魔王(娘)「うう…ぐす…ぐす」
僧侶「無事魔王を倒したと思ったら、まさか奥の隠し部屋に娘がいたとは…」
魔法使い「し、しかし、こんな年端もいかない小さな娘…、お、おい、どうする勇者」
女勇者「小さくても魔王の娘。決まっています。ここで始末しましょう」
魔王(娘)「ひいいっ…!」
戦士「おい、待ってくれ!勇者!
魔王の娘とはいえ、見た目は子供!こりゃお前よりずっと年下だぞっ!いくらなんでもそれは…」
女勇者「戦士、あなたの奥さんと娘さんは、魔王軍に殺されました。
目の前にいる娘は、それを指示した魔王の娘なんですよ、それなのに…」
戦士「魔王を討伐し仇はとった。この娘は、魔王の娘とはいえ、こんな狭い部屋に幽閉されてたんだ。
きっと何も事情を知らなかったんだろう、命をとるのは忍びない」
魔法使い「戦士の気持ちはわかるが…、しかし、このまま黙って見逃すというのは」
僧侶「ああ、今はまだ子供でも、いずれ大人になり、人間に害をなす可能性は高いだろう」
女勇者「僧侶のいう通りですよ戦士。始末しないというのなら、一体どうするつもりですか!」
魔王(娘)「うう…ひぐ…えぐ…」
戦士「え、いや、それは…ええと」
10年後
とある村
魔王(娘)「ただいまー」
戦士「おう、おかえり。ってあれ。お前、なんで午前中に帰ってきてんだ?学校は?」
魔王(娘)「んー?今日は、テストで午前中で学校、終わりなの…って、ちょ、ちょ!な、なにやってんの!?」
戦士「え?いや洗濯だけど」
魔王(娘)「いやいやいや!何私の服と一緒に洗ってんの!?そ、それ私の下着、はああ!?
いつも言ってるでしょ!ちゃんと分けて洗ってって!いつも言ってるよね!?」
戦士「ええ…、いやそんなめんどいし」
魔王(娘)「はあ?分けて洗ってって、言ったよね?ねえ?」
戦士「はい…」
戦士「ご飯、どうする?早く帰ってくるって知らなかったから準備してないけど」
魔王(娘)「え?あーいい。友達と食べてきたし、てか家で食べるご飯おいしくないし」
戦士「そう…。あ、って、いうか。今日がテストって知らんかったぞ、お前ちゃんと勉強してるのか!?
最近家でゴロゴロして」
魔王(娘)「ああはいはい。やってるやってる、から。てか今日テスト終わったから。あ、それと」
魔王(娘)「テスト終わって午後から友達がウチに遊び来るんだけどさあ。
友達来たら、あんまり家でうろうろしないようにしてくれる?」
戦士「え…なんで?」
魔王(娘)「なんでって…、友達に見られるの、何か恥ずかしいからに決まってるじゃん。
ほんと、頼んだからね」
戦士「」
魔王(娘)の部屋
友達A「ねえ、ねえ。まーちゃんのお父さん、勇者一行の仲間なんでしょ?すごくない?」
友達B「ねー、一回見たことあるけどかっこいいよね!?今日は家いないの?」
魔王(娘)「はあ?どこが?全然すごくないしカッコよくもないよ。ただのおっさんだよ」
魔王(娘)「それにお父さんじゃ…、……、うん…まあ…、そこはあれだけど。」
魔王(娘)「なんか今日は、自分の部屋に閉じこもってなんかしてるみたい。あ、てかさ。今日のテスト難しくなかった!?」
友達C「わかるー。蘇生呪文の理論とか、この平和な世界で知らねーっ、ての!あんなん必要?」
友達B「まあ、ああいうのは、そもそも神の加護がある限られた人じゃないとできないらしいし、テスト用に理論だけ
丸暗記するだけだよねー、きゃはは」
戦士の部屋
戦士「はあ…」
酒場
戦士「小さい頃はそんなことなかったんだけどな。アイツ、すげーさみしがりやで、
家でお留守番させておくとすぐ泣いて大変だったわまじで」
戦士「学校も結構人見知りするタイプで、入学式とかも俺のそばから離れなくてさ、はは…」
