだ?」

コルド「お前たち……」

コルド「我が子にならぬか?」

19号「どうしますか、20号」

20号「よかろう」

コルド「え!?」

20号「これからよろしく頼むぞ、父上」

19号「父上」

コルド「う、うむ……」

まもなく、悟空たちが駆けつける。

悟空「ヤムチャ! ──やったのは、おめえたちか!?」

20号「孫悟空か、もはや我々はキサマに興味はない」

悟空「なにっ!?」

20号「我々には父親ができたからな。父親の仲間とは戦えん」

コルド(それでよいのか)

悟空「そっか、もう悪さしねえんなら、それでいいさ!」

悟飯「そうですね!」

コルド「なんでもいいが、まずヤムチャを回復させてやるべきだ」


すると──

トランクス「義父さん!」スタッ

コルド「おお、未来のトランクスか!?」

コルド「ワシは、お前のいいつけを全て果たしたぞ!」

トランクス「さすが義父さんだ。よくやってくれ──」

悟空「うぅっ!?」ガクッ

悟飯「お父さん!?」

クリリン「どうしたんだ、悟空!?」

悟空「い、いや……急に胸が苦しくなっちまって……」

ザワザワ……

トランクス「……おい」ギロッ

コルド「えっ!? ワシはちゃんと薬渡したって! し、信じてくれ!」

悟飯「お父さんはまだ病気になってなかったので、薬は飲んでなかったんです」

コルド「なんだ、そうだったのか……驚かせおって」ホッ…

ヤムチャ「じゃあ、俺が悟空を連れてくよ。俺はこれぐらいしかできそうにないしな」

悟空を抱え、飛んでいくヤムチャ。

トランクス「いいたいことはまだあるぞ、義父さん」

コルド「なんだ?」

トランクス「あの二人組は誰だ?」

19号&20号「…………」

コルド「お前のいっていた人造人間だろうが」

トランクス「俺は知らないぞ、あんなヤツらは!」

コルド「な!?」

トランクス「俺が知っているのは黒髪の少年と、可愛い女の子タイプの二人組だ!」

トランクス「どうやら……ちゃんと仕事をしなかったようだな、義父さん!」チャキッ

コルド「え……え!? ワシのせいじゃなくね!?」

20号「おそらくそれは17号と18号の二人だろう」

コルド「た、頼むっ! そいつらを動かしてくれっ!」

コルド「このままではワシがトランクスに殺される!」

20号「よかろう」

20号「ではこれから研究所に向かう。みんな、私についてこい!」

19号「はい」

コルド「た、助かった……」

ピッコロ「ところで、お前はだれだ?」

トランクス「俺の名はトランクス、ブルマさんとベジータさんとコルド大王の息子です」

トランクス「人造人間を倒すために、未来からやってきたんです」

クリリン「マジかよ……。あの赤ん坊が成長した姿か」

天津飯「なぜ父親が二人いるんだ?」

悟飯「きっとボクらには想像もつかない、複雑な事情があるんでしょうね……」

ベジータ(登場するタイミングを逃したから、今からついていくとするか)


<研究所>

20号によって、17号と18号、さらには16号が動き出した。

20号「父上にいわれたので、お前たちを動かすことになった!」

20号「さあ、戦うのだ!」

17号「お前の指図には従わないが、退屈だからな。やってやろう」

18号「アンタも相変わらずだねえ、17号」

16号「俺はやらない」

コルド「ヤツらが未来をメチャクチャにしたという人造人間か」

トランクス「気をつけて下さい、本当に恐ろしいヤツらなんです!」

ベジータ「くっくっく……超サイヤ人となった俺の敵ではない」

ピッコロ「ベジータ、キサマいつ来てたんだ?」

戦闘が始まった。

ドゴォッ!

ベジータ「ぐおっ!」ドサッ

ドギャッ!

トランクス「うぐうっ!」ドサァッ

ベキィッ!

20号「ぐおおっ!」ドサッ

ドズッ!

19号「ひぃぃ……」ガクッ

バキィッ!

ピッコロ「がはっ……!」ドサッ

ドガッ!

