ドラマチックなロマンス話は無いが、嫁さんとは俺が中途で入った会社で出会ったよ。
社会人としては俺の方が4年先輩だけど、その会社では嫁さんの方が2年先輩

新卒から6年勤めた会社を退職した俺は、樹脂成型品を製造する会社に転職し、設計関係の部署に配属された。
そこは建前では新製品の設計を担当するはずだったのだが、実際は図面の製図や試作品の手配、仕様書の作成、量産工程の立ち上げと何でも屋のような感じで、製品開発に関わる仕事のほとんどを押し付けられていた。

納期に間に合わせるために色々な部署や人とすり合わせをしないといけないし、トラブルも頻発する。
試作品の到着が遅れたり、品質試験でNGが出てしまったり、生産工場長の承認印を貰った後になってから図面にミスが見つかってしまったりetc...



耐久値を調べるテストで規定値を下回ってしまい、改良品を作ってから再度テストをお願いすることも一度や二度ではなかった。
勿論、耐久テストを行う班も別の製品や案件で設備や人員のスケジュールが決まっている。
その度に頭を下げて割り込ませてもらう羽目になっていた。

毎日のように新たなトラブルが起こり、その度に心身ともにヘトヘトに疲れ切って家に帰る毎日だったが、それを救ってくれたのが嫁さんだった。

当時の嫁さんは、耐久テストを行う部署の一員だったのだが、どういうわけか俺の案件を担当してくれることが多かった。

嫁さんの見た目はセミロングの黒髪を後ろで束ね、黒縁のスクエア眼鏡をかけ、いかにも真面目でテキパキした女作業員といった容貌。
会社の規定でつば付き帽を被らなければならないのだがその帽子姿がとてもよく似合ってた。

見た目に反し、嫁さんの実際の性格はテキパキというよりものんびりとしていた。
ただでさえ忙しい中で俺が無茶なお願いをしてきても嫌な顔ひとつせず、のほほんとした口調で受けごたえしてくれる。
喜怒哀楽を見せることは無いが、感情が薄いとか無愛想とかいう訳では無く、耐久テストの依頼内容や合格基準のことで分からないことや矛盾点があるとちゃんと質問してきてくれた。
進捗確認をする時の電話で嫁さんのおっとりした声を聞くことは、納期に追われてる仕事の中での数少ない癒しだった。

一度、客先に耐久データを提出しなければならないのに仕事が立て込んでいたせいで提出納期の1日前になってもデータが取れていなかったことがあった。
その時は嫁さんが班長に内緒でこっそりと装置を動かして耐久データを取ってくれた。
もう土下座する勢いで嫁さんに頭を下げたよ。

転職してから1年が経った頃、会社で大規模な社内異動があった。
その異動で、嫁さんがうちの設計部署、それもちょうど俺が所属しているグループに入ることが決まった。
社内報でそれを知った瞬間もう運命を感じたね。
「耐久テストでお世話になりまくった恩返しをする時が来た!」って息巻いてた。

入社2年目の分際ながらも前職6年の経験もフル動員させ、嫁さんの教育役を率先して引き受けた。
教育中はとにかく間違いやミスを否定せず、どんな些細なことでも正しい解釈や気の利いた行動をしたら隠すことなく褒めるように努めた。

一度、嫁さんが図面制作でミスをしてしまい、説教が長くて面倒臭いタイプの先輩(俺の直属の上司)から呼び出しを喰らった事があった。
説教開始から30秒くらいですかさずその先輩に仕事上の相談を振りに行った。
その相談が、笑いに繋がるような内容だったので先輩の顔に笑みが浮かび、和やかな雰囲気になった所で嫁さんのミスの件に話題を変えた。
図面のミスした箇所をよく見てみると、大したミスじゃなかったので

「これは俺が教えていなかったから嫁さんがミスするのも仕方がない、責任は教育係の俺にある」

と言って謝罪し、やんわりと済ます事ができた。
我ながら超ファインプレーだと心の中でガッツポーズ連打してたw

嫁さんが俺の部署に異動してきて半年が経った頃、詳細は省くが非常に面倒臭い仕事が入ってきた。
俺は自身の業務と嫁さんの教育を並行させなきゃならないのかとヤバさを感じていたが、幸いなことに嫁さんは物覚えがよく、この時点ではかなりの戦力となっていた。
それでもこの案件は仕事の量・質ともに尋常ではなく、部署全体が毎日23時くらいまで残業してたと思う。

ある晩、事務所内に最後に残ったのが俺と嫁さんの二人だけだったという日があった。
二人だけになって気が緩み、少々雑談をしつつ仕事を進めていたが、その中で通勤手段を聞いてみたら驚いた。
なんと嫁さんは電車通勤だった。
時刻は24時近く、終電はとっくに終わっている。

