行きつけのスーパーの店員とひょんなことからピクニックすることになったのが出会い。

今から2年前、俺はブラック企業勤務の多忙なサラリーマンで食事も昼は社員食堂、夜はスーパーの弁当や惣菜で済ますことが多かったから毎日のように0時まで営業している近所の小さなスーパーに通っていた。

俺は7年前に婚約した女がいたが、その女は大変なアバズレでホスト上がりのプータローと浮気しやがった。

それ以降、彼女もできず、30過ぎても独身だったし、俺は一人暮らしだから夜9時10時に帰ってきても飯を作ってくれる人もいないし、恥ずかしながら惣菜三昧だったんだ。
行きつけのスーパーは小さく、レジは二台しかなく、いわゆるミニスーパーと言うやつだった。
店員の年齢層が高く、いつ行っても主婦らしきパートのおばさんばかりだっんだが、ある時期から可愛い女の子がレジに立つようになった。
スーパーとかでバイトしなくてもおしゃれなタピオカ屋さんとか、イタ飯屋で働いた方が似合ってるような少女。
二台のうち、もう一台のレジは愛想が悪い30過ぎのババア店員だったので、笑顔がキュートな嫁のレジにルンルン気分で並ぶようになった。
そうしたら、顔覚えられて

「いつもお仕事ご苦労様さまです」

などと労ってくれるようになった。
嫁が割引シール貼る時は俺が好きなおかずに割引シールを貼ってくれた。
完全に俺は嫁に、「ほの字」だったが、こういう若くて可愛い女性店員は変なおっさんに絡まれて大変だろうし、嫁より一回り年上の俺もその1人になりたくなかったから、嫁と付き合いたいとかは一切思わなかった。

嫁は閉店間際の時間でも働いていたので、高校生ぐらいに見えるけど大学生なんだろうなというのは分かっていたし、1回りも年下の女なんか完全にガキだもん

急展開したのは日曜日に近所の公園に行った時。
うちの近所にはカップルや家族連れがピクニックに楽しめるような芝生がある大きな運動公園があるんだ。
たまにバザーとか祭りとかの催しもやってて、俺の好きな唐揚げのキッチンカーが来ると知って、唐揚げを買うために公園に行った。
そしたら嫁が芝生に大きなレジャーシートを敷いて泣きそうな顔をしているのを目撃した。
嫁はバイト中は髪の毛を縛って地味なブラウスに黒ズボン、緑のエプロンと三角巾姿だから最初、嫁だと気づかなかった。
その時の嫁はピンクの水玉ワンピースを着て髪も下ろして可愛い花柄のカチューシャをしていたからね。
「あ、スーパーの店員さんだ。友達か彼氏とピクニックでもするのかな?」と思い、ちょっと凝視してしまった。

目があったので会釈すると

「お…べんどう…たべてもらえ…ませんか…」

と泣きそうな顔で声をかけられた。
見ればおしゃれな籠にベーグル(聞けばベーグルも手作り!)やデパ地下で売っててもおかしくないような色とりどりでおしゃれなサラダ、アスパラベーコン、ひよこに模った可愛い茹で卵、ハート型の卵焼き、さフライドチキン、可愛いクッキー、苺などが入っている。それも3、4人前ぐらい。
売り物でもおかしくないレベルで、おいくら万円!?と思うぐらいクォリティが高い。

「どうしたの?友達来られなくなったの?」

「それが…うぐっ…。」

嫁を落ち着かせて聞いたところ、嫁は近くにある女子大に通っているんだが、本当は難関大に行きたかったのに、母親や叔母、祖母の母校だからといまは落ち目の底辺女子大に進学させられたらしい。
高校は県トップの進学校だったのに。
大学の同級生はお嬢様大学とは名ばかりのオゲレツなやつばかりで嫁は物凄い虐められたんだってさ。たぶん、俺が想像するに嫁はチビでか弱そうに見えるし、おまけにトランジスタグラマーな美人だから妬みもあったんじゃないかな。

いじめの内容を聞くと、大学生にもなって男性経験ないことやぎっちょであることをバカにされたとか、嫁は大トラ野郎だった亡き父親の影響で男性が苦手なのに合コンに無理やり人数合わせで連れて行かれてハレンチなスケコマシ野郎に目をつけられてしつこく口説かれたから、タクシー呼んで逃げたとか、ひどい話ばっかりだった。