部屋用意にしてあげたのに、時々さみしいからって、俺の部屋に来て一緒に寝たりさあ…はあ」
戦士「それなのにさ…、最近は、最近すげー当たりきつくなってさ。やっぱ、あれなんだよな」
戦士「恨んでるんだろうなあ…」
戦士「まあ、そりゃそうだよな。アイツの父親である魔王を倒したのは俺たちだしな」
戦士「どう思う?」
魔法使い・僧侶「ええ・・」
魔法使い「いやそれ…普通に年頃なだけじゃないか…?うちの娘も似たような歳だけどそんな感じだし…」
僧侶「ああ、お前、てかお前、すごいな。魔王(娘)。普通に学校通って友達つくって…、人間に
なじんでるんじゃん。よくそこまで育て上げたな」
魔法使い「ああ、お前が自分が面倒みるって言いだした時は何考えてるんだって思ったが…
久しぶりにこうして集まっていい話を聞けてよかったよ、なあ勇者?」
女勇者「いや全然。さすがは魔王の娘。邪悪ですね。恨んでますね、我々のことを」
魔法使い「ええ・・」
戦士「や、やっぱそうかな…」
女勇者「いやそうでしょ…。
まず、洗濯物一緒に洗っちゃいけないとかいう発想が意味が分からないですし…
戦士全然臭くないし。戦士がせっかく作ってくれた手料理を食べずに外食とか意味がわかりません」
女勇者「友達に見られるのが恥ずかしいという感性も意味不明です。
てか、戦士は普通に恰好いいというかなんというか…、久しぶりに会って、なんか…、歳を重ねてますます、
なんか…深みが増したというか、なんていうかごにょごにょ……」
女勇者「ていうかそもそも、戦士と一緒に暮らすとか、なんなんですかそれ、うらやまし…」
魔法使い「ま、まあとにかくっ!戦士。10年ぶりにお前に会って話を聞いてよくわかったよ!
魔王の娘は、我々に害をなす存在ではないってことがな」
僧侶「ああ!心配になってきてみたが、全然問題なさそうだなっ!
そこまで立派に育てた戦士には敬意を表するよ!」
女勇者「ちょっ…、待ってください!話はまだ終わってないですからっ!私は
全然、安心できてませんよっ!戦士っ!ちょっとお願いがあるんですけど!」
戦士「え…?」
翌日
戦士の家
魔王(娘)「ただいまー」
戦士「お、おお。お帰り」
魔王(娘)「ん?どうしたの、なんか様子おかしくな…、…あ」
女勇者「こんにちは」
魔王(娘)「……、ちは」
戦士「あ、あー。この子はな。俺の昔のパーティにいた子で、たまたま近くに来たから立ち寄ってくれたみたいで」
魔王(娘)「あー…、うん。覚えてるよなんとなく、勇者さんでしょ?こんにちは…、それじゃ私部屋行くから」
戦士「あ、待ちなさい。せっかくの客人だし、昼飯作ったから一緒に食べながら話でもしよう、な?」
魔王(娘)「ええ…」
昼食
女勇者「まさか戦士がこんな辺鄙な村で農作業して暮らしてるだなんて」
戦士「まあ、他にもギルドの簡単な仕事とかでなんとかやっていってるよ」
女勇者「戦士ならこんなところじゃなくて、王国で立派な暮らしができるのに」
戦士「いやあ、俺はそんなの興味ないしいいよ」
女勇者「し、しかし、あ、あのね…、戦士。わ、わたし、今、王国の騎士の指南なんかをしていて、その
人手が足りなくて…、その、よかったら」
魔王(娘)「……、あ、あーあのさあ」
魔王(娘)「そういえば、来週。授業参観があってさ。ちゃんと来てよね」
戦士「え?そうなのか、ていうかそういうの普段、俺が行くの嫌がるくせに」
魔王(娘)「何言ってんの別に全然嫌がってないし。ていうか一応保護者なんだから来てよ」
戦士「え、ああ」
女勇者「……」
魔王(娘)「あーもう、口にソースついてるよ。もう、お客さんの前でそそっかしいなあ」
戦士「え?ああ、って、おい。なんだよ」
魔王(娘)「何って、拭いてあげるから。ジッとしてなよ」