仕事を早めに切り上げ

「家まで送ってあげるから車に乗れや」

と嫁さんを車に乗せた。
運転中は、疲れてる嫁さんに話しかけるのは悪いと思い、無言で運転していたが、車内でかけていた音楽に嫁さんが反応した。

「これ、なんの音楽ですか?」

「バイオニクルっていうレゴのシリーズのCMソングだよ」

「レゴ?私レゴ大好きなんです!」

今までのおっとりキャラをひっくり返すような、あんな目の輝いた嫁さんは初めて見た。
ホント、24時近くまで残業していたとは思えないような目の輝きだったよ

聞いてみたら嫁さんは小さい頃からレゴが大の趣味だという。
何の偶然か、俺もレゴは小さい頃から遊んでいて、今も普通にカタログを読んだり、玩具屋に新作が入荷しているか見に行くレベルで好きだった。

嫁さんは休日によくブロックパーツを組み立てては動物や建物を作るのが至福のひと時だという。
一方で俺は、一般的なレゴブロックとはちょっと違ったパーツでリアル調のロボットやクリーチャーを作るのが趣味だった。
スマートな戦士や不気味なクリーチャーを組み立て、球体関節で多彩なポーズを取らせる事ができるバイオニクルは正に俺の嗜好にうってつけだった。
バイオニクルは海外では大人気のシリーズであり、日本では未公開のCGアニメやゲームも製作されているほど。
俺が車内で流していたのは、その玩具のCMソングに使われた洋楽だった。

お互いに共通の趣味がわかった後の車内は大盛り上がりだった。
30分近く運転してたけど、マジで体感時間3分くらいに感じた。
それ以上に、大人しい人だと思っていた嫁さんとこんな趣味の話題で盛り上がれるとは思ってなくて衝撃だった。

翌日以降、嫁さんとは仕事仲間以上に、趣味の合う良き友としての接点が大きくなった。
この時は俺の頭の中には恋人付き合いという考えはまだ無かったが、
会社内で男女が仲良くしていると揶揄われる可能性があったので交流は会社外を徹底した。
件の面倒臭い仕事は大小の問題こそあれど何とか無事に完了し、
設計部は異動での人員充実もあってそこそこ余裕が出来、定時で帰れる日も増えた。
俺と嫁さん双方の仕事が早く終わった日は、近所のマックや喫茶店でレゴの話をするようになった。

嫁さんは仕事では相変わらずあっけらかんとした態度で居続けていたが、
レゴの話をしている時は早口オタクが覚醒する。話を聞いているとむしろこっちの性格の方が素なのではと思えてきた。
同時に、そんな嫁さんを愛おしく感じるようになってきた。

3ヶ月くらい経過した初夏の連休前、嫁さんに県内のトイザらス巡り(兼デート)を提案した所、快く承知してくれた。
当時県内に3つあったトイザらスでレゴを思う存分散策した後、焼肉屋で晩飯を食うという計画だった。

トイザらス散策は2件目を探すのに少しgdった以外に大きな遅延やトラブルもなく、俺も嫁さんも欲しかった商品や注目の新商品を購入することが出来た。
焼肉屋も、大好きな牛タンのラインナップが豊富だったためか嫁さんは満足気だった。

だが、俺にはこのデートにはもう1つ目的があった。
それは即ち、嫁さんとの関係を友達から恋人にランクアップさせることだった。
俺はクルマの運転役だったため、酒の力を借りることは出来ず、素面で告白するしか無かった。

以下、焼肉屋の駐車場で交わしたやりとりを記載する。
大事そうな部分だけ抜粋するが、俺の頭にはそれ以外の細かな会話も未だに記憶に残っている。

俺「嫁さん、今日はありがとう!嫁さんのおかげで超楽しかったよ!」

嫁「いえいえ!私も楽しかったです!ありがとうございます!」

俺「まさか嫁さんがレゴ大好きだとは思わなかったよ、あの2人だけ残って残業してたのがキッカケになるとはねーww」

嫁「実は私、あの時もう既に自分の仕事は終わってたんです」

俺「!?どういうこと?」

嫁「人事異動で設計部に配属されて、俺さんが凄く優しく教えてくれて、何とかして仲良くなりたくて…もし二人だけ残業してる時に終電が無くなっちゃえば、きっと車で送ってくれると思って…その時に色々とお話したくて…」