天津飯「ぐああっ……!」ドサッ

次々にやられる戦士たち。

クリリン&コルド「あ……あ、あ……」

クリリンとコルド大王は、足がすくんで動くこともできなかった。

17号「さてと、俺たち人造人間も目標が欲しいからな」

17号「とりあえず、孫悟空を倒しにでも行くか」

18号「そうだね」

クリリン「待てっ! 待ってくれっ!」ダダッ

17号「なにか用か?」

クリリン「そんなことはやめてくれっていっても、無駄か?」

16号「無駄だ。俺たちは孫悟空を殺すために造られた」

17号「……だそうだ」

18号がクリリンに近づく。

18号「…………」チュッ

クリリン「!」

18号「バーイ」

コルド「ワシには?」

18号「ふざけるんじゃないよ、デカイおっさん」

人造人間たちは飛んでいってしまった。

仙豆で回復した一行。

ベジータ(超サイヤ人となったこの俺が……!)

天津飯「とんでもない強さだった……。悟空でも勝てっこない……絶対に!」

トランクス「俺のいた未来では、あそこまでの強さじゃなかったんです」

トランクス「これというのも、みんな義父さんのせいだ!」チャキッ

コルド「ま、待てっ!」

20号「仲間同士で争っても仕方なかろう」

20号「緊急停止コントローラも壊されてしまったし……作り方も忘れてしまった」

20号「こうなっては、いつまでもここにいても仕方あるまい」

20号「今は解散して、各自で対策を練ろうではないか」

19号「そうですね」

ピッコロ「うむ」

ピッコロ「では、一度解散しよう!」

バシュシュシュッ!

恐るべき強さの人造人間に対抗するため、戦士たちはそれぞれ対策に動きだす。

悟空、ベジータ、トランクス、悟飯は精神と時の部屋を利用することになり──

ピッコロは神との融合を果たし──

クリリンら地球人戦士はブルマと対策を練り──

人造人間20号ことドクターゲロは19号の改良を始めた。

コルド「あぶれてしまった……」

しかし──

悟空「な、なんだこの気は……!?」

悟飯「お父さんやベジータさん、ピッコロさんの気──」

トランクス「他にもフリーザや義父さんの気も感じる……!」

ベジータ「くそったれ、どうなってやがる……!」

ピッコロ「この地球に、かつてない危機が起こる予感がする!」

19号「このパワー値はなんでしょうか、20号」

20号(おかしい……ヤツはまだ完成していないはずなのに!)

クリリン「ちくしょう、なんなんだよ、この気は!?」

ヤムチャ「次から次にどうなってるんだ!」

天津飯「気があるということは、人造人間ではないのか……!?」

コルド「おのれ……!」

コルド「こんなのが出てきたら、“義父さんのせいだ!”とかいって」

コルド「また未来のトランクスに命を狙われるではないか……」

新たな敵セルは17号と18号を吸収し、完全体となってしまった。


<テレビ局>

セル「ふっふっふ、おはよう世界の諸君……」

セル「私の名はセルという」

セル「私は自分の強さを確認するため、『セルゲーム』という武道大会を開催する!」

セル「腕に覚えのある者は、ぜひ参加してくれたまえ!」

セル「もし参加者全員が私に負けた場合は……地球人を皆殺しにする」

セル「ではさらばだ!」バシュッ


ヤムチャ「マ、マジかよ……」

クリリン「地球人を皆殺しだって……!? とんでもないヤロウだ!」


<カプセルコーポレーション>

ずれまくる歴史にいら立つトランクス。

トランクス「悟空さんの心臓病は時期がずれているし」

トランクス「ドクターゲロを養子にするし、セルという人造人間が出てくるし……」

トランクス「これはもう、義父さんの命で償ってもらうしかなさそうだな!」チャキッ

コルド「ま、待てっ!」

ブルマ「ちょっとトランクス、あまりコルドをいじめないでよ」

ブルマ「体はでかいけど、色んな意味で小物なんだから」

トランクス「す、すみません、母さん」

コルド「ドクターゲロ、なにか手はないのか?」

20号「完全体になったセルはまさにパーフェクトだ……私にもどうにもできん」

20号「孫悟空たちが強くなってくれるのを祈るしかあるまい」

結局、勝算を見出せぬまま、セルゲーム当日となった。


<セルゲーム会場>

セル「うるさい!」バシッ

サタン「ぐわぁぁぁぁっ!」

ヤムチャ「あ〜あ……」

クリリン「俺正直いって、セルを応援しちゃったぜ」

ベジータ「あの程度の戦闘力でこの場に出てくるとは……バカの世界チャンピオンだ」

ベジータ「いや……宇宙一かもしれんな」

コルド「!」ピクッ

コルド(宇宙一は我が一族でなければならん)