女勇者「え、ちょ…なに…、何やってんの…ちょ、ちょっと!待ちなさいっ」
戦士「え?」
女勇者「せ、戦士!あ、あのっ!この子とちょっと二人きりで話させてくださいっ!」
喫茶店
魔王(娘)「あの…、家からこんなとこまで連れ出して話というのは…」
女勇者「ああいうのは、あんまり感心できないかな」
女勇者「戦士は大人の男性で、貴方は年端もいかない魔族…、見た目的にも年齢的にも
親子くらいの差なのは明白だけれど」
、
女勇者「ああやって、口についたソースを拭いてあげるとかそういう、恋人っぽい
そういうアレを客人の前でアレするのは」
女勇者「アレだと思うの…」
魔王(娘)「はあ…」
女勇者「それに私が来たからってこれ見よがしに授業参観の話とか持ち出して仲のいいアピールしたって、
私は貴方が洗濯物を一緒に洗われるのを嫌がったりとかそういう仕打ちを戦士にしているのをちゃんとわかって」
魔王(娘)「あのすみません、話が見えてこないんですけどなんですか、一体」
女勇者「単刀直入に言うと、わたし、あなたのこと信用してないんです」
魔王(娘)「…、はあ」
女勇者「だってそうですよね。貴方はかつて、人間界を支配しようとした魔王の娘。
そうやって普通のJKみたいな雰囲気だしてても、実際には魔王を倒した戦士や私たち勇者一行を恨んでいて、
復讐を企てるつもりでも不思議じゃないし、父親に代わって人間界を支配する野心があったって
不思議じゃない」
女勇者「今だって魔王軍の生き残りとつながってて、裏でよからぬ計画をたててる可能性だって考えられるわけですよね」
魔王(娘)「………」
魔王(娘)「知らないですよそんなの。私、物心着いた時には、あの戦士に育てられてたわけだし、魔王軍がどうとか
お父さんの仇とか…全然興味ないですから」
魔王(娘)「ていうかさ…、勇者さん。あんなおっさんの何がいいの?」
女勇者「は、はああ!?な、何、なんですかそれ、ど、ど、どういう意味それ、え、ええ?どういう意味!?」
魔王(娘)「ああはいはい、もういいですか?私、家に帰って宿題ありますから、それじゃ」
女勇者「ちょ、ちょっと待ちなさい、話はまだ終わって…!」
その晩
魔王(娘)の部屋
魔王(娘)「はあ…、今日はめんどくさかったなあ…」
『おうさま…、魔王さま…』
魔王(娘)「……、部屋で話かけるなっていったはずだけど…バレるでしょ」
『大丈夫です。今日は戦士も眠っていますし、さ。このゲートにはいってください。定例会議といきましょう』
異空間
魔王(娘)「ふあ…、こんばんわ…」
幹部A「ふぉっふぉ…さすがですね。うまく人間界に溶け込み人間どもを欺くことに成功していますね」
幹部B「がはは…、さすがは魔王様の娘ですねっ!やつら10年前に魔王様を倒して完全に油断していますしねっ」
幹部C「ああ、まだ我々がひそかに生き延びているともしらずに…くくく」
幹部D「きゃははっ!それで?それで?いつ人間界を制圧する!?新・魔王様!」
魔王(娘)「えー、あ…うん。どうする?どうしよっか……」
魔王(娘)「まー、まだ時期じゃないんじゃないかな?あと100年後とか200年後とかそんなんだと思うけど」
幹部A「ふぉっふぉ、いやそこまで待たずともよいでしょう?我らの人間界制圧を邪魔する連中といえば、かつての勇者一行でしょうが」
幹部B「魔法使いと僧侶は、現役を離れ年を取り、かつての実力はありません、戦士は元々年長だったこともあって、よくご存じの
通り、今は、単なる老いぼれ」
幹部C「女勇者は魔王様討伐時代は十代前半…、今も20代と若さも強さもありますが我ら全員でかかれば…、」
幹部D「きゃはは!そのとおり!ねえ、どうする、いついつ人間界を制圧する!?新・魔王様!」
