親友の忘れ形見と結婚したわ

高1の時に俺の悪友(嫁父)が同じ学校だった彼女(嫁母)を妊娠させてしまった。

嫁母は高校を中退したが、嫁父は学業を続け、進学校だが高卒で就職することが決定した。
17歳の若さで嫁母は玉のように可愛らしい女の子
(嫁)を産み、俺もそこにちょくちょく遊びにいっては赤ん坊を抱っこさせてもらった。
当時の俺は抱っこしているベイビーが未来の嫁になるとは知る由もない。

高校卒業後、嫁両親は結婚し、結婚して2年目に嫁父の白血病が発覚した。
若いだけあって嫁父は退院間近ぐらいにまで回復したのだが、抗がん剤の副作用が原因と見られる肺炎を併発し、あっけなく身罷ってしまった。
まだ21歳の若さだった。

死の間際に俺は嫁父に

「これから成長していく愛娘を見られないのが残念だよ。
 嫁は高校を最後まで通えなかったから学歴も職歴もない。どうか嫁が幸せになれるようにお前が助けてやってくれ」

と遺言を残した。

その遺言通り、俺も嫁の成長を見守るつもりだったが当時はまだ大学生で口惜しいことに、俺は力になれることは何一つなかった。
嫁母は就職しようとしたが、職歴も学歴もないヤンママにまともな仕事はなく、夜の蝶になってしまった。
嫁母は「○高のマドンナ」と呼ばれていた美少女だったので実家にもどれば、再婚の話もいくらでもあったと思うのだが、高校生で妊娠したことで親に縁を切られていたので実家に戻れなかった。

さらに最悪なことに、
進学校だったから周りの女子は華の女子大生ばかり。
瓶底眼鏡のカッペだった女子達もエビちゃんみたいなパーマを巻いて、ヒラヒラしたワンピースを履いて、化粧も覚えて垢抜けてものすごく綺麗になっている。
それが羨ましくなったようで、嫁母は子供を放置して遊び回るようになった。
俺も嫁母に

「嫁ちゃんのことも考えた方が良い」

と忠告したのだが、嫁母は聞く耳を持たず、俺が大学を卒業して就職した時には嫁母は
ロクでもない男と再婚してしまっていた。
嫁は継父に邪険にされて育ち、弟妹が次々生まれると家事育児を押し付けられるようになって、家族旅行には連れて行ってもらえず、継父の親戚の家に預けられる始末だった。
嫁の小学校のランドセルは親戚のお下がり、文房具は地味な百均だというからかわいそうになって俺がキティちゃんの筆箱や鉛筆を買ってやったこともある。

そしたら、それも妹に奪われて嫁は

「俺君が買ってくれたものなのにごめんなさい」

と号泣していた。
可哀想になって、嫁以外の家族が旅行に行く時は

「親戚に預けるぐらいなら俺に預けろ」

と言って、俺が預かるようになった。
元々、継父の妹夫婦に無理やり押し付けて嫌な顔をされていたらしいから、この申し出は喜んでもらえたぐらいだった。
もちろん、20代の独身野郎が小学生を家に泊めるなんて普通はしないが、当時は彼女と同棲していたから、できたことだった。
家族に夢の国にも、北海道旅行にも連れて行ってもらえない嫁のためにとびきりお姫様扱いをして、おしゃれなカフェとか、遊園地とかデパートとか連れて行ってやった。
普段食べさせてもらえない美味しいものも食べに行った。
彼女も最初の数年間は

「妹が欲しかった!」

と言って可愛がってくれて、嫁も俺たちを

「お兄ちゃん」
「お姉ちゃん」

と呼んで懐いてくれた。
しかし、嫁がティーンになって美しく成長してくると彼女が嫁に嫉妬するようになってしまった。

当時の彼女も有村架純似の美人だったが、20代後半になって美貌を失ってきているのを実感しているようだった。
反対に嫁はこれからどんどん大人の女性になっていく。
不安でしかなかったのだろう。