コルド(あのミスターサタンとやらも、いずれ消すか引き込むかせねばなるまい)

セル「セルゲームを始めるぞ、どいつからやるんだ?」

悟空「よし、オラからやらせてくれ!」ザッ

悟空とセルの試合が始まった。

ガガガッ! バシッ! ドガッ! バキッ! ガンッ!

セル「やるな孫悟空」

悟空「おめえこそ!」

ズガガガッ! バキィッ! ドゴッ! バチッ! バババッ!

ピッコロ「孫のヤツ、また腕を上げやがったな」

ベジータ「く……!」

ベジータ(カカロットめ、また俺の先を行きやがる……!)

トランクス「さすが悟空さんだ……」

悟飯(そんなにすごいかなぁ……?)

20号「なぜたった数日で、これほどのパワーアップを!?」

19号「改良された私でも、目で追うのがやっとです」

コルド(見えん)

このまま一進一退の攻防が続くと思われたが──

悟空「ハァ、ハァ、ハァ……」

悟空「まいった」

悟空「オラの負けだ」

セル「なんだと……!?」

悟空「このままやってもオラじゃおめえには勝てねえが──」

悟空「おめえの力はだいたい分かった」

悟空「今からオラが指名する奴なら、きっとおめえを倒せるはずだ」

セル「ほう……? ならば次の私の相手を指名してもらおうか」

ザワザワ……

悟空「おめえの出番だぞ!」

悟空「コルド!」

コルド「…………」

コルド「は!?」

悟空「精神と時の部屋で悟飯から聞いたんだが、おめえたちは変身できるんだろ?」

悟空「んで、今のおめえはフリーザが一回変身した姿にソックリらしいじゃねえか」

悟空「しかもフリーザの父ちゃんなら、フリーザより多く変身できるはずだ」

悟空「オラの計算からいくと、最低でもあと五回は変身できるにちがいねえ」

ベジータ「なるほど……考えやがったな、カカロット」ニヤッ

トランクス「悟空さんの妙な自信は、義父さんの実力を見越してのことだったのか!」

ピッコロ「たしかにフリーザも一回変身するごとに、気が数倍に膨れ上がった」

ピッコロ「あと五回以上変身できるのなら、セルにも通用するかもしれん」

悟飯「すごいや!」

クリリン「ったく、変身を温存してたなんて人が悪いぜ〜!」

20号「ほう、さすがは父上。私の計算を超えている」

コルド(なにをいっておるんだ)

コルド(もう変身なんかないぞ!? 今のこれが正真正銘ラストだぞ!?)

セル「ふっふっふ、ハッキリいって孫悟空も私が全力を出すレベルではなかった」

セル「さあ楽しませてもらおうか。変身しろ、コルド大王」

コルド「くっ……!」

コルド(こうなったら、やるしかない!)バシュッ

バキィッ! ドゴォッ! ガスッ!

セル「…………」

コルド(ぜ、全然効いてない……)

セル「なぜ変身しない?」

セル「そうか読めたぞ……。怒りがないと変身できないとか、そういうタイプか」

コルド「いや、ちがうんだが」

セル「ならば、お前を怒らせてやろう。 ──ふんっ!」ボボボッ

セルは11体のセルジュニアを生み出した。

セル「さあお前たち、コイツの仲間たちを痛めつけるのだ!」

セルジュニア「キキーッ!」

コルド「ま、待てっ!」

悟空、悟飯、ベジータ、トランクス、ピッコロ、ヤムチャ、天津飯、クリリン、

16号、19号、20号に襲いかかるセルジュニア。

まともな戦いになっているのは、最初の五人だけであった。

セル「さあ変身せねば、みな殺されてしまうぞ」

コルド「ううっ……」

セル「それともやはり変身できないのか?」

コルド「…………」

セル「くっくっく、私の細胞に使われているとはいえ」

セル「しょせんお前やフリーザは負け犬の種族だったというわけだ」

コルド「な、なんだと……!?」

コルド(負け犬とまでいわれて、黙っていられるか!)

