20代半ばの頃、私はやさぐれていた。

飛び抜けて美人なわけでもないが、真面目で大人しい優等生タイプなためか、結婚を意識する年齢の男性からモテていた。
しかし私は大のホラー映画好き。
仲良くなってきた頃にそれが知れると

「ホラーなんか観るんだ…なんか引いちゃうなぁ、やめなよ」
「そんなもの観ないで、女の子らしく恋愛映画でも観なよ」

ととにかく否定される。

彼らは『大人しく真面目そうな女』を気に入ってるだけで、私個人を見てくれてるわけじゃないんだな…とがっかりし、そしてやさぐれた。

そんなある日、隣の部署にいた同年代の男性社員から食事やデートに誘われるようになった。
爽やか系スポーツマンで優しく裏表がなく仕事でも成果を挙げており、とても素敵な人。
ただ、やさぐれモード真っ盛りで
「貴方も私がホラー好きって知ったらドン引きして否定してくるんでしょ?」
と思った私は、いっそ初手で引かれた方がマシだ!と、聞かれもしないうちからホラー好きをアピールした。

「私、ホラー映画が大好きでよく1人で映画館行きます!」
「好きな作品は『SAW』シリーズとか『ヘルレイザー』『武器人間』かな!」

…などと私が話すのを、彼はニコニコしながらウンウンと聞いてくれた。
そして数日後、なんと彼は私が好きだと話した作品を全て鑑賞してきた。
あのシーンが/このキャラの行動がどうだった〜、とか話も盛り上がって、ネットで調べたのではなく本当に映画全編にきっちり目を通したのがわかった。
身近にホラー好き仲間がいなかった私は、そんな話ができるのがなんだか嬉しくなった。
それまで断っていたデートも、一緒にホラー映画観ようと言われて喜んで承諾した。

…で、怖いと話題のホラー映画を鑑賞し終わった後、グッタリ座り込む彼。

「ごめん、本当は怖いの苦手なんだ。
 好きだって言ってた作品はDVDで休み休み観たから平気だったけど、映画館で通しで観たらダメだった…」

そこで初めて無理させてたことに気づき、ごめんねごめんねとひたすら謝った。
一緒にホラー楽しめないなんてがっかりされる〜、と彼は落ち込んでいたけど、私は嬉しかった。
私のホラー好きを否定しないどころか、苦手なのに無理してまで私のために踏み込んでくれる。それで完全に彼を好きになった。


そして彼と結婚して数年経つ。
彼、もとい旦那は私が1人で映画館へ行ったり自室でホラー映画を観るのを「楽しんでおいで〜」と送り出してくれるし、私も彼が趣味の野球観戦をする時は選手や応援歌を覚えて一緒に応援する。
趣味以外でもお互いを尊重し合って幸せに過ごせていて、年末には子供も生まれる予定。
まさかのホラー趣味が結果的に最高の相手と引き合わせてくれて、よりいっそうホラーが好きになった。 
 
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この記事のコメント一覧
1 . 名無しさん  ID:JaEP9F2S0編集削除
価値観の押し付けこそダメ案件だけど、理解のある彼氏、いや旦那でよかったんでない
末永くお幸せに
爆発しる
2 . 名無しさん  ID:q.0u5ZuY0編集削除
マエミタゾ
3 . 名無しさん  ID:yZfWhch70編集削除
趣味の違いはあれど互いに尊重するという姿勢が素敵
4 . 名無しさん  ID:tSnHXnyN0編集削除
これもみた
つい最近
5 . 嘘松  ID:XdGfHGYt0編集削除
もう新作はないらしい
6 . 名無しさん  ID:Hc.NKo3O0編集削除
神は苦笑

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