それでも、3年時からゼミが始まってゼミの子に「ピクニックしようよ」

「嫁ちゃん、お料理できるんでしょ?みんなのお料理作ってよ」

と誘われて、嫁は友達ができると期待して朝4時に起きて頑張っておしゃれな料理とお菓子を作ったのにいつまで経っても、ゼミの子たちが来ないからゼミの子に電話してみたら

「彼氏にデートに誘われた」
「用事できた」

と言ってすっぽかされたらしい。
酷いやつだと電話にも出なかったらしい。
おそらく、ゼミの子たちは最初から、すっぽかすつもりで誘ったらしい。
嫁は同居の祖母(母は毒親だが、祖母は優しかったらしい)に友達にピクニックに誘われたというと「嫁ちゃんに初めて友達ができた」と喜んでくれて、高い苺もわざわざ買ってくれたから、誰も手をつけてない料理を持って帰ったらおばあちゃんが悲しむ、でも1人で完食できないと思ってトホホ…状態だったそうで、たまたま見かけた顔見知りの俺に声をかけたらしい。
それでご相伴に預かったが、めちゃくちゃ美味かった。

「唐揚げ買うつもりだった」

と言ったら

「もう!いつも、お惣菜やお弁当じゃないですか!体大事にしないとダメですよー!」

と怒られてしまった。

「俺、残業で帰るの9時10時だもんなぁ。」

と言ったら

「私が作りますよ!」

と言ってくれた。
さすがに遠慮したが、

「だって私のお料理こんなに美味しいと言って食べてくれるから、こういう人に私の手料理食べてもらいたいなぁと思うんです」

と残念そうに言われた。
お三時用にクッキーとか、プチタルトとか、紅茶も用意してくれていて、こんなおしゃれなピクニックとか初めてだなとものすごく感動した。

このことがきっかけに交際が始まり、大学卒業して俺のところに嫁に来てくれた。
底辺女子大とはいえ、大学を授業料免除の特待生として通い、在学中に英検一級や秘書検1級も取得した優秀な嫁は大手企業でバリバリ働くキャリアウーマンを目指していたのに、母親に銀行しか認めてもらえなかったとかで、大学卒業を機に母親と絶縁し、俺のところに転がりこんできた。
就職の方は嫁が「俺さんのお嫁さん」に進路変更したので、大学卒業後、嫁は専業主婦になった。
優しかったおばあちゃんは4年の春に亡くなったらしくて、もう、家族と絶縁しても問題なかった。

「俺みたいなおっさんでいいの?」

と聞いたが

「俺さんでいいのじゃなくて俺さんがいいんです。それに俺さんはおっさんじゃないです!
 今だから言うけど私の方が一目惚れだっんですよ」

と言ってくれた。
俺もガキだと思っていた嫁が甲斐甲斐しく、料理上手で尽くしてくれる大人の女であることに気づいてからは年の差なんて気にならなくなった。
俺の方も多忙な前職から定時で帰れるホワイト企業に転職したので、今は7時前には帰宅し、嫁が作った出来立ての夕食を毎日堪能している。
結婚して1年経ち、嫁が可愛い赤ちゃんを産んでくれたので記念カキコ。
 
コメントの数(13)
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この記事のコメント一覧
1 . 名無しさん  ID:k59zMxHA0編集削除
朝からもげろ
    _, ,_  パーン
. ( ‘д‘)
.    ⊂彡☆ ω
2 . 名無しさん  ID:pCymVE.W0編集削除
いいんでね〜の
連休明けのいい話
3 . 名無しさん  ID:Cgma9ZKu0編集削除
ほっこりするいい話
4 . @  ID:7mIGsdFy0編集削除
ジョーカー
5 . 名無しさん  ID:Od.xhm5X0編集削除
今日から仕事帰りにスーパーに寄るわ
6 . 嘘松  ID:QHgYu.900編集削除
めでたい。
7 . 名無しさん  ID:iumm5hBk0編集削除
この作家も飽きないね
8 . 貶しさん  ID:qPyFF.sA0編集削除
>>7
作文の宿題、明日までに提出な
9 . 名無しさん  ID:okI9sryv0編集削除
弱者男性の妄想突き抜けた感じで逆にいい
10 . 名無しさん  ID:.mc8ANHl0編集削除
くっそもげろよもう。
もげろよ。
何がかわいい赤ちゃんだ。もげろよ。
11 . 匿名  ID:7xv8Srga0編集削除
特殊嫁だろ
ピンクの水玉ワンピースに花柄カチューシャなんてクソダサファッションが超キモい
12 . 名無しさん  ID:rQhvhsYa0編集削除
お、復活してる
ついに終わったかと思ってたわ、このサイト
13 . 名無しさん  ID:Bxw4jVc30編集削除
お前ら他の話だとすぐ嘘松認定する癖にこんなあからさまな特殊嫁は受け入れるんだ
ちょろいな

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