コルド(我が一族は宇宙一なのだ……だからお前はワシの手で死ななければならない!)

コルド「ワシに殺されるべきなんだぁっ!」

コルド「うおおおおっ!」バッ

セルに飛びかかるコルド大王。

バキィッ!

コルド「あ、が……が……」ピクピク

しかし、蹴り一発で瀕死になってしまう。

セル「ふん、怒ってもこの程度か……とんだ期待外れだ」

トランクス「!」

トランクス「義父さーんっ!!!」バシュッ

コルド大王を助けるため、トランクスも飛びかかる。

ドゴォッ! バキィッ! ズンッ!

だが、やはり完全体セルとの実力差は大きかった。

トランクス「ぐ、は……っ!」ドサァッ

セル「バカめ……セルジュニアといい勝負の者が私に敵うわけなかろう」

セル「まずはこの青二才にトドメを刺してやるとするか」

すると──

コルド「この青二才? トランクスのことか……」

コルド「トランクスのことかーっ!!!」

ボウッ!!!

セル「!?」

セル「か、変わっ──てない……」

コルド(や、やはり……そんな上手い話があるわけなかった……)

セル「もう遊びは終わりだ。そろそろ殺してしまうか……」

コルド「ま、待てっ!」

セル「ん?」

コルド「セ、セルとやら──」

コルド「どうだ、我が子にならぬか?」

セル「いいだろう」

コルド「え!?」

こうしてセルはコルド大王の子に、セルジュニア11体は孫となり、戦いは終わった。

なお、ドクターゲロによって、セルと17号、18号の二人は分離され、

なおかつセルは完全体を保つことができるようになった。

後にクリリンは18号と結婚し、コルド大王が仲人を務めたという。


<カプセルコーポレーション>

別れの時──

トランクス「義父さん。俺がやられた時、怒ってくれたらしいな」

コルド「……まぁな、お前もワシの子だからな」

トランクス「ありがとう……義父さん」

トランクス「ことあるごとに剣で脅して、すまなかった」

コルド「……気にすることはない」

コルド「大変だろうが、お前の力で未来を復興させるのだぞ!」

トランクス「はい!」

こうしてトランクスは未来へと帰っていった。

トランクス(さよなら、二人の父さん……)

コルド(さらばだ、未来の息子よ)

それから数年後──


<カプセルコーポレーション>

高校生になった悟飯がやってきた。

悟飯「こんにちは、ブルマさん、コルドさん!」

ブルマ「あら、悟飯君!」

コルド「ずいぶん大きくなったようだな」

悟飯「トランクス君とフリーザ君もこんにちは!」

トランクス「あ、悟飯さん!」

フリーザ「これはこれはお久しぶり……」

ブルマ「私は仕事があるし、ベジータは働かず修業ばかりしてるし……」

ブルマ「子育ては、もっぱらコルドの役目になっちゃってるわ」

悟飯「相変わらずだなぁ、ベジータさんも」

コルド「ところで、なにをしにきたのだ?」

悟飯「今度、天下一武道会っていう格闘技の大会が開かれるんです」

悟飯「お父さんはもちろん、他のみんなもほとんど出るみたいです」

悟飯「優勝者以外にも賞金は出ますし──」

悟飯「コルドさんも、よかったら出てみませんか?」

コルド「いやワシは──」

ベジータ「いいだろう。何とかって大会……俺も出てやる」ザッ

コルド「ベジータ!?」

ベジータ「コルド、てめえも出るんだ、いいな!」

コルド「はい」

トランクス「フリーザ、俺たちも出ようぜ!」

フリーザ「私ともあろう者が、ワクワクしてきましたよ」

こうして天下一武道会が始まった。


ところが──

<天下一武道会会場>

界王神「あなたがコルド大王ですね?」

コルド「キサマ……なぜワシの名を!?」

界王神「あなたはこの地球の危機を、何度も救ったと聞いています」

コルド(ん……まあ少なくともウソではないな)