魔王(娘)「………」
魔王(娘)「老いぼれって歳じゃないから…」
魔王(娘)「まだ40代後半くらいで……まだまだ結構力もあるし、強いから、あと」
魔王(娘)「こないだも友達に恰好いいとか、すごいとか言われてるし。
一緒に暮らすとがさつでいうこと聞かなかったり、おせっかいでうざったい時もあるけど。まあ優しいし」
魔王(娘)「……、料理は下手だけど。けど、努力してうまくなってきてるし…、それなりには」
幹部A〜D「……」
魔王(娘)「うん、まあ…つまり」
魔王(娘)「あのくそ女…。勇者がまだまだ強くて油断ならないから。一回会ったけど、あれ物腰からして
かなり強いから。もうちょっと時期を待って慎重に行ったほうがいいって思うの」
幹部A「はあ…」
魔王(娘)「そんなわけで私、今日はもう帰るから。あとはみんなで適当に会議してて。それじゃ」
幹部A「あ、ちょっと…、行ってしまわれた…、おいどう思う?」
幹部B「がはは…、全然ダメだな。やる気ゼロだ。見た目のオーラもかつての魔王様の足元にも及ばない」
幹部C「ふん、魔王様の娘ということで従っていたが、はらただしい。我らがどのような気持ちでこの10年間我慢してきたと思ってる」
幹部D「きゃはは、もういいじゃん。私たちだけで動きましょうよっ!私たちの働きぶりをみれば、あの娘も思い出すわよ、自分が何者なのか、
自分の使命がなんなのか、をね、きゃははっ」
………
数日後…下校中
友達「じゃーねーまた明日」
魔王(娘)「うん、じゃーね」
……
魔王(娘)「(違う…、私は別に魔族として目的を忘れたわけじゃない…、ただ…)」
魔王(娘)「(ただ、あの戦士と暮らすのが心地いいというか…心がポカポカするというだけど…、
それに…友達もいっぱいできて毎日楽しーし…)」
魔王(娘)「魔族は長生きなんだから…、人類を滅ぼすなんてつまんない目的、今じゃなくても
…ずっとずっと先だって別に…)」
魔王(娘)「ただいま…」がちゃ
幹部A「おかえりなさい」
魔王(娘)「……は?」
戦士「」
幹部B「がははっ、口ほどにもなかったな、戦士のやつ」
幹部C「10年前とは比べ物にならん、ふふ…この程度の年月で衰えるなど…、人間とはおろかだな」
魔王(娘)「ええと…なにやってんの…みんなそろって」
幹部A「ふぉっふぉ。なんのことはありません。今の勇者一行を殺すことなどたやすいと
われらが判断したまでです」
幹部A「そして、見ての通りです。戦士の奴の何の苦労することなく殺すことができました」
魔王(娘)「………」
魔王(娘)「……、わたし、言ったよね。時期を待って慎重に行こうって」
幹部A「ふぉっふぉ。そうでしたかな?しかしこの通り。待つ必要はありませんでした。
僧侶と魔法使いもこんなもんでしょう。この調子なら勇者だって、われら全員で
挑めば簡単に仕留められますよ」
幹部D「きゃはははは!新・魔王様!戦士のやつは私がとどめを刺しましたっ!
ねえ、ほめてほめて…」
魔王(娘)「…にやってんのよ…、ねえ…!!」
幹部D「え…?」
ぶちぃ
幹部D「ぎゃああああ!!うでっ、腕がっ…!わたしの腕がああああ!!」
魔王(娘)「ああああああ!!」
幹部B「何しやがるんだ!魔王様の娘だからって調子にのるんじゃっ…ぐあああ!!」
幹部C「ひいいっ、そんなここまでの力を秘めて…、やめ…ぎゃああ!!!」
魔王(娘)「うるさいっ!!なにやってんのよっ!勝手に何やってんのよ!!、この人は…この人は私の…っ、…うぐっ」
幹部A「ふぉっふぉっ…、急にご乱心なされて…どうしたのですかな…?」
魔王(娘)「かはっ…なに…これ…、体の自由が…きかな…」