俺「」ビックリすぎて言葉が出てこない

嫁「本当にごめんなさい!!」頭を深深と下げる

俺「謝ることないよ!そもそも俺が親切にした理由、分かる?嫁さんが耐久テストの部署に居た時、何かと気を利かせて俺を助けてくれたからだよ!その恩返し!」

嫁「…」照れたような顔をして無言になる

俺「嫁さんはすごいカミングアウトをしてくれたね…じゃあ俺からも言わせてもらいますが。俺と付き合ってくれませんか?」

嫁「…!!…私でよければ…!」

嫁さんは友達から恋人になった

恋人同士になってからも、社内では仕事以外で殆ど喋らず、会社外で付き合いするのは変わらなかった。
ただ、俺も嫁さんもマンションで一人暮らしをしていることが分かって、お互いの部屋にお邪魔するようになった。

嫁さんの部屋は整理整頓が行き届いていてこざっぱりしていたが、棚やラックの上にレゴのお城や動物がインテリアのように飾られていてオシャレだった。
動物はかなりリアルな造形で、一見しただけでかなりのパーツが使われているのが分かった。
週一の頻度でコアラだったりフクロウだったり亀だったりと内容が変わり、家に来た俺を楽しませてくれた。

俺の部屋は男の一人暮らしということで察して欲しいがあちこちに物が散らかっていて、雑多な感じだった。
ただ、嫁さんは特に嫌がることもなく雑談に講じてくれた。
俺も俺で嫁さんが来るようになってから片付けや掃除を意識するようになり、ひと月もするとかなり綺麗になった。

恋人付き合いから半年くらい経つと、嫁さんは週一二の頻度で俺の部屋で晩飯を作り、2人で食べるようになった。
好きな人と擬似夫婦をやってるようでとてもワクワクした。
趣味の話も合うし、仕事の愚痴や上司の悪口も心置き無く言えて毎日が楽しかった。

誕生日に嫁さんの好きそうなリアルな動物のレゴキットをプレゼントすると心から喜んでくれた。
そのはしゃぎ方が子供みたいで、仕事中の飄々とした態度のギャップが堪らなく愛おしかった。

会社で嫁の素顔を知っているのは俺だけという優越感もあって、結婚したいという気持ちがだんだん強くなっていった。
しかし自分はヘタレだったので中々自分の思いを伝える勇気が無かった。

気持ちに踏ん切りが着いたのは翌年の春。
ちょうど名古屋にレゴランドが出来た頃だったかな。
ディズニーにもユニバーサルにもさしたる興味を示さない嫁さんとデートに行くのに、これ以上うってつけの場所はないと思ったね。
お盆の時期に2人で行ったんだが、案の定嫁さんは子供のように大はしゃぎだった。

以下、帰り道で休憩も兼ねて立ち寄った公園のような場所で交わした会話。
重要な部分だけ抜粋。

俺「今日は楽しかったねー!嫁さんはどうだった?」

嫁「すごく良かったよー!また行きたいな」

俺「次行く時は、恋人として行くのは辞めようか」

嫁「?どういうこと?」

俺「夫婦として行こうってこと!」

俺「今、嫁さんはとても幸せな気分だと思うんだけど、これからは絶対今よりも幸せにしてみせます!どうか俺とずっと一緒にいてください!」

嫁「!!!」「…はい、よろしくお願いいたします」

こうして嫁さんは嫁さんになった。

書き溜めてなくて日を跨いだ上、めちゃくちゃ長くなって申し訳ないが、これが2年先輩にして4年後輩の嫁さんと結ばれた話のあらましです

>レゴは今どうなってる?

新居のインテリアとして至る所に飾ってあるよ。
嫁が暇な時に

ブロックパーツは余りに量が多くてプラスチックの衣装ケース3つ分になってる。
そろそろ4つ目行くかもw
 
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この記事のコメント一覧
1 . 名無しさん  ID:myuiz.lY0編集削除
長い3行

中途入社の2人先輩女子、業界長いイッチ
帰りが遅くなり車で送る
きっかけはレゴのCMソングで結婚

もげられてしまえ
2 . 名無しさん  ID:4QW1BoqD0編集削除
ChatGPTした
転職先で出会った先輩女性と、仕事とレゴの趣味を通じて仲良くなり交際。
レゴランドでプロポーズして結婚。
今はレゴだらけの幸せな新居生活。
以上。
3 . 名無しさん  ID:KgLpbrHm0編集削除
うらやましいなぁ
もげろ
4 . 嘘松  ID:.W4k3rC90編集削除
もげろ
5 . 名無しさん  ID:gXgdn8Sy0編集削除
長く、長く、疲れて
半分過ぎたとこで読むのやめた
お幸せに〜

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