界王神「魔人ブウの復活を止めるために、ぜひその力を貸して欲しいのです!」

コルド「突然魔人とかいわれても、悪いがワシは──」

ベジータ「……ふん、いいだろう」

ベジータ「こんな茶番じみた大会に、イライラしてたところだ」

ベジータ「誘いに乗ってやるぜ。なぁ、カカロット?」

悟空「そうだな。それにこの会場じゃ、オラたちも満足に戦えねえしな」

ベジータ「コルド、てめえも来るんだ、いいな!」

コルド「はい」

界王神「では私とキビトで、魔導師バビディの本拠地に案内します!」


<バビディの宇宙船>

バビディ「ボクたちが力を合わせてこつこつエネルギーを溜めたおかげで」

バビディ「もうすぐ魔人ブウが生まれるねえ、ダーブラ」

ダーブラ「はい、バビディ様!」

プイプイ「いよいよですね!」

キビト「な……あれは魔王ダーブラ!?」

界王神「くっ……まさかダーブラを手下にしていたとは……」

コルド「そんなに強いのか?」

界王神「はい、恐ろしい強さです」

界王神「なにしろ、あの悪魔界の支配者ですから……」

「ふはははっ、ヤツの相手はこの私に任せておけ!」ザッ

コルド「お、お前は!?」

コルド「──セル!」

セル「11人のジュニアがみな独立したのでな、退屈していたのだ」

セル「ダーブラとやらは私が相手をしよう。お前たちはバビディとやらを倒すがいい」

コルド「そうか、助かるぞ! ならば行くぞ、みんな!」

悟空「おう!」

悟飯「はい!」

ベジータ「さっさと終わらせてやる」

ピッコロ「いいだろう」

クリリン「よ、よし!」

20号「魔人ブウか、研究材料にしてやる」

19号「ほほほ」

フリーザ「久しぶりに運動しますかね」

トランクス「よぉーし! やるぞ悟天!」

悟天「やってやろう、トランクス君!」

ダーブラをセルに任せた一行。

しかし、バビディ配下の戦士はダーブラだけではない。

三時間にも及ぶ死闘の末、プイプイを降参させるコルド大王。

コルド「ハァ……ハァ……ど、どうだ!? ワシのパワーは!?」

プイプイ「ぐっ……好敵手(とも)と呼ばせてくれ」

ガシィッ……!

熱い握手を交わす二人。

悟空「レベルはともかく、互いに全力を出し切ったいい試合だったな」

悟飯「そうですね! 二人ともすごく頑張ってました!」

ベジータ「低レベルな戦闘も、たまにはいいもんだ」

しかし、この三時間の間にセルとダーブラの戦いでエネルギーが溜まってしまった。

バビディ「よくやったよぉ〜ダーブラ!」

バビディ「これで魔人ブウ復活だ!」

界王神「な、なんてことだ! もうオシマイだ……!」

ブウ「ブゥーッ!」

バビディ「さあ魔人ブウ、あいつらをやっつけるんだよぉ〜」

悟空「すんげえ気だ……」

悟空「だけどオラたちだって、そう簡単にはやられねえぞ!」

ベジータ「……おいカカロット」

ベジータ「あんなデブに俺たちが体力を使うのもシャクな話だ」

ベジータ「たまには地球人に倒させるってのはどうだ?」

悟空「倒させるって、どうやってだ?」

ベジータ「元気玉の用意だ」

悟空「そりゃいいや! 見直したぜ、ベジータ!」

一方、その頃──

セル「ハァ……ハァ……石化させるツバとはやるではないか」

ダーブラ「キサマこそ……再生できるとはな。ゼェ、ゼェ……」

界王『ベジータとやら、ワシの元気玉を選ぶとはナイスじゃぞ!』

界王『ワシの力で、全宇宙やあの世と会話をさせてやろう!』

悟空「サンキュー、界王様!」

悟空「地球のみんな! いや宇宙のみんな! オラに元気を分けてくれ!」バッ

ベジータ「キサマらの力で魔人をぶっ倒すんだ! さっさと手を上げやがれ!」

しかし、なかなか元気が集まらない。

悟空「どういうことだ!?」

『元気を分けろっていわれてもなぁ……』

『魔人ブウってなに?』

『自力で戦ってもいないのに、いきなり俺らに頼るなよ』

バビディ「元気なんか全然集まらないじゃないか。ざまあないね〜」

ブウ「カッカッカ……!」

ベジータ「くそったれ……!」

コルド(そりゃそうだろう)

