雨の日に車で帰宅中、歩道を友人Aが傘もささずに向こうからこっちに向かって早歩きしてた。
傍らにはおばちゃん(Aの母親で子供の頃からよく知ってた)が寄り添うように
Aと腕を組むようにピッタリくっついて早歩きしてて、あれじゃあ歩きにくかろうと思ったが
それぐらい昔から仲の良い母娘だったので微笑ましい気持ちで見ていた。
家まで送ってあげようと思って路肩に車を寄せて、ほんの一瞬Aから目を離して停車し
窓を開けて

「Aちゃん!」

と声を掛けたら、Aちゃんしかいなかった。



最初はそれに気付かず(単純におばちゃんがAの死角に入ってるのかな、みたいな)
大声で

「送ったげるから乗りなよ!」

って言ったら、Aちゃんが満面の笑顔で乗り込んでドアを閉めた。

「いやいや、おばちゃんも一緒に!」

って言ったらAちゃんは

「え?何?」

って。
それで初めておばちゃんの姿が見えないことに気が付いた。
車の周りに誰もいなかったんだ。
え?なんで?おばちゃんも一緒だったのに?ってわけがわからず

「おばちゃんは?一緒にいたじゃん?」

って言ったらAはひとりだって言う。
それで見たことをそのまま言ったら、知らなかったけどおばちゃんは前年に亡くなってた。
絶対見間違いなんかじゃない。Aと一緒に早歩きしてた。
じゃああれはおばちゃんの幽霊?
軽くパニックになったけどなんとか落ち着いて、
Aを家まで送りながらおばちゃんが亡くなった時のことを聞いた。
翌日Aから電話があって、その時のお礼を改めて言われたあと

「私ちゃんから母ちゃんを見たって言われたの、すごく嬉しかった。ありがとう」

って言われた。
A、母親を亡くしたことをなかなか吹っ切れずにいたんだって。
でもずっと傍にいてくれてるんだって、嬉しい気持ちと同時に
成仏できてないのかと思うと申し訳なくて、ちゃんとしっかり生きていかなきゃって思ったって。
気持ちを切り替えられた。
有難う。
って言われた。
幽霊って怖いばかりじゃないんだね。 
 
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この記事のコメント一覧
1 . 嘘松  ID:Ntux9.M40編集削除
ええ話や
2 . 名無しさん  ID:TS7p32Zs0編集削除
ホントに怖いのは頭が茶色かったり赤かったりする足のあるおなごだ、って今は亡きばっちゃが言ってた
3 . 名無しさん  ID:.9IfEOaI0編集削除
そのばっちゃは足のないおなごになったんですね
4 . 名無しさん  ID:zBSR.CUf0編集削除
Aちゃんに「有難う」って顔写されたことだけは理解した
5 . 名無しさん  ID:Hee.NzC.0編集削除
はいはいおもしろいおもしろい
6 . 名無しさん  ID:V8m2tjQv0編集削除
泣かせるなや( つω´)

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