極め付けは彼女の

「嫁ちゃんってあなたの娘でも親戚でもないんでしょ。嫁ちゃんが私より大事ならお嫁さんにしてしまえば!」

というセリフだった。
それをまだ15歳の嫁がいる前で吐き捨てて、彼女は同棲していたアパートから出て行った。

さすがに30代前半のオッサンのアパートにもう連れてくることはできないので、嫁に

「今度からは外で会おう。俺が結婚したら、また家に呼べるから」

と言ったところ、

「私じゃダメですか…?」

と言われた。

「どういうこと?」

「私、俺お兄ちゃんのお嫁さんになりたいです。」

「な、な、何言ってるの!俺、嫁ちゃんのお父さんの親友だよ!嫁ちゃんの両親と同い年なんだよ!」

「彼女ちゃんが私に嫉妬していたように、私もお兄ちゃんの彼女に嫉妬していました。
 私は子供だから相手にしてもらえない、彼女ちゃんは大人の女性だからいつかはお兄ちゃんと結婚する、それが怖かった。
 お兄ちゃんの結婚式で綺麗なウェディングドレスを着た彼女ちゃんを想像したら素直に喜べるのだろうか…。
 彼女ちゃんが俺くんそっくりの坊やを産んだら、心から祝福できるだろうか…。
 そんな黒い気持ちばかり抱えてました。
 彼女ちゃんじゃない、他の女性がお兄ちゃんと結婚しても同じこと。
 ずっと私は悪い女です。子供なのにおかしいでしょ。」

「嫁ちゃんは早くにお父さんを亡くして、お母さんや継父に育児放棄されてきたから、お父さんを恋しい気持ちを俺への恋心と勘違いしているだけだよ。」

「そんなことは…ありません!」

「普通、嫁ちゃんぐらいの年齢ならジャニーズが理想でしょ。それが普通だよ。俺みたいなオッサンなんてとんでもない。」

「私の大好きなお兄ちゃんを卑下するな…!私はお兄ちゃんが好きなの!
 私が幸せになるように助けてあげてってパパが言ったんでしょ!?だったら、その約束守ってよ」

「パパは俺と結婚しろという意味でそんなことを言ったんじゃないよ」

「形はどうであれ、私を幸せにしてくれるのはお兄ちゃんしかいないの。だから、私と結婚さてください」

「ごめん、本当に申し訳ないけど、嫁ちゃんはまだ中学生だ。子供をそんな対象で見られない。結婚だってできない。」

「じゃあ、3年後、大人の女性になった私を見てください。俺くんに相応しい大人の女性になりますから。」

嫁は高校からは寮に入って男女共学の理系の進学校に行くことになっていた。
生徒は男子の方が多いらしいし、3年間で素敵な彼氏
を見つけるだろうと思ったから、俺はもう嫁に会わないことにした。
どうせ、嫁の継父や嫁母は学費と寮費だけ払ってあとは放置するだろうから、俺が図書カードやら、スタバカードなどは時々送ってやった。
その間に引っ越しを済ませて新しい住所は教えなかった。
しかし、高校を卒業したあと、嫁は俺を探し当てて俺のところにやってきた。
ていうか、田舎だから、事情を知らない友達(嫁父との共通の友人)が勝手に教えた模様。
苦笑いしながら

「もう行くところがないんです」

嫁の継父は学歴がある女が嫌いでいまどき、女子大生亡国論を信じているような時代遅れなやつだったし、妻の連れ子のために大学費用を払ってくれるようなやつではなかったらしい。

「学費は俺が出すから進学しなよ」

と言ったが、

「お兄ちゃんのお嫁さんになるのが夢だったから」

と言って専業主婦になった。
俺みたいなおっさんの下にウルトラキュートでお肌ぴちぴちすべすべのボンキュッボンの美少女が嫁にくるなんて開闢以来の出来事だろう。
可愛い子供も生まれ、子供がハイハイしたから記念カキコ。
そして、親友と嫁母、30代の若さで祖父母にしてしまってスマソ。
そして、俺と嫁のせいで結婚適齢期を逃し、傷つけてしまった元カノにもいつかは謝りたいと思っている。 
 
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この記事のコメント一覧
1 . 名無しさん  ID:JsCbJ24w0編集削除
よかおめもげ
2 . 名無しさん  ID:cxeHQX3j0編集削除
かつて読んだことあるように感じるですが
それはdéjà vuですよね
でなければ、主サボりすぎ
3 . 名無しさん  ID:NA.oIsbO0編集削除
いや、確かにこれも前に読んでる
4 . 嘘松  ID:kPm4GT.20編集削除
前みた
5 . 名無しさん  ID:KJ14g6Ht0編集削除
ふんふん、よくできました ◎
6 . 名無しさん  ID:bK.GS8XI0編集削除
これ見た
7 .    ID:JecYH7z30編集削除
どこに感動する要素が?

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