ベジータ「くそったれ、地球人どもめ……!」

ベジータ「おいコルド、てめえも呼びかけやがれっ!」ガシッ

コルド「ワシが!?」

コルド「しかし、宇宙にはワシに恨みを持つ連中も──」

ベジータ「早くしろっ! 間に合わなくなっても知らんぞっ!」

コルド「わ、分かった!」

コルド「みんな──」

一方、その頃──

ダーブラ「妙な技を次から次へと使いおって……」ハァハァ…

セル「ふん、魔術なんぞを使うキサマにいわれたくない……」ゼェゼェ…

コルド「我が子になって、手を上げてくれんか?」

シ〜ン……

コルド(や、やらなきゃよかった……)

『もちろんさ!』バッ 『いいとも!』バッ 『なってやるよ!』バッ

コルド「!?」

バビディ「ボクもパパが死んでから、さびしかったんだよね〜」バッ

ブウ「オレ、おまえの子になる!」バッ

ヤコン「俺も!」バッ

プイプイ「俺も!」バッ

コルド「え!?」

界王神「ぜひ私もあなたの子に!」バッ

キビト「私もだ」バッ

コルド「え……え!?」

老界王神「わしもじゃ」バッ

コルド「だれだお前!」

ブウウゥゥゥ……ン……

悟空「うはっ! すげえすげえ、どんどん気が集まってきたぞ!」

サウザー「この声は……行方不明になっていたコルド大王様では!?」

クウラ「親父、元気そうでなによりだ。手を上げろ、サウザー!」バッ

サウザー「はっ!」バッ


パラガス「ブ口リー、手を上げるんだ!」バッ

ブ口リー「俺は化け物でも悪魔でもない……コルド大王の子だ!」バッ


元気玉の大きさがとんでもないことになった。

悟空「うひゃ〜! でっけぇ〜!」

悟空「やるじゃねえか、コルド! さすがあのフリーザの父ちゃんだ!」

ベジータ「お前がナンバーワンだ!」

コルド(未来のトランクスにもこの勇姿を見せたかった……)

こうしてあの世を含む全宇宙ほとんどの生物が、コルドの子になった。

悟空「だけどよ……この元気玉、もう撃つ必要はねえんだよな」

悟空「ちょっと危ねえけど、宇宙に捨てちまうか?」

20号「いや、エネルギーの不法投棄は危険だから、我々で吸収しよう」バッ

19号「ひゃはっ!」バッ

ギュウウウウ……!

一生懸命、元気玉を吸収する19号と20号。

20号「はぁ〜っ!」

19号「容量満タンになりました」

悟空「サンキュー!」

ベジータ「ガラクタ人形もたまには役に立つもんだ」

コルド(さて、帰ったらフリーザとトランクスを風呂に入れてやらねば)

一方、その頃──

ダーブラ「戦いに熱中したおかげでバビディの支配から逃れられた、礼をいう!」

セル「私こそいいライバルに出会えた! 今日は引き分けということにしよう!」

………

……


こうして全宇宙は平和になった。


<カプセルコーポレーション>

トランクス「ねぇ、遊園地に連れてってよ〜! 悟天も誘ってさ〜!」グイグイ

フリーザ「一時間経っても連れていかなかったら、この私がパパを殺しますから!」グイグイ

コルド「分かった分かった」

今や全宇宙ほとんどの生命体の父となったコルド大王。

コルド(ワシがこの地球に来てから色々あったが──)

コルド(やはり我が一族は宇宙一だったな!)

<おわり> 
 
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この記事のコメント一覧
1 . 名無しさん  ID:rdLrFzPV0編集削除
とりあえずタイムパトロールが来て、青いタヌキが連れてかれるのまでは分かった

え!違うの?
2 . @  ID:zAOqI3wj0編集削除
ジョーカー
3 . 嘘松  ID:Hb8SrYW20編集削除
ジョーカーさんは何歳なんかな
4 . 名無しさん  ID:U8g2C0nF0編集削除
めっちゃおもしろかった

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