幹部A「あなたは、ものごごろついた時から魔王様に歯向かってばかりの『きかんぼう』でしたからな。
あなたをおとなしくする魔術は、生前の魔王様より教わっております」
幹部D「よくも…よくも…私の腕を…!このクソメスガキがあ!!」
幹部B「はあ…はあ…、ふざけやがって!俺たちが従ってたのはあくまで魔王さまだっ、
娘のてめえなんざっ…、どうでもいいんだよっ!」
幹部C「ああ、ふざけるなよ、この小娘があ!!」
魔王(娘)「がはっ!ぎゃあっ!!」
幹部A「ふぉっふぉ」
魔王(娘)「はあ…はあ…うぐ…」
幹部A「ふぉっふぉ、ようやく落ち着かれましたかな?」
幹部A「悪く思わないでください。あなたの目的は無垢なガキのふりをして
勇者一行に取り入り、われらとともに復讐の頃合いをみさだめること」
幹部A「そして、人間どもしか知りえない蘇生魔法を習得し、
その莫大な魔力で先代の魔王様を復活させることでしょう」
幹部A「いくら魔王様の娘とはいえ、その辺の目的を忘れてもらっては困ります。
それとも人間側に寝返るおつもりだったのですか?この親不孝者が。ご父上である魔王様の遺志に背くおつもりですかな」
魔王(娘)「はは…御父上…?何それ?生まれたときから狭い部屋に幽閉して、わたしのことを道具としてしか見てなかった
奴のことを父親だなんて、おもったことないんだけど…?」
魔王(娘)「父親ってのはさあ…、もっと…優しくて…、あったかくて…、まあ…優しすぎて…逆にうざいときもあって…、
友達とかといるときにうろうろされると恥ずかしいときもあるけど…」
魔王(娘「けどかっこいいところがあったり、友達に褒められりすると…、うれしかったり……、もっと、そういう…っ…」
幹部A「はあ…、いかんな。これは大分頭おかしなっとる。おい、もっと魔王様の娘を教育してさしあげろ、徹底的に」
幹部D「ひひっ…、ふざけやがってよ…、教育なんてもう必要ないでしょ!このままぶっ殺して…、え?」
幹部D「ぎゃあああっ!!」
幹部B「え…?」
戦士「はあ…はあ……」
魔王(娘)「え…」
幹部C「な、なんだ戦士のやつ…まだ動けたのか…、ふざけんな死にぞこないがっ…、邪魔するんじゃ…ぎゃあああ!!」ドゴォ!!
幹部B「な、なめっ…ぎゃああああ!!」
幹部A「え…え…?幹部を3人を一瞬で…?この死にぞこない…うそじゃろ、何かを間違…」
戦士「はあ…はあ…!うちの…、うちの娘に…、手を…だすなっ!」
幹部A「ひ、ひいいっ…!!な、なんだこいつ、て、撤退…撤退だっ!!」
戦士「…」
戦士「」ドサッ
魔王(娘)「……あ…あ…」
魔王(娘)「あ、ああ…、あああ…!」
………
魔王(娘)「マナの精霊と神の御名において迷える魂を呼び戻し給えっ、アレイズ!」
魔王(娘)「アレイズ!アレイズ!!」
魔王(娘)「なんで…なんで…!なんで効かないのよっっ、授業で習った通りにやってるのに…なんでっ!!」
女勇者「……、蘇生魔法は神々の加護をうけた魔法。神々に仇をなし、人間を恐怖のどん底に陥れた
魔族の娘がそんな魔法唱えられるわけないでしょ…馬鹿じゃないんですか」
魔王(娘)「あんたは……、いつのまに…」
女勇者「いやな予感がして急いで来てみたら…なんですかこれ。なんなんですかこれは…」
魔王(娘)「お願い、あ、あなただったら!神々の申し子の勇者であるあなたならできるんでしょ、
蘇生魔法っ、早くこの人を助けてよっ!!」
女勇者「はああああ!!私だってできないですよ、そんな魔法っ!蘇生魔法なんてどれだけ莫大な魔力がいると
おもってんですかっ!」
女勇者「神のご加護があったって、魔力が足りないっ!それこそ神様の同等の力がないと無理なんですよ!!
蘇生魔法は、所詮、机上の空論の魔法なんですよっ!
女勇者「一度、死んだ人間を蘇生させるなんてできるわけないじゃないですかっ」
魔王(娘)「……」
女勇者「何よ…、しらを切って、結局魔族とつながってたんじゃないですかあなた
!返してよ、戦士を返して!私の大切な人を返してよっ…ううう」
魔王(娘)「……莫大な魔力なら…ここにある…」
女勇者「え…?」
魔王(娘)「生まれた時から…狭い部屋で幽閉されるほど危険視された…魔力を、私は持ってるから…、
あなたはその神様たちに祈ってご加護を受けて蘇生呪文を唱えてさ…それならできるでしょ?、魔力は…私のを使ってくれていいから…全部」
女勇者「神々に匹敵する魔力をあなたがもってるというの…?けど…、そんなことしたら、魔力をすべて失ったあなたの身体は…」
魔王(娘)「…せめてもの罪滅ぼしだから…、それに…、この人は…わたしにとっても大切な人だから…」
女勇者「……わかったわ」
戦士「」
魔王(娘)「……マナの精霊と神の御名において迷える魂を呼び戻し給えっ、アレイズ」
それから数日後…
下校中
魔王(娘)「あーあ、恥ずかしかった。ほんと来るんだもんな…授業参観なんて」
戦士「な、なんだよ。この間来いって言ったのはおまえだろうが…」
魔王(娘)「ええもう…そんなの勢いで言ったにきまってるでしょもう…ちゃんと空気読んでよ」
戦士「ええ…なんだよそれ…」
魔王(娘)「まあけど…別にいーけど、友達にも結構評判だったし…」
戦士「何が評判だったんだ?」
魔王(娘)「何がって、だからそれは、おと…おと…いや別にいいわそれは」
戦士「なんだよそれは…」
戦士「まあいいか。今日は疲れたし、とっとと家に帰って休みたい。
なんかここんとこ体が本調子じゃない気がするし、最近の記憶もはっきりしない
ような気が…」
魔王(娘)「あ…、あの、その話だけど…、実は…わたし、言わなきゃならないことが」
戦士「どうした?家に着いたぞ、ただいま」
魔王(娘)「う、うん、ただいま…そ、それでね」
女勇者「ああ、おかえりなさい」
魔王(娘)「……は?」
女勇者「晩御飯は作ってありますよ、あとお風呂の準備も。どうします?それとも…」
戦士「えっと…あれ?勇者?どうしたんだ、なんで俺たちの家に?」
女勇者「ええ。わたし、わけあって王国の剣術指南をやめて、ここの村に越してきたんです」
戦士「そ、そうなんだ、けどもったいない。どうして」
女勇者「そういうわけで戦士と一緒に暮らそうとおもって」
戦士「ええ…そこから一気にわかんないんだけど」
魔王(娘)「おい…、おい…」
女勇者「ちょっと、なんですかあなた…、急に顔近づけてきて…、怖い怖い」
女勇者「(しぶとい女ですね。まさか蘇生魔法で莫大な魔力を使い果たしてなお生きてるとは…)」ひそひそ
魔王(娘)「(そんなことどうでもいいでしょ。それよりなんでアンタが家にいるのよ…)」
女勇者「(決まってます。魔族の生き残りはまだいるみたいですし、護衛のため
私も住まわせてもらうことにしたんです)」
魔王(娘)「(だ、だからって、この家に住むことはないでしょうが、近くの家にでも借りてでてってよ!)」
女勇者「(離れての護衛は危険です。
それにあなただって、結局、魔族とつながってたんですし、わたし、信用してないですから)」
魔王(娘)「(ぐぬ…)」
女勇者「(まあ、今のあなたは魔力もほぼ0ですし、生きてもあと数十年…普通のJKと
変わらないでしょうから。流石に今のあなたをもう危険視はしていませんし…いいんですよ?
今後は私に協力してくれるというのなら、すべて水に流してあげます)」
魔王(娘)「(あ…?協力ってなに…?)」
女勇者「(要するに、戦士と私との関係。応援してください。
わたしのことを「お義母さん」と呼んでもらっていいですから)」
魔王(娘)「ああん…?」
戦士「おーい、なに二人でこそこそ話してんだ?」
勇者「あ、いえ…、よくわかんないんですけどこのメスガキが急にがからんできて」
魔王(娘)「誰がメスガキよだれがっ!!、ねえ、それよりこの女、早く追い出してよ!!この女予想以上に
やべー奴だよっ!」
戦士「はは、いいんじゃないか、別に。勇者一緒に住むか」
女勇者「えっ(ハート)」
魔王(娘)「はあああああ!!?」
魔王(娘)「な、なんで、なんでよ!わ、私が人見知りなの昔から知ってるでしょ!ぜ、絶対いやよ、私は!」
戦士「何言ってんだ、二人でこそこそ話して、仲良さそうだったじゃないか!」
女勇者「ふふ、これからもよろしくお願いしますね」
戦士「まあ、勇者も昔から生意気な娘みたいなもんだったし、俺としては、娘が2人になったって全然問題ないしな」
勇者「ふふ、そうですそうです、戦士は私のことを娘として…、はあああああ!!!???」
魔王(娘)「いやいやいや全然仲良くないからっ、おかしいでしょ、いいからとっととこいつ追い出してよ、おとーさんっ!!」
戦士「いや、お前もそんなにカリカリするなって、…って、あれ、お前今俺の事」
魔王(娘)「あーあー、うっさいな、いいからもう早く!!追い出してったらああ!!」
